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【GRAND SLAM PREMIUM 172】トヨタ自動車が4大会ぶり6回目のダイヤモンド旗を獲得!! 第47回社会人野球日本選手権大会レビュー

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ダイヤモンド旗を授与されたトヨタ自動車の北村祥治主将。【写真=松橋隆樹】

 

 1030日から京セラドーム大阪で11日間にわたって開催された第47回社会人野球日本選手権大会は、トヨタ自動車が4大会ぶり6回目の優勝。大会最多優勝記録を保持する住友金属の7回に王手をかけた。

 今大会は、都市対抗の4強がすべて着実に勝ち上がった。12回目の黒獅子旗を手にしたENEOSは、一回戦で延長10回タイブレークまでもつれながら四国銀行を振り切ると、二回戦では日本新薬を投打に上回る。昨年の都市対抗初優勝に続いて今年も準優勝と抜群の安定感を見せている東京ガスは、3連覇を目指した大阪ガス、名門・日本生命と近畿の強豪を連破する。4強のトヨタ自動車は、都市対抗準々決勝に続いて激突したTDKをタイブレークの延長12回で下し、二回戦ではルーキーの松本健吾がパナソニックを1安打で完封する。そして、NTT東日本は巧みな継投で西部ガス、王子とクセ者に競り勝つ。

 そうして、準々決勝ではトヨタ自動車が東芝を圧倒して都市対抗に続く4強に一番乗りを果たし、ENEOSは三菱重工Westの新人右腕・竹田 祐を打ちあぐねながらもタイブレークの延長10回に丸山壮史が会心の3ラン本塁打で勝利を手繰り寄せる。東京ガスとNTT東日本は正面からぶつかり合い、立ち上がりの攻防で上回ったNTT東日本が昨年の都市対抗準決勝のリベンジを果たす。さらに、昨年の日本選手権で準優勝した三菱重工Eastが、一回戦でJR西日本に8回コールドの111と大勝すると、投打に充実したHonda熊本、日本通運も退けて2年連続の4強入りを果たす。

 準決勝は、2試合とも手に汗握る熱戦となる。トヨタ自動車はベテランの佐竹功年、ENEOSは左腕の加藤三範が好投し、前半はスコアレスの投手戦。ENEOS67回と一死二塁のチャンスを築くもトヨタ自動車は継投で凌ぎ、ENEOS8回から関根智輝にリレーする。果たして、9回裏二死から樺澤 健の中前安打と高祖健輔の四球で一、二塁としたトヨタ自動車は、勝負強さを磨き上げた八木健太郎が三遊間を破って樺澤を迎え入れ、サヨナラ勝ちで2017年以来の決勝に駒を進める。

 NTT東日本は、先発の稲毛田 渉が立ち上がりに連打で1点を失い、なお一死満塁のピンチに立たされると、平野 宏監督は早くも沼田優雅にスイッチ。この沼田が八戸勝登を遊ゴロ併殺に仕留めて最少失点で切り抜け、3回表二死二塁から下川知弥の右前安打で同点に。さらに、4回表に得意の機動力を生かして無死一、三塁とし、火ノ浦明正のセーフティ・スクイズで勝ち越し。5回までに41と主導権を握り、6回以降は4投手をつないで三菱重工Eastの反撃を1点に止める。

 

一年前のリベンジを果たしてトヨタ自動車がV6

 

 こうして、トヨタ自動車は6回目、NTT東日本は初めて頂上決戦の舞台に立つ。先発のマウンドは、トヨタ自動車が嘉陽宗一郎でNTT東日本は多田裕作だ。先制したのはNTT東日本だった。2回表一死から中村 迅と喜納淳弥が連打し、二死後に佐久本一輝が中前に弾き返して中村が生還する。対するトヨタ自動車は、3回裏一死から徳本健太朗の内野安打と北村祥治の死球で一、二塁とし、打席には本調子を欠く多木裕史。思うような結果は出ていなかったが、「自分のスイングを貫こう」と多田のスライダーを叩き、センター右への二塁打を放つ。一塁走者の北村も好走塁で逆転のホームを踏むと、続く四番・逢澤崚介の中前安打で3点目を挙げる。

2点をリードしてくれたことで、1点はやってもいいと気持ちにゆとりを持って投げられた」と振り返るように、嘉陽は力のあるボールを低目に集め、NTT東日本に反撃を許さぬまま前半の5回を終える。

 

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大会記録の7回優勝を視界にとらえ、笑顔でガッツポーズするトヨタ自動車の選手、スタッフ。【写真=松橋隆樹】

 

 何とか追いつきたいNTT東日本は、5回から左腕の沼田優雅、6回には片山楽生を投入してトヨタ自動車の追加点を防ぐ。だが、気力を振り絞る嘉陽は8回までに7安打を許すも、124球の熱投で2点のリードを守る。そして、8回裏に一死満塁としたトヨタ自動車は、北村が詰まりながらもレフト前に運んでダメ押しと思える2点を追加。多木の右前安打や樺澤 健の三塁打でさらに3点を加え、最終回を渕上佳輝が締めて頂点に立った。トヨタ自動車は、昨年の都市対抗一回戦でNTT東日本に完敗してから一年後に、見事なリベンジを果たす。藤原航平監督は、「選手たちをどうしても勝たせたかった」と実感を込める。社会人球界をリードする名門が、笑顔と涙で王座を奪還した。

【文=横尾弘一】

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