JABA

JABA

メニュー

トピック TOPICS

大和高田クラブが3大会ぶりクラブチーム日本一に -第46回全日本クラブ野球選手権大会 社会人野球Express vol.27

27EXP1.JPG (6.50 MB)

=優勝して喜ぶ大和高田クラブの選手たち

実を結んだ「究極のサインプレー」

 第46回全日本クラブ野球選手権大会は最終日の29日、神奈川・等々力球場で決勝を行い、東近畿代表、大和高田クラブ(奈良)が関東代表、全足利クラブ(栃木)に8-7で競り勝ち、3大会ぶり5回目の優勝を果たした。大和高田クラブは今秋に開催される日本選手権(京セラドーム大阪)の出場権を得た。日本選手権の出場は3大会ぶり4回目。【毎日新聞社野球委員会 中島章隆】

 「クラブチーム日本一」を争うにふさわしい中身の濃い決勝戦だった。

 勝負を分けたのは近鉄バファローズの監督も務めた勝負師、大和高田の佐々木恭介監督が仕掛けた一世一代の「サインプレー」だった。

1-1の緊迫した投手戦で迎えた七回、大和高田は疲れの見えた全足利の先発、中田を攻め、2本のヒットと死球で2死ながら満塁の勝ち越し機をつかんだ。打席には2番キャプテンの今里。ファウルで粘ってフルカウントとなったとき、二塁走者の村上がスルスルと三塁方向へリードを広げた。意表を突かれた中田が二塁へ牽制球を投げると、三塁走者の西浦が狙い澄ましたように猛然とホームへ。遊撃手がボールをこぼしたこともあって勝ち越しのホームインとなった。

27EXP4.JPG (2.66 MB)

=七回に勝ち越しのホームを踏み、喜ぶ大和高田クラブの西浦(右)

この後、動揺した全足利の継投陣から4番西脇の今大会2号本塁打などでこの回一気に6点を奪い、試合の流れを大きく引き寄せた。

佐々木監督は「あれはとっておきのサインプレー。1年前から紅白戦などで試してきたが、最高の舞台で決めることができるとは」と満面の笑みで振り返る。一方、全足利の椎名博士監督は「満塁でフルカウント。あんなプレーをしてくるとは、思ってもいなかった」と唇をかんだ。

一昨年は新型コロナの感染拡大で大会が中止となり、昨年は大会直前、感染者が出て出場辞退と、大和高田には不運が続いていた。その分、今年の大会にかける思いの強さはどこよりも強かった。そうした2年間の鬱憤を晴らすビッグプレーが七回のサインプレーだった。

全足利バッテリーが冷静に対応していれば、満塁の勝ち越し機をむざむざ逃すことにもなりかねないプレーで、まさに「大ばくち」といえるが、決勝戦という最大の舞台で成功させた監督と選手たちの腹の据わり方は賞賛されるべきだろう。

敗れた全足利も伝統チームらしく見せ場を作った。八回に3点を返して追い上げると、九回にも勝ち急ぎの見える大和高田の継投の隙を突いて1点差まで迫り、なお1死満塁と一打逆転の場面を作った。今大会打撃好調な秋山の打球は右翼への強烈なライナー。大和高田の右翼手、松山が好捕し、素早く本塁へ送球。三塁から同点のホームを狙った代走秋葉を本塁手前で楽々と刺し、併殺。劇的な幕切れとなった。

27EXP3.JPG (2.31 MB)

=九回に同点のホームを狙う全足利クラブの代走・秋葉(右)をタッチする大和高田クラブの安岡

鮮やかなサインプレーを決めた大和高田と、最後の最後まで試合を諦めず、逆転優勝を目指した全足利。日本のクラブチームを代表する関西、関東の両雄が大会の歴史に残る名勝負を演じてくれた。

27EXP2.jpg (4.79 MB)