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3連発で「2年目のジンクス」に別れ 日本製鉄鹿島・樫村昌樹内野手 社会人野球NOW vol.17

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 17日の第46回JABA日立市長杯決勝で三菱重工Eastに4―1で勝ち、2大会連続優勝を果たした日本製鉄鹿島。主役になったのは、「2年目のジンクス」を乗り越えた24歳、樫村昌樹内野手だ。 

 準決勝のJR東海戦で3打席連続2ランを放ち、「人生初」の1試合3本塁打をマーク。「1本目で自分の中でもしっかり振ることができたという感じがあった」とチームの全7点をたたき出す活躍でチームを決勝に導いた。

 三菱重工Eastとの決勝でも勢いは止まらない。一回2死走者なしから右翼フェンス直撃の三塁打を放ち、先制点をお膳立てした。打率5割8分8厘での首位打者賞と最高殊勲選手賞で表彰を受け、笑みがこぼれた。

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JABA日立市長杯決勝の三菱重工East戦で長打力を発揮した日本製鉄鹿島の樫村昌樹選手

台湾遠征で仲間から気づき

  2022年に入社し、新人ながら都市対抗北関東2次予選で首位打者賞を獲得するなど、チームの2年ぶりの本戦出場に大きく貢献した。

 しかし、2年目の昨季は納得する結果を出すことができなかった。ウエートトレーニングに比重を置き、体を大きくした。その反面、キレは今ひとつだった。「飛距離は出たが、力んで打ち損じたり、詰まらされたり。長打という気持ちが大きくて、逆に空回りした」

 試行錯誤の1年を経て、自分の「弱点」から脱皮するきっかけとなったのが、JABA選抜メンバーの一員として参加した「2023アジアウインターリーグ」(昨年11月25日~12月17日、台湾)だ。普段はライバルとして戦う仲間と異国の地で交流する中、復活へのヒントを得た。

 網谷圭将外野手(ヤマハ)にはフォームについての相談に乗ってもらった。「変化球を打たされたり、自分のスイングをさせてもらえなかったりという弱点が多かった。網谷さんが『打撃フォームをシンプルにしてしっかりミートすることを意識するようにした』と話していたので、僕も無駄なくコンタクトできれば、と考えて冬場の練習に取り組んだ」。その成果が日立市長杯で表れた。

 決勝を視察していた社会人日本代表の川口朋保監督は「第1打席にファーストストライクを三塁線にファウルしたが、その時にスイングスピードが格段に上がったと感じた。その後の三塁打はぐんぐん伸びていって右翼の頭を越え、力がついたなという印象を持った」と評価する。

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JABA日立市長杯で優勝し、表彰される日本製鉄鹿島の樫村昌樹選手

人一倍の「会社愛」で、狙う都市対抗切符

 樫村選手は4兄弟の上から2番目。兄は強豪の常総学院高で投手として3度、甲子園に出場するなど全員が野球経験者だ。小学1年の時に兄と一緒に地元・茨城のチーム「常陸大宮リトルリーグ」で野球を始め、水城高を経て、関甲新学生リーグに所属する常磐大に進学した。高校卒業後は就職も選択肢にあったが、「大学で野球をやらせてもらえるなら、アルバイトをして自分のことは自分でやる。あとは弟にお金を使ってほしい」と父に頼んだ。

 その言葉通り、大学時代、練習後は居酒屋など二つのアルバイトをしながら活動費を稼いだ。大学卒業後は地元の日本製鉄鹿島でプレーすることを望み、頼み込んで練習に参加した。野球を続けたい一心でプレーを披露し、入社を勝ち取った。

 そんな歩みだからこそ、「会社愛」は人一倍だ。

 「東京ドームに行くために1年間戦っている。会社の人たちからも『あそこで応援したい』と言われている。野球をさせてもらっている以上、連れていくのが僕たちの役目なんです」

 3年連続の都市対抗出場に向け、士気を高める。  【毎日新聞社野球委員会・中村有花】