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JABAの新しい出発 ー谷田部専務理事に聞くー 社会人野球Express vol.1

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谷田部専務理事インタビュー

日本野球連盟(JABA)の公式ウェブサイトがリニューアルされました。従来のサイトの内容は試合結果や大会情報などが主でしたが、今後は様々な話題やチケット情報、全国クラブチームの紹介など、JABAファンクラブ会員、そして幅広い野球ファンの関心に応えるサイト作りを目指します。その狙いとは、そしてコロナ禍が続く中で社会人野球が目指す未来は。ウェブサイトの新たなスタートにあたり、JABAの谷田部和彦専務理事に語ってもらいました。【聞き手:毎日新聞野球委員会・神保忠弘】

 

 ――これまでJABA会員に送られていた冊子の「JABA NEWS」が、今年の2・3月合併号を最後に休刊しました。そして会員やファンとの新しいつながりとして、公式ウェブサイトがリニューアルされたわけです。その理由や狙いを教えてください。

 昨年5月に企画広報委員会を立ち上げ、社会人野球の価値を向上させるため多くの課題に取り組んでいます。これも、その一つです。「JABA NEWS」は15,000人程度いらっしゃるJABA会員しか読むことができなかった。それを外部にも発信していくことで、ライトなファン層に社会人野球に関するニュースや、大会の情報などを知ってもらえるようにしたいと思いました。一方でウェブサイトのリニューアルも計画していましたので、二つを合わせて進めることにしたのです。新しいサイトは会員専用のコーナーを作ったり、チケットの購入機能をつけたりすることで、使い勝手も良くなります。

 ――社会人野球を、一般の人たちに広く知ってもらうことが一番の目的だと。

 従来は、大会や試合の結果も「JABA NEWS」でお伝えしていましたが、それでは1カ月遅れになります。今はSNSやインターネットなどで、瞬時に伝わる時代です。新しいサイトでは、タイムリーに試合結果や写真などをお伝えしたいと思っています。スピード感を持って、なおかつ多くの人に見ていただくことが社会人野球の価値向上にもつながるのではないでしょうか。

 また、JABAの加盟チームは350ぐらいありますが、うち250ぐらいがクラブチームなんですね。新サイトでは全国のクラブチームを紹介する企画を進めています。「JABA NEWS」にも同様の企画はありましたが、サイトなら、より多くの人に知ってもらえるし、アーカイブ機能があるので、ずっとネット上に残ります。クラブチームにもメリットがあると思います。

 ――サイトのリニューアルの他に、新しい試みはあるでしょうか。

 一つは昨秋に行った「都市対抗野球応援プロジェクト」のクラウドファンディングです。600人を超すファンの方に応援してもらい、多くの心強い言葉も寄せていただきました。コロナ禍での大会準備、運営に際し、我々も大変、勇気づけられました。

 ブランドスローガンの制定と、ロゴマークの制作も進めています。JABAには三つの基本理念――①野球競技の普及振興を図り、人材を育成します、②国民の心身の健全な発達に寄与します、③国際交流と国際貢献を実践します――がありますが、あまり知られていません。JABAのイメージを端的に伝えるブランドスローガンと視覚的に伝えるロゴマークです。早急にまとめたいと思っています。

 ――さまざまな手法で社会人野球の魅力を世の中にアピールしていこうと。

 まずは新しいサイトを通じて、多くの方にJABAファンクラブ会員になっていただきたい。そのためには、会員の特典も充実しなければなりません。例えば都市対抗や日本選手権のチケットの先行販売がありますが、それ以外にも大会を観戦した時に、プラスアルファとして、お客様も参加できるようなイベントなども企画していきたいです。「これは楽しいね」とワクワクするような会員特典を、いろいろと検討中です。期待してください。

 ――肝心の試合についてはいかがでしょうか。

 もちろん、プレーが一番大事です。社会人野球はアマチュア野球の最高峰です。大学野球やプロ野球はリーグ戦ですが、都市対抗、日本選手権などはトーナメントで一度負けたら終わり。その緊張感の中で、選手たちは1球1球に集中し、最後まで諦めない姿勢が感動を与えてくれます。甲子園や大学野球で活躍した選手もたくさんしますし、都市対抗では出場チームの郷土色豊かな応援は見ているだけで楽しい。そうした社会人野球の魅力を、もっと知ってもらわなければいけないと思いました。都市対抗を一度も見たことのない方が、知人などに連れられて東京ドームに来ると「こんな野球があったのか」と感激すると聞きます。だからこそ、もっと外に向かって発信していく必要があります。

 それから、試合時間の短縮、スピードアップです。試合時間が長いというご意見を多くいただいています。2024パリオリンピックで野球競技が外れた理由の一つに試合時間が長いということがあったと聞いています。昨年、メキシコで開催されたU-23W杯(日本は出場辞退)では、7イニング制で行われました。我々も試合時間の短縮に向け努力して参ります。

 

 ――コロナ禍の2年間、多くのJABA大会の中止や観客動員の制限など、社会人野球は大きな影響を受けました。苦境を跳ね返し、さらに発展するために必要なものは何でしょうか。

 「これをやればいい」という特効薬はありません。コロナが終息しても、コロナ禍以前に戻るには多くの時間を要すると考えています。よって、我々社会人野球界への影響も長期化するでしょう。

 支出を抑えるのはもちろんですが、何より多くの方にご来場していただくことです。コロナ禍の中でリモート勤務、在宅勤務を推奨している企業も多く、従来のように観客を動員することも難しくなっています。だからこそ、多くの社会人野球のファン方が球場に来ていただける仕組み作りをしていかなければなりません。我々は使命感を持って取り組んで参ります。

 ――あらためてファンやJABAファンクラブ会員、そして新しいウェブサイトに訪れた方々に、JABAからのメッセージをお願いします。

 今回、公式ウェブサイトをリニューアルしたことで、より多くの情報を、より早く発信できる仕組みができました。今まで以上の会員特典も考えています。ぜひ多くの方にJABAファンクラブ会員になっていただき、社会人野球を応援してください。我々も皆さんのご意見に真摯に向き合い、魅力ある社会人野球を作り上げていきたいと考えています。

 

 谷田部和彦(やたべ・かずひこ) 1959年生、東京都出身。早稲田実業野球部、早稲田大学野球部、北海道拓殖銀行野球部で選手として活躍。銀行員として社業に就いた後、2018年3月に事務局長としてJABA事務局に入局。21年3月から現職。