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【GAME029】1998年第53回東京スポニチ大会準決勝/NTT東京×日産自動車

 今からちょうど四半世紀前、1998年の第53回東京スポニチ大会の名場面2回目は、僅差の勝負をものにして準優勝したNTT東京だ。都市対抗で躍進したかったチームでは、1981年の黒獅子旗獲得に捕手として貢献した末川文昭監督が就任。強力打線を編成して日本一に近づこうと、野手ばかり5名の新人を採用する。その中から、立正大出の永井勝則がファースト、亜細亜大出の髙橋賢司がショートで早くも定位置を確保していた。

 一回戦の相手は、メキメキと頭角を現していた昭和コンクリート。NTT東京は1回裏一死一、二塁から四番・服部 誠がライトオーバーの二塁打を放って2点を挙げると、先発を任された3年目の右腕・小野彰信は、立ち上がりこそ制球が定まらなかったものの修正し、攻撃力には自信を持つ昭和コンクリートの打線に連打を許さない。

 永井のタイムリーなどで6回までにリードを4点に広げると、昭和コンクリートも7回表に大西淳史のソロ弾で1点を返す。小野は、9回表にも吉口 晶と大西にソロ本塁打を許して1点差に迫られたが、何とか4対3で逃げ切る。

 二回戦は、本田技研(現・Honda)を倒した松下電器(現・パナソニック)が相手。先発は変則左腕の田中稔士で、NTT東京の打線は緩急を駆使した投球を打ちあぐねる。一方、NTT東京の先発を担った梅原一実は、キレ味抜群のボールで松下電器にチャンスを作らせない。

 序盤3回まではスコアレスで進んだが、松下電器は4回裏に北口正光(現・東京農業大監督)と光元一洋(現・近畿大コーチ)の連打で1点を先制する。梅原は追加点を許さないものの、打線は6回まで追いつくことができない。だが、7回表に死球と永井の左前安打に敵失も絡み、一死一、三塁のチャンスを築くと、途中出場の平松健太が中犠飛を放ってようやく同点に。さらに、8回表には池葉一弘の二塁打を足がかりに一死三塁とし、髙橋が右前に弾き返して逆転に成功する。調子が尻上がりだった梅原は、7安打されながら1失点の力投でベスト8に駒を進める。

 

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NTT東京は髙橋賢司(写真)、永井勝則と新人賞に選出された

二人のルーキーの活躍もあって準優勝する。

 

 準々決勝は、中山製鋼と一発を打ち合う展開となる。2回裏に永井がセンターへ先制ソロを運ぶと、4回表に仲西良祐の中前安打で中山製鋼が追いつく。その裏に小屋亮彦の二塁打でNTT東京が再び1点を勝ち越すも、6回表に髙野 忍(元・巨人)のソロ弾で振り出しに戻る。だが、NTT東京はその裏に一死満塁と攻め立て、髙橋が左中間へグランドスラム。さらに、草野大輔の二塁打でリードを5点に広げ、さらに7回裏には池葉のソロでダメを押す。先発の小柳津博史は、9回表に仲西の2ランを浴び、マウンドをコーチ兼任の石平英一に譲ったが、8対4の快勝で4強入り。永井と髙橋の新人コンビが、バットで存在感を示してきた。

 

新人コンビが打線を活性化して決勝へ

 

 そうして迎えた準決勝では、日産自動車と壮絶な空中戦を繰り広げる。先発のマウンドには、2年目の右腕・浜手 誉が立つ。準々決勝までに先発した3人に続きたかったが、1回表に日産自動車の四番・鷹野史寿に3ラン本塁打を浴びるなど、いきなり4点を失ってしまう。その裏に1点を返したNTT東京は、2回から二番手に小野を送り込み、何とか試合を立て直そうとする。

 小野は3回表、小山 豪にソロ弾を許したが、その裏のNTT東京は打線が爆発する。池葉の2号3ラン、小屋のソロなどで5点を奪い、一気に6対5と逆転。日産自動車の先発・磯 貞之をマウンドから引き摺り下ろした。しかし、5回表には小山が2打席連続となる2ランを放ち、6対7と日産自動車にリードされてしまう。さらに、7回からは日産自動車が4点、NTT東京も髙橋の3号ソロなどで3点をもぎ取り、9対11と2点を追って9回裏の攻撃となる。

 服部、草野の連打で三番手の川越英隆(元・千葉ロッテ)を退け、代わった川上貴光も攻めて1点差とし、なお二死満塁に。一打サヨナラのチャンスで小屋が打席に立ったが、ここで川上が暴投。一気に2者が還り、あっけない形で12対11と逆転勝ちを収める。

 

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1点を追う9回裏二死満塁、暴投で2者が還り、NTT東京はサヨナラで決勝に進出する。

 

 決勝では20歳の左腕・小宮山政和が先発し、日本通運に1対11で敗れる。だが、5試合にすべて違う投手が先発し、打線はチーム打率.271、6本塁打と活発に機能した。中でも3本塁打7打点の髙橋が敢闘賞、16打数8安打の打率.500をマークした永井が首位打者賞を手にし、2人揃って新人賞にも選出される。こうして好スタートを切ったNTT東京は、都市対抗東京二次予選でも第一代表を勝ち取った。