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【GRAND SLAM PREMIUM 157】ENEOSが優勝した都市対抗で今回も際立つ東京勢の躍進

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 第93回都市対抗野球大会は、横浜市・ENEOSの9年ぶり12回目の優勝で幕を閉じた。準々決勝以降のクライマックスは、振ったサイコロの目が違えば、どちらが勝ってもおかしくないような白熱が続き、ベスト4の顔ぶれはすべて過去10年以内に優勝があるチーム。昨年優勝の東京ガス、2016年のトヨタ自動車、2017年のNTT東日本、そして、2012、13年と連覇のENEOS(当時はJX-ENEOS)である。無論、実力があるから勝ち上がるのだが、番狂わせの少ないラグビーならともかく、打球のイレギュラーひとつで流れが変わる野球である。遡っても、ここまで絢爛なベスト4はなかなか見当たらない。2013年のJX-ENEOS、東芝、JR東日本でベスト4中3チーム、という例が目立つくらいだ。

 大相撲にたとえるなら、13日目を終えて横綱、大関の4人が同じ勝ち星で並ぶようなものと言えばいいか。豪華な顔ぶれは、社会人野球ファンにとって、千秋楽が待ち遠しいような、このまま続いてほしいような、愉悦のベスト4である。

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準優勝して白獅子旗を受け取る東京ガスの笹川晃平主将。2年連続の決勝進出は見事だ。

【写真=藤岡雅樹】

 

 ENEOSの優勝秘話は次号で触れるとして、惜しくも連覇は逃したが、近年感じるのは東京勢の強さだ。その契機は、2011年あたりにありそうな気がする。JR東日本が優勝した都市対抗で、決勝の相手はNTT東日本。ちなみに、この年は東日本大震災による大阪開催で、史上初めての東京勢の頂上決戦だった。JR東日本はここから2012、13年も準優勝と、揺るぎない強さを見せつけている。

 試みに、2012年以降でベスト8以上に進んだ東京のチームを並べてみる。

 

2012年/準優勝=JR東日本 ベスト4=NTT東日本

2013年/準優勝=JR東日本 ベスト8=東京ガス

2014年/ベスト4=NTT東日本 ベスト8=東京ガス、JR東日本

2016年/ベスト4=東京ガス、 ベスト8=NTT東日本

2017年/優勝=NTT東日本 ベスト8=JR東日本

2018年/ベスト4=JR東日本、セガサミー ベスト8=NTT東日本

2020年/準優勝=NTT東日本 ベスト4=セガサミー

2021年/優勝=東京ガス ベスト4=NTT東日本、セガサミー

2022年/準優勝=東京ガス ベスト4=NTT東日本 ベスト8=JR東日本、セガサミー

 

 代表枠3~5でこれなのだ。今大会では、準々決勝での東京対決が3試合あり、2チームの4強以上がそこで確定している。初めて東京ドームで指揮を執ったNTT東日本の平野 宏監督は、シーズン前に安定した成績を残す理由を尋ねた時、こんなふうに語っていた。

「うちにとっては、2009年の垣野多鶴監督の就任が大きい。厳しい監督でしたが、三菱ふそう川崎を叩き上げ、都市対抗で3回も優勝した野球観や姿勢に、『こうすれば勝てるんだな』と、チームが徐々に変わっていったんです。それが、2011年の都市対抗準優勝で実を結び、飯塚智広・前監督が2017年の優勝につなげた。垣野監督が残してくれた土台は、ずっと受け継がれていると思います」

 JR東日本が、東京勢にとって22年ぶりの優勝を果たした2011年、平野は垣野監督の下で選手だった。JR東日本との決勝では先制タイムリーなど、2安打を放っている。この時にJR東日本を率いたのは、三菱自動車川崎(当時)時代に垣野の薫陶を受けた堀井哲也監督(現・慶大監督)だ。この師弟対決を制した弟子の堀井には、かつて垣野と対談してもらっている。そこで、堀井はこう語っていた。

「垣野さんとの経験の差は、凄く感じているところです。そこを越えるには、おこがましいですが、心技体で圧倒するしかないのではないか。スピード、正確性、技術、戦略……それらで上回って初めて、経験豊富なチームと対等に戦えるということです」

 そして、頂点に立ったJR東日本は、その後も2年続けて準優勝。ほかの東京勢は当然、何とかJR東日本に追いつき、追い越せと目の色を変える。その中からNTT東日本が頂点を極め、さらにはセガサミー、東京ガスといった東京勢が強靭さを身につける。高校野球なら、大阪桐蔭高を倒さなければ甲子園はないとばかりに、履正社高が強くなった大阪を考えればわかりやすい。

 さて、これからも東京の強さが続くのか、それとも久々に優勝した神奈川の復権か。こと都市対抗優勝チームとなれば、近年は東海も、近畿も、南関東も強い。ファンとしては群雄割拠が面白く、早くも来年が楽しみになってきた。

【文=楊 順行】※次号は8月4日にリリースします。

 

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