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【GRAND SLAM PREMIUM 191】侍ジャパンが世界一!! ワールド・ベースボール・クラシックを支えた社会人チーム

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 3月8日に台湾で開幕し、22日(いずれも日本時間)に決勝が行なわれた第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)では、日本が野球大国のアメリカを3対2下して3大会ぶり3回目の優勝を飾った。ダルビッシュ有(サンディエゴ・パドレス)や大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)らメジャー・リーガーが出場し、日系アメリカ人のラーズ・ヌートバー(セントルイス・カージナルス)も話題となった日本代表“侍ジャパン”の試合は連日、大きな話題となり、劇的な勝利も手伝って野球人気の高さをあらためて感じさせられた。

 また、オーストラリアが韓国を破って準々決勝に進出したり、日本との準々決勝にはイタリアが勝ち上がってくるなど、国際大会独特の「何が起きるかわからない」展開もファンを興奮させた。最近は世界的なコロナ禍で明るい話題が少なかったものの、2021年の東京五輪、昨年のFIFAワールドカップ、そして、今回のWBCと、スポーツが人々の笑顔を取り戻すきっかけになっているのは嬉しいことだ。

 さて、東京ドームが舞台となったプールBや準々決勝をはじめ、大会は回を追うごとに世界の野球ファンに注目されているという印象だが、2006年の第1回大会からホストとなっている日本も、その中で「さすが野球先進国」という運営を見せている。そのひとつが、出場チームが来日したあとの強化試合のセッティングだ。

 2月7日、台湾のプールAに出場するキューバ代表が来日し、沖縄で強化合宿を開始。下旬にはオーストラリアが東京都府中市で準備を始め、企業・クラブチームとも練習試合を行なう。さらに、日本と同じプールBの中国、チェコ、韓国も次々と来日。キューバ、韓国はプロ球団が強化試合の相手になったが、中国、オーストラリア、チェコは社会人チームが対戦した。

 

JR九州はオーストラリアに15対3の圧勝

 

 沖縄電力は、キューバ代表にグラウンドを提供するなどチーム作りの段階でサポート。鹿児島ドリームウェーブや薩摩ライジングは2月下旬から中国代表と練習試合を行ない、仕上げの段階ではENEOSなども対戦相手となった。そして、3月6日と7日に宮崎で実施された強化試合では、西部ガス、JR九州、宮崎梅田学園がオーストラリア、チェコ、中国と対戦した。中国代表には、今春に日立製作所へ入社した真砂勇介(元・福岡ソフトバンク)が招集されたこともあり、多くの観客が足を運ぶ。真砂は合流当初から他の選手と打ち解け、三番センターで攻守にチームの中心となった。

 

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今春、日立製作所へ入社した真砂勇介は中国代表に選出され、三番センターでプレーした。

 

 また、強化試合で注目されたのは、オーストラリア代表とJR九州の対戦だ。社会人を代表するチームに対して、オーストラリアもベストメンバーで臨み、3回までは緊張感のある投手戦に。ただ、4回裏二死からJR九州が2点目を挙げると、一気の猛攻で7点を奪う。オーストラリアの投手陣は色を失い、バックの野手陣も集中力が切れたかエラーを連発。ワンサイドになってもJR九州は攻撃の手を緩めず、5回裏に4点、6回裏にも3点を追加して15点を挙げる。強化試合は、各国代表投手の投球数によって、社会人チームは攻撃の途中でも攻守交代となったり、試合途中で打ち切りもある取り決めだったが、オーストラリアも9回まで戦い抜き、15対3でJR九州が快勝した。

 

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オーストラリア打線を相手に、真っ向勝負の好投を見せた川島隆志(JR九州=左)、ワールド・ベースボール・クラシックの韓国戦で

勝利投手になったオーストラリア代表の変則左腕ジョン・ケネディ(右)。

 

「大会を前にしたオーストラリアを相手に、これだけの戦いができたことは選手たちの自信になるはずです。また、クリーンアップを中心にスイングのスピードがあり、長打力も備えたオーストラリアの打線を抑えられたのもいい経験。普段は対戦することがない海外チームの野球を肌で感じられたことも、若い選手には勉強になったと思います」

 JR九州の中野滋樹監督は、この強化試合の意義をそう語った。オーストラリアはこの大敗で目が覚めたか、初のベスト8入りを果たしたのは周知の通り。強化試合の前に宮崎入りし、クラブチームと対戦したチェコは、WBC初出場ながら中国から歴史的な勝利を挙げた。そうした各チームの成果を支え、社会人チームはしっかりと存在意義を示した。そして、今度は自分たちが躍動するシーズンを迎えている。WBCにも負けない熱戦が繰り広げられる社会人野球に、今年も足を運んでいただきたい。

【文・写真=横尾弘一】

 

グランドスラム61は4月5日に発売します!!

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