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【GRAND SLAM PREMIUM 153】6月26日から6日間にわたって日本代表候補強化合宿が実施される

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 第93回都市対抗野球大会の開幕を前に、日本代表候補の強化合宿が実施された。今回は、9月に中国・杭州市での開催が予定されていた第19回アジア競技大会(2023年に延期)に向けて、プロスペクト・リストの89名から絞り込まれた42名を招集。「コロナ禍で、もう2年以上も国際大会に出場していないので、私をはじめスタッフが選手たちの実戦での動きを見たくて仕方がなくて(笑)」と、石井章夫監督は企業チームとのテストマッチを計画した。そして、全選手に出場機会を与えるために東西2か所に分かれる。626日から3日間は東日本会場に22名(2名が辞退)、629日から71日は西日本会場に20名が集まった。

 どちらの会場も、初日はミーティングを行なったあとにフィジカル面のデータを計測。2日目は東日本が日本通運、西日本はNTT西日本とテストマッチを実施し、3日目は投球と打撃のデータを計測した。

 

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日本代表候補強化合宿ではお馴染みとなったフィジカル測定に取り組む選手たち。

【写真=宮野敦子】

 

 普段から公式戦、オープン戦で対戦している選手たちも、日本代表候補という選ばれた者だけの空間で顔を合わせると「やはりグッと気持ちが入っていく」と表情を引き締める。そして、技術面での取り組みや考えていることなど互いの情報を交換していた。また、昨年12月にプロスペクト・リストに追加され、小孫竜二(鷺宮製作所)ら初めて強化合宿に招集された選手は「技術、メンタルの両面で学ぶことばかり」と、経験豊富な選手ともコミュニケーションを深めていた。

 

どんな場面でも攻める姿勢を貫く選手が増えている

 

 テストマッチで目についたのは、東日本は百目鬼浩太(信越硬式野球クラブ)、西日本では菊池大樹(四国銀行)だ。百目鬼はクラブチーム、菊池は社業の比重が高い銀行マンで、都市対抗で優勝を狙う企業チームのような密度の濃い練習に取り組む時間はなかなか取れない。それでも心技に磨きをかけ、ともに2019年のアジア・ウインター・ベースボールで社会人選抜に招集された。

 百目鬼はシャープなスイングから生み出される球足の速い打球と軽快な内野守備、菊池は丁寧に低目を突く意識と強気のマウンドさばきをしっかりと披露し、石井監督も「さらなる成長が楽しみな存在」と熱い視線を投げかけていた。残念ながら、翌2020年からのコロナ禍で日本代表の活動もストップしてしまったが、菊池は2020年の都市対抗でチーム初となるベスト8進出の原動力に。百目鬼も、地道に努力を続ける姿をアスリート委員がチェックしていた。そうして、全日本野球協会から公表されたプロスペクト・リスト89名から絞り込まれた42名にも選出され、今回の合宿に参加したのだ。

 百目鬼は日本通運とのテストマッチに二番ショートでスタメン出場し、3回裏一死一、三塁ではレフト線に先制タイムリーを放つ。一方、NTT西日本とのテストマッチで7回裏に登板した菊池は、味方の失策をきっかけに2点を失ったものの、持ち味の攻める投球は見せてくれた。

 

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ストマッチで存在感を示す百目鬼浩太(左)と菊池大樹(右)。

 

「普段は午前中に練習し、午後に仕事をします。ただ、残業が重なってきたりすると、どうしてもコンディションの維持が難しくなる。今回も、都市対抗四国二次予選を終えたあとに万全の状態まで持っていくことができませんでしたが、僕らのようなチームからでも日本代表になれるということを後輩たちにも示したい」

 そう語る菊池を含め、選手たちは久しぶりにチームメイトとしてプレーする時間を大切に過ごしているという印象だった。そして、選手の動きをつぶさに観察していた石井監督は、対話によるコミュニケーションも重視しながら、どんな場面でも攻める姿勢を見せる選手が増えていることに目を細めていた。そして、各々スキルアップを確認した選手たちは、今度は敵と味方に分かれて東京ドームで黒獅子旗を目指す。

【文=横尾弘一】

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