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【GRAND SLAM PREMIUM 143】意識改革で白獅子旗を手にしたHonda熊本が岡山大会を制する

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 4月15日から開催された第64回岡山大会では、トヨタ自動車、パナソニック、Honda熊本(不戦勝を含む)、シティライト岡山と、各地区を代表するチームがリーグ戦で3連勝を飾る。いずれも実力に加えて勢いもあるだけに、準決勝では1点を争う好ゲームを展開した。

 まず、Honda熊本とトヨタ自動車は、ともに2ケタ安打をマークして序盤から得点を奪い合う。先制したのはトヨタ自動車。1回裏に先頭の八木健太郎が二塁打で出塁すると、犠打などで二死三塁とし、四番に座るルーキー・今井脩斗の左前安打で幸先よく1点を挙げる。さらに、2回裏には無死二塁から敵失や八木のタイムリーで2点を加えた。すると、3回表にHonda熊本が反撃する。先頭・竹葉章人の二塁打を皮切りに打者一巡、6安打のうち4本がタイムリーとなり、一気に5点を奪って逆転した。それでも食らいつくトヨタ自動車は、5回裏に無死満塁のチャンスを作り、打席には樺澤 健。対するHonda熊本は、三番手で片山雄貴を送り込む。樺澤はファウルで粘りながら、片山の低目の球を見極めて押し出し四球を選ぶ。さらに、小畑尋規の二ゴロの間に同点に追いついた。

 勝敗が決したのは9回だ。Honda熊本は一死から中島準矢が二塁打を放つと、続く稲垣翔太の打球は一塁ベースを直撃して右前へと転がる。これが決勝打となり、6対5でHonda熊本が決勝へ駒を進めた。

 第2試合のシティライト岡山対パナソニックは、2回裏に三上恭平の二塁打、続く三宅浩史郎の左前安打でパナソニックが1点を先制。3回裏には、三上の右前安打で1点を追加した。対するシティライトは、4回表一死から四番の小竹一樹がレフトスタンドに飛び込むソロ本塁打。外野手が一歩も動けない大きな一発だった。だが、その後に安打が出たのは8回表、谷 雄太の右中間への二塁打のみ。榎本 亮、鈴木佳佑、北出浩喜の継投で、パナソニックが2対1で逃げ切った。

 ただ、敗れたものの四国大会でリーグ戦3連敗から立て直してきたシティライト岡山の戦いぶりは素晴らしかった。四国大会では3試合で25失点11失策だったが、岡山大会では4試合で6失点2失策まで減少。桐山拓也監督はこう話す。

「四国大会では、チームのためにプレーする意識が欠けていました。でも、敗退から5日後には岡山大会。気持ちの入れ替えを第一に、『戦える力はあるんだ』と選手に言い聞かせて、気合いを入れ直してきました。ここまで来たからには、勝ちたかったのですが……」

 この敗戦をどう生かすか。都市対抗予選が楽しみだ。

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岡山大会で初優勝を飾り、表彰を受けるHonda熊本の選手たち。

 

 そして、Honda熊本とパナソニックの決勝もロースコアの接戦となった。1回裏、Honda熊本は先頭の山本卓弥が右前安打を放つと、犠打と死球で一死一、二塁とし、四番の古寺宏輝が中前に弾き返して1点を先制。さらに、好調の丸山竜治にはレフトオーバーのタイムリー二塁打が飛び出して2点目を挙げた。一方のパナソニックは、3回表二死から上田隼也と三宅の連打で1点を返す。

 その後は静かに進んだが、Honda熊本は6回裏に古寺のソロ本塁打で欲しかった追加点をもぎ取る。投げては、先発した新人右腕の髙橋聖人が7回まで1失点の好投を見せ、8回からは片山を投入。2イニングを3者凡退に抑え、Honda熊本が初優勝を決めた。JABA大会を制したのは、2013年の九州大会以来9年ぶり。昨年、予選で敗退した日本選手権への出場権を手にした。

 喜び合う選手たちの中でも、準決勝で決勝打を放った稲垣の言葉が印象的だった。一塁ベースに当たるラッキーな安打に、「野球の神様が味方してくれたのであれば、日頃の行ないの成果かもしれません」と笑みをこぼしながら、こう続けた。

「昨年の日本選手権予選に敗れてから、このままではダメだと選手で話し合いました。まずはできることから始めようと、全力疾走、脱いだシューズを並べる、グラウンドなど環境の整備をチームの徹底事項に決めました。それが勝利に直結するかはわかりませんが、意識は変わってきたと思います」

 そう言われ、2月の取材を思い出した。毎年グラウンドに足を運んでいるのだが、今年はこれまでとは違い、トレーニングルーム入口にシューズが綺麗に並べられていた。都市対抗の準優勝も、こういった意識改革から生まれたのだろうと納得した。もちろん、靴を並べたから勝てるわけではない。ただ、勝つチームは用具や持ち物が整理整頓されているのも確かなことだ。

 優勝の喜びに浸る間もなく、「今大会の成果を、都市対抗予選につなげていきたい」と、渡辺正健監督はすでに今後の戦いを見据えた。

 なお、最高殊勲選手賞は片山雄貴投手(Honda熊本)、敢闘賞は榎本 亮投手(パナソニック)、首位打者賞は丸山竜治捕手(Honda熊本)、最優秀投手賞は髙橋聖人投手(Honda熊本)が受賞した。

【文・写真=古江美奈子】

 

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