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【GRAND SLAM PREMIUM 150】西日本は宮崎梅田学園、JFE西日本、JR西日本が復活出場

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 都市対抗九州二次予選は、昨年、白獅子旗を手にしたHonda熊本が第一代表をつかんだ。3年ぶりの出場を狙うJR九州を相手に、和田裕生のソロ本塁打、山本卓弥の中前タイムリーで2回表に2点を先制。4回表にも、和田の2打席連続ソロ本塁打が飛び出し、7回表にはスクイズを仕掛けて勝利を手繰り寄せる。先発した片山雄貴は8安打されながらも1失点(自責点はゼロ)で完投し、4対1で快勝した。

 和田は、昨年の東京ドームでは代打で活躍。今季はスタメンの座を狙い、コツコツと練習に励んできた。「人生初の2打席連続ホームラン。タイミングが合えばと狙っていました。早目に得点したかったので、打ててよかったです」と、安堵の表情を浮かべた。目指すは黒獅子旗だ。

 第二代表決定戦にまわったJR九州の相手は、前日に西部ガスを2対1で倒して勢いに乗る宮崎梅田学園だ。1回表、JR九州は二死一塁から打撃好調の四番・岩切貴弘がライトへ2ラン本塁打を叩き込み、幸先よく2点を奪う。だが、宮崎梅田学園は2回裏、安打と四死球の一死満塁で、武者壮輝が押し出し四球を選んで1点を返す。さらに、3回裏には一死一塁から五番・大森聖也に逆転2ラン本塁打が飛び出す。

 5回表に田中允信の右前タイムリーでJR九州は同点に追いつくも、その裏に国師滉史郎の中前安打で宮崎梅田学園が再び勝ち越し。さらに、6回裏には中武 亮の左犠飛と大森の二塁打で2点を加える。3点のリードを守り抜きたい宮崎梅田学園に、食らいつくJR九州。9回表、二死一塁から二番・犬塚 慶が左越え二塁打で二、三塁のチャンスを築くと、続く山田遼平が右前に運んで1点差に迫る。しかし、あと1本が出ずにゲームセット。6対5で宮崎梅田学園が第二代表に滑り込んだ。

 

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一回戦の完封負けから敗者復活戦を駆け上がり、3年ぶり2回目の出場を決めた宮崎梅田学園。

 

 一回戦でビッグ開発ベースボールクラブに完封負けし、敗者復活戦から5連勝。3年ぶり2回目の出場を決めた宮崎梅田学園の選手たちは、涙と笑顔で喜びを分かち合う。9年ぶりに復帰した高田昌宏監督の目にも、光るものがあった。

「選手が泣いているのを見て僕も……。仕事もしっかり頑張っているのを見てきたので、色々と思い出していたら涙が出てきました。復帰1年目で、こんなご褒美をもらえるなんて贅沢ですね」

 

初勝利を目指して3年ぶり2回目の大舞台に臨む宮崎梅田学園

 

 選手の仕事は、自動車教習所の教官だ。日々の教習に加え、近隣市町村の交通安全啓発運動などを行ないながら野球との両立に励んでいる。「大企業でプレーするほうがいいはずですが、うちに来てくれるのは本当に野球がやりたい選手たち。ちょっとやそっとじゃめげない、ハングリー精神のある選手ばかりですよ」と、高田監督は誇らしそうに話す。

 この二次予選では、継投による投手陣の粘りが光った。ビッグ開発との再戦となった敗者復活三回戦では、6対0で借りを返す。全国での実績もある西部ガス、JR九州には1点のリードを守り抜いた。2020、21年にHonda熊本の補強選手として東京ドームのマウンドに立った林 健太が中心となり、ワンポイント起用もあった溝尻夏吹がしっかりと仕事をしてみせた。バッテリーを中心に、守りからリズムを作って攻撃につなげる高田監督の理想に近づいてきたようだ。

 一方の打線は、第二代表決定戦で打順を上げた大森が、2ラン本塁打を含む2安打3打点。「七番から五番に上げてもらえて嬉しかった。いい場面で打席をまわしてもらい、やっとチームにも会社にも貢献できました」と、満面の笑みを浮かべる。5回に勝ち越しタイムリーを放った捕手の国師は、「打順が下がったことで、守りに集中できました。打てたらラッキーくらいに思っていました」と目尻を下げ、こう続けた。

「一発を警戒していた中で、初回に打たれてしまった。ただ、3点以内に抑えようと話していたので、やるべきことを再確認して、すぐに切り替えられました。3年前の東京ドームは地に足をつけてプレーできなかった記憶があります。その経験を若手にも伝えて、まずは初勝利を目指します」

 現役時代をプリンスホテルで過ごし、都市対抗の大舞台も経験している高田監督は、指揮官としては初めての出場となる。選手と同様に、いや、それ以上に目を輝かせる。

「若い選手が思い切りプレーできる環境を、コーチやトレーナー、ベテラン選手が真心を持って作ってくれています。スローガン通り、泥臭く守って、泥臭く点を取る。選手たちはもっともっと強くなるはずです」

 初出場した2019年は、一回戦で同じく初出場のシティライト岡山に3対4で敗れた。初白星を目指す戦いに注目したい。

 

中国地区も息詰まる戦いが続き……

 

 中国二次予選の第一代表決定戦では、JFE西日本がベスト8入りした2019年以来、3年ぶり11回目の東京ドーム行きを決めた。JR西日本を相手に、1回表に先制を許すも、その裏に四番・綿屋 樹の2ラン本塁打などで逆転に成功。7回表には2点差まで詰め寄られたが、上西嵐満のこの試合4本目の安打などで突き放し、8対3で勝利を挙げた。

 

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JR西日本は、連投の石黒佑弥が延長11回を投げ抜き、4年ぶり5回目の出場を決める。

 

 続く第二代表決定戦は、JR西日本の石黒佑弥が2試合連続の先発。三菱自動車倉敷オーシャンズの左腕・末野雄大とともに、延長11回を投げ抜く緊迫した投手戦となった。2回表に西山統麻のソロ本塁打でJR西日本が先制。1対0のまま迎えた9回裏、三菱自動車倉敷は先頭の渕上大地が二塁打で出塁し、一死三塁からスクイズで同点に。そして、延長11回表――。今度はJR西日本の田村 強が二塁打で出ると、同じく一死三塁からスクイズで勝ち越し。その裏を石黒が3者凡退に抑え、JR西日本が4年ぶり5回目の出場権を勝ち取った。敗者復活ゾーンの6試合は、すべてが3点差以内と、実力が拮抗した中でワンプレーが勝敗を左右する見応えのある予選だった。

【文=古江美奈子】※次号は6月18日にリリースします。

 

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紙版(左)、電子版(右)とも、どうぞよろしくお願い致します。