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【GRAND SLAM PREMIUM 168】日本選手権の前哨戦で極上の対戦――第70回伊勢・松阪大会

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 プロ野球は日本シリーズへの進出チームを決めるクライマックス・シリーズ、高校野球なら来春の甲子園につながる秋季地区大会と、この時期の野球界は“決める試合がファンを魅了している。社会人でも1030日から第47回社会人野球日本選手権大会が開催される予定だが、今週は第70回伊勢・松阪大会が行なわれている。

 第70回が示すように長い歴史を誇る大会なのだが、この時期の開催ゆえに東海地区以外のチームが積極的に出場することはなかった。しかし、最近では日本選手権に出場するチームが絶好の前哨戦と考えるようになり、関東や近畿地区からも有力チームが出場している。もちろん、中には日本選手権の出場権を得られなかったチームもあるのだが、来季を睨んで若手に出場機会を与えたり、あらためて戦力の見極めをしようと熱い戦いを繰り広げる。

 大会は107日にダイムスタジアム伊勢で幕を開け、松阪市のドリームオーシャンスタジアムと2会場でリーグ戦を実施。11日には準決勝と決勝を行なう予定だったが、天候に恵まれず3日順延。最終日をレポートすることはできなくなったが、リーグ戦Aブロックのトヨタ自動車とJR東日本の対戦にフォーカスした。

 周知の通り、今夏の都市対抗で8年連続出場のトヨタ自動車はベスト413年連続出場のJR東日本はベスト8に進出しており、常に日本一の座を争うトップレベルのチーム同士だ。日本選手権対象のJABA大会を制し、都市対抗予選の前に日本選手権への切符を手にすることも珍しくはない。

 だが、今年のJR東日本は関東最終予選で敗退し、日本選手権には姿を見せない。18大会連続出場で5回の優勝を誇るトヨタ自動車と、どんな試合を展開するのか注目した。トヨタ自動車の先発は、都市対抗一回戦の先発を任されたものの途中降板してからは日本選手権東海最終予選でも登板がなく、状態が心配された吉野光樹。対するJR東日本は、ルーキー右腕の山﨑 凪だ。

 

トヨタ自動車はダイヤモンド旗、JR東日本は来季につながる戦いぶり

 

 1回表のトヨタ自動車は、山﨑の立ち上がりを襲う。先頭の徳本健太朗が中前安打を放ち、すかさず二盗を決めると、北村祥治は四球を選ぶ。一死後に樺澤 健の左前安打で満塁とし、続く佐藤勇基が追い込まれながらも巧みにライト線へ運んで2点を先制する。さらに、八木健太郎が三塁前にスクイズを決めて3点目。特に徳本の二盗と八木のスクイズに、今季のトヨタ自動車の進化を感じさせられる。2回表には坂巻尚哉がレフトスタンドへソロ弾を打ち込み、序盤で40とトヨタ自動車のペースになる。

 

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第70回伊勢・松阪大会で力投するトヨタ自動車の吉野光樹(上)とJR東日本の小谷野楽多(下)。

 

 ただ、JR東日本も2回裏二死満塁から押し出し死球で1点を返すと、3回から主戦格の小谷野楽多をマウンドに送って反撃を試みる。そして、5回裏には先頭の菅田大介が右中間へ二塁打、続く四番の山内 慧はレフトへ豪快な2ラン本塁打を叩き込み、35と前半で試合を立て直す。ここからは、両チームとも小刻みな継投でピンチを凌ぎ、7回表に1点を追加したトヨタ自動車が63で勝利。リーグ戦突破に大きく前進した。

 敗れたとはいえ、JR東日本は菅田と山内の主軸がパワフルな打撃を見せ、毎回のようにチャンスを築いた。この試合を含めて貴重な経験を積んだ若手投手が成長すれば、さらに日本一へ近づくという印象だ。一方のトヨタ自動車は、選手一人ひとりが自身の役割をきっちりと果たし、走塁や守備の連係でもスキのなさが際立った。都市対抗では体調不良の選手が相次いで満身創痍の戦いを強いられた分、日本選手権は万全で臨めば6回目のダイヤモンド旗も手にできるのではないか。なお、大会は14日に準決勝と決勝が行なわれる予定だ。

 そして、社会人全体のニュースとしては、1013日に台湾で開幕する第4U23ワールドカップに出場する日本代表が現地入りして調整を続けている。社会人にとって3年ぶりとなる国際大会の様子も、次号でレポートする。

【文・写真=横尾弘一】 

 

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