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【GRAND SLAM PREMIUM 190】中学校部活動の地域移行に向けた社会人野球OBの取り組み

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 公立中学校における休日の部活動を外部の人材に任せる『地域移行』が、2023年度から段階的に開始される。指導にあたる人材確保が課題となる中、社会人野球関係者が貢献できないかと考えたのが、Hondaで外野手としてプレーしたあとマネージャーや広報担当を経て、現在は埼玉県野球協会で常務理事を務める米田文彦さんだ。2021年2月から、さいたま市にて中学校部活動外部指導プロジェクトを開始した米田さんは、埼玉県内のクラブチームに所属する4名の選手とともに市内の中学校で指導にあたった。その後も日本野球連盟(JABA)のサポートを受けながら精力的に活動を続け、2022年には千葉県柏市とも連携。2023年9月開始予定の指導員導入に先駆けて、同市に縁のあるJR東日本のOB・木本 徹さんを2022年9月から研究指導員として派遣している。今回は、木本さんの活動についてレポートする。

 木本さんは、教員志望だったことから部活動の指導員に興味があり、個人的に調べていたものの、どう動いたらいいのかわからずにいた。そんな中、昨夏に今回の誘いが舞い込み、JABAのサポートなら心強いと考え、二つ返事で引き受けたという。すぐに元・東京ガス監督の阿久根謙司理事(東京ガスケミカル株式会社取締役常務執行役員)によるコーチング研修を受け、送り込まれたのは、部員数が少ないことから合同で活動する大津ケ丘中学校、風早中学校、手賀中学校の3校からなる大津ケ丘スポーツクラブだ。

 

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社会人野球で培った経験も生かしながら、熱心に中学生を指導する木本 徹さん(左)。

 

 指導を始めて驚いたのは、部員たちの考察力だという。

「コーチの経験もあるので教えたくなることもあるのですが、それを我慢して生徒たちと話すと予想以上に返答がある。コーチング研修を受けた時には、ここまでとは考えていませんでした」

 そう木本さんは手応えを感じている。

 

社会人野球OBだからこそできる指導

 

 今年2月25日に、大津ケ丘スポーツクラブは木本さんが指導を開始してから初めて対外試合に臨んだ。采配を振るのは顧問の教員で、木本さんはグラウンドの外からストップウォッチを片手に観戦し、試合が終わると生徒たちに声をかけた。今までの指導と試合後のアドバイスの効果もあってか、大津ケ丘スポーツクラブは見事に勝利を収めた。部員たちが喜ぶ姿に、木本さんは「3校の部員たちの結束が指導したばかりの頃よりも強まり、ひとつのチームになっていると感じました。こういう経験から『部活動は楽しい』とか『野球は楽しい』と思ってもらいたいですし、そう思ってもらえるように指導していきたい」とあらためて決意した。

 指導を続ける中で、木本さんは「社会人野球OBには、野球を教えることが好きな人は多い。そして、自分が培った経験を生かして、社会人野球OBだからこそできる指導があるのではないか、と考えています」という。木本さんの充実した表情を見れば、指導員に興味を持つ社会人野球OBが増えるのではないか。また、木本さんの真摯な指導を保護者に見てもらう機会を作ることで、「どんな指導者が来るのか」という不安を和らげることもできるだろう。木本さんの研究指導員としての活動をどのように生かし、人材の確保と活動の周知をしてくのか今後も注目したい。

【文・写真=岩崎実幸】

 

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