JABA

JABA

メニュー

トピック TOPICS

2大会ぶりの優勝を振り返る -第30回BFAアジア選手権- 社会人野球NOW vol.10

hp_banner_yoko__small.png

 第30回BFAアジア野球選手権(台湾)に出場した社会人日本代表が、2大会ぶりに頂点に立った。今秋の杭州・アジア大会後に就任した川口朋保新監督のもと、高い投手力と団結力で日本の強さを見せつけた。

 今回のアジア選手権は社会人野球日本選手権直後の開催で、選考合宿や直前合宿は行われなかった。日本が世界一になった昨秋のU-23(23歳以下)W杯や、杭州・アジア大会のメンバーを中心にチーム編成が進められ、U-23W杯に続いて中村迅選手(NTT東日本)が主将を務めた。石井章夫前監督の方針を継承し、攻撃でバントはせず力強いスイングで速球を打ち返し、投手は直球を中心に押し込み、相手に向かっていく姿勢を求めた。【毎日新聞運動部・円谷美晶】

MicrosoftTeams-image (5).png

=金メダルを胸に優勝カップを掲げる社会人日本代表の選手たち

 初戦の1次リーグ、パキスタン戦では、先発を任された加藤三範投手(ENEOS)が声を出しながらの気迫ある投球で5回無失点。川口監督から「攻撃型2番」に抜てきされた向山基生選手(NTT東日本)が6打点と大暴れし、140で大勝。2次リーグの韓国戦では日本代表初選出だった秋山翔投手(三菱自動車岡崎)が6回1失点の好投で勝利に貢献。投打に選手が力を発揮し、1次リーグから無傷の5連勝で決勝進出を決めた。

 決勝の相手は地元・台湾。「アウェー」の雰囲気の中で、金メダルをたぐり寄せたのは、なんと言っても投手陣の踏ん張りだった。開幕戦に続いて先発した加藤投手が6回5安打無失点と好投。三回に味方が先制し、2番手の渕上佳輝投手(トヨタ自動車)も2回無失点でつないだ。1―0のまま迎えた九回には今夏の都市対抗野球大会で橋戸賞(最優秀選手賞)を獲得した嘉陽宗一郎投手(トヨタ自動車)が抑えで登板。先頭打者に出塁を許しても動じることなく、次打者を併殺に仕留めると、最終打者は直球勝負で見逃し三振を奪い、頂点に立った。

 嘉陽投手は「金メダルを取れてホッとしている。韓国や台湾相手に投手陣が最少失点に抑えられたことは手応えを感じている」と喜びを語る。川口監督は「日本の投手力はすごく高い」とした上で、「短期間によくコミュニケーションを取って投手の良さを引き出してくれた」と3人の捕手を優勝の立役者として讃えた。

 また、三回に値千金の先制タイムリーを放った向山選手は大会MVPと最多打点賞に輝き、「変化球に合わせて狙い撃ちできた。試合前から川口監督がすごくいい評価をしてくださっていたので自信を持って取り組めた」と振り返った。

名古屋・アジア大会を見据え

 ライバルの台湾や韓国がプロ選手を並べてくる中、日本はオール社会人での勝利。向山選手が「社会人野球という仕事に誇りを持ってやっている。それをアジア選手権制覇という形で表現できて良かった」と話せば、嘉陽投手は「プロ・アマというカテゴリーは関係ない。社会人野球のレベルも上がってきているので、今後も楽しみ」と胸を張る。

 見据えるは2026年に名古屋で開催されるアジア大会。今大会は台湾との2試合で2得点に終わるなど攻撃に課題が残り、中村選手は「韓国や台湾のような素晴らしい投手を打つために打撃を強化していきたい」と成長を誓う。川口監督は「初球からしっかり自分のスイングをしてチャレンジしてくれた」とたたえつつ、フィジカル強化などスイングスピードを上げる取り組みを求めた。3年後、再びその真価を証明してみせる。