JABA

JABA

メニュー

トピック TOPICS

【GRAND SLAM PREMIUM 183】節目の10年目に社会人ベストナインで再会した東京六大学OB三人衆

bnr_grandslam_cmyk.jpeg (218 KB)

 2022年の社会人ベストナインは、いくつもの“括り”がある顔ぶれとなった。都市対抗で優勝したENEOSから5名。法政大OBは4名。そのうち、二塁手の佐藤勇基(トヨタ自動車)と遊撃手の中村 迅(NTT東日本)は2年目の同期だ。そして、社会人10年目の3名。一塁手の地引雄貴(東京ガス)、外野手の多木裕史(トヨタ自動車)、指名打者の山﨑 錬(ENEOS)は、いずれも東京六大学出身で、大学時代から鎬を削ってきた仲だ。地引が早稲田大、多木が法政大、山﨑が慶應義塾大の卒業。12月13日、奇しくも山﨑の32歳の誕生日だった表彰式当日、慌ただしい合い間を縫って、旧交を温めてもらった。

 

GSP183-1.jpg (776 KB)

2022年の社会人ベストナインに輝いた、左から山﨑 錬(ENEOS)、多木裕史(トヨタ自動車)、地引雄貴(東京ガス)。【写真=松橋隆樹】

 

――意外なことに、3回目の多木さんを除き、山﨑さんと地引さんは社会人ベストナイン初受賞なんですね。まずは、それぞれ受賞の弁を。誕生日の山﨑さんからお願いします。

山﨑 社会人ベストナインは入社以来の目標でしたが、毎年、懸命にやっているのになかなか獲るのが難しく、秘訣を多木に教えてほしかったくらいです(笑)。

多木 やはり都市対抗と日本選手権、どちらかで優勝する、あるいはある程度以上勝ち上がることでしょう。

山﨑 チームの成績がよくないとついてこない。毎年、選考経過をチェックすする中、1年目、3年目、9年目と三次選考まで残りましたがダメでした。それ以外の年は、都市対抗に出ていなかったり、初戦負けだからノーチャンスですね。2022年は、年頭にチームの優勝と社会人ベストナイン獲得を目標に掲げたので、どちらも叶って幸せな一年でした。大久保秀昭監督が復帰してチームが勝てるようになり、チャンスか巡ってきたと思っています。

地引 僕は入社以来、社会人ベストナインが目標だったのでシンプルに嬉しいです。2021年は都市対抗に優勝したのに、チームからひとりも選ばれず、なかなか難しいと感じていましたから、なおさらです。申し訳ないんですが、過去に選ばれた東京都ベストナインとは違いますね。その2021年は、日本選手権には出場できなかった。やはり、二大大会で活躍することが受賞のポイントですよね。2022年、都市対抗連覇はできませんでしたけれど準優勝で、日本選手権もベスト8。チームにとってもいい一年でした。

山﨑 地引は打つだけではなく足も速いし、勝負強くて守備もいい。強打者の多い一塁を守ってベストナイン、というのが凄いですね。僕は、2021年は一塁手でしたけど、2022年は指名打者でよかった(笑)。

多木 僕は3回目ですが、何度いただいても嬉しいです。ここ何年か、チームは二大大会でなかなか勝てずにいましたが、2022年は都市対抗でベスト4、日本選手権で優勝できまして……。受賞は皆さんの声援と支えのおかげです。

――日本選手権の多木さんは、NTT東日本との決勝の3回裏に逆転二塁打を放ち、それが結果的に決勝点になりました。バットコントロールには定評がありますが、ほかのお二方から見て大学時代の印象はどうでしたか。

地引 バッティングは天才的です。ずっと同じフォームで打てますし、柔らかくて崩されない。コースに対応して逆方向にも打ち、穴が極端に少ないと思います。僕は大学時代はキャッチャーでしたが、捕手目線で言うと配球で工夫しても通じず、打ち損じを待つしかない。打に関してはヤバいですね。

多木 それを言うと、地引もそう。いい打者というのは、守っている時ほどよくわかるものですが、外野を守っていて地引の打席では、打球が飛んできそう、打たれそうな気がしますもん。それと、大学時代は華の早慶戦ね。いいなぁと嫉妬しながら(笑)、地引や山﨑たちを見ていました。

――その大学時代には、3人ともリーグ優勝がありますね。それもきっちり2回ずつ。

山﨑 僕の慶應は2年春、3年春と優勝しましたが、地引の早稲田にはずっと慶早戦でやられていますし……。

地引 こっちもですよ。

山﨑 4年の春は早稲田、秋は法政の優勝です。しかも、法政は1年の大学選手権で、早稲田は4年の大学選手権で日本一なのに、慶應にはそれがなく……。地引と多木にやられた大学時代を思い出すと、この2人は大嫌いです(笑)。

――それはともかく、2023年のシーズンが始まります。

山﨑 当然、都市対抗連覇が目標です。入社した2013年に51年ぶりの連覇を達成しましたが、当時は右も左もわからず、気がついたら優勝だったという感じ。2022年の優勝はそこから9年ぶりでしたから、あらためて難しさを感じました。ところで、トヨタは何で日本選手権に強いの?

多木 謎だね(笑)。自分が入社してから日本選手権は3回、都市対抗も1回優勝していますが、勝つ時のチームというのは、とにかく点を取られない。特に京セラドーム大阪は、守りが大事だと感じます。

地引 東京ガスが2021年に優勝できたのは、2年間、東京ドームに出られず、日本選手権も関東最終予選で負けて、「このままじゃ本当にヤバいぞ」とチームに一体感が生まれたのがいい方向に出た。一度、優勝を味わうと、もう1回と強く思いますね。今年は、それに尽きます。

多木 2021年は地引の東京ガス、2022年が山﨑のENEOSと都市対抗で優勝しているので、次はトヨタ。2023年は、そう信じて戦います。

【文=楊 順行】

 

GSP183-2.jpg (299 KB)

11年目の健闘を誓い合う地引、山﨑、多木(左から)。【写真=真崎貴夫】

 

グランドスラム60は好評発売中です!!

GSPPR.jpg (651 KB)

紙版(左)、電子版(右)とも、どうぞよろしくお願い致します。