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【GRAND SLAM PREMIUM 146】接戦と波乱の東北大会は王者・大阪ガスが初優勝

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 日本選手権の出場権を狙いつつ、都市対抗予選に向けてチームを仕上げていくJABA大会が、5月11日の東北大会、九州大会決勝で一段落した。今年は東芝、日本製鉄鹿島、日本通運、東京ガス、鷺宮製作所、ENEOSと6チームが優勝するなど、10大会中8大会で決勝に駒を進めた関東勢が投打に実力の高さを示している。ただ、東北大会だけはそうした流れにならなかった。

 東京スポニチ大会を制した東芝、2016年以降はJABA大会優勝で日本選手権への切符を手にしているトヨタ自動車が入ったAブロックでは、9回サヨナラの1対0でTDKに勝ったJR北海道硬式野球クラブが、トヨタ自動車には7回コールドの0対12と大敗したものの、4対3の接戦で破った東芝と2勝1敗で並ぶ。トヨタ自動車がTDKに勝てば、3チームが2勝1敗となるところだったが、TDKが意地を見せて5対4で競り勝ったため、当該対戦の勝利によってJR北海道硬式野球クラブが準決勝に進出する。

 BブロックはSUBARUが出場を辞退する中、JR東日本東北、トヨタ自動車東日本、バイタルネットが星を潰し合い、失点の少なかったJR東日本東北が4強入りする。また、CブロックではJR東日本に5対3で勝利した大阪ガスが、七十七銀行と日本製鉄室蘭シャークスも倒して全体1位で勝ち上がる。

 そして、Hondaが入ったDブロックでは、第1戦でHondaに6対5と鮮やかな逆転勝ちを収めた伏木海陸運送が、第2戦では日本製紙石巻と投手戦を展開。延長10回タイブレークの1対0で制し、この時点でベスト4入りを決める。北海道、東北、北信越のチームが揃って決勝トーナメントに進むのは、JABA大会で日本選手権の出場権を得られるようになって初めてだ。

 

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準決勝で先制2ラン本塁打を放ったJR北海道硬式野球クラブのルーキー・南木寿也(左)。準決勝に完投勝ちして敢闘賞を手にしたJR東日本東北の

工藤陽平(中央)。準決勝の1回表一死二塁で先制点を挙げる三塁打を放った伏木海陸運送の新人・鈴村 哲(右)。【写真=松橋隆樹】

 

 準決勝は、第1試合で大阪ガスとJR北海道硬式野球クラブが対戦する。4回裏二死一塁からルーキー・南木寿也の2ラン本塁打で先制したJR北海道硬式野球クラブは、続く5回裏にも二死から四球と安打で一、三塁とし、ベテランの丹澤 賢がライトへ三塁打を放って2点を追加。大阪ガスの好投手・田中誠也を打ち込んで4点をリードする。

 だが、このまま引き下がらないのが大阪ガスだ。6回表二死三塁から新人・橋本典之の中前安打で1点を返し、さらに敵失絡みで満塁になると、三井健右の内野安打で2点目。7回表には一死一、二塁から鳥飼力斗の二塁打で4対4の同点に追いつき、8回表には一死二、三塁から山川晃汰の中犠飛で逆転する。6回から登板した秋山遼太郎がこのリードを守り、大阪ガスが決勝に進出する。JR北海道硬式野球クラブは3失策にバッテリーエラーやボークなど、守備の乱れで試合の流れを手放したのは痛かったが、チャンスにたたみかける大阪ガスの攻撃も見事だった。

 準決勝第2試合は、1回表に新人・鈴村 哲の三塁打など3安打で伏木海陸運送が3点を先制するも、JR東日本東北の先発を任された工藤陽平は、そこから立ち直って追加点を許さない。すると、打線が3回までに同点に追いつき、5回裏には金沢龍介の二塁打から4連打で2点を勝ち越し。さらに1点を加え、工藤は114球で完投勝利をマークする。

 そして、決勝は大阪ガスが若きエースの河野 佳、JR東日本東北はベテラン左腕の西村祐太が先発し、1対1の投手戦で5回を終える。後半に底力を発揮したのは大阪ガスだった。6回裏一死から、五番・清水聖也の中前安打を皮切りに4連打で3点を加え、西村祐をKO。代わったルーキーの津高弘樹から二死後に1点を追加すると、7回から登板した左腕の宮本大勢がJR東日本東北の反撃を1点に抑えた。大阪ガスは、3連覇がかかる日本選手権の出場権を手中に収めるとともに、都市対抗近畿二次予選に向けて弾みをつけた。なお、最高殊勲選手賞は鳥飼力斗捕手(大阪ガス)、敢闘賞は工藤陽平投手(JR東日本東北)、首位打者賞は打率.500で古川昂樹選手(大阪ガス)が手にした。

 

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初優勝に貢献した大阪ガスの選手たち。左から、決勝に先発し、6回1失点の好投を見せた河野 佳。打率.500で首位打者賞の古川昂樹と最高殊勲選手賞の鳥飼力斗。

 

 元JR東日本東北監督で、日本野球連盟クラブ野球活性化委員会委員長も務める内海利彦理事は、大会をこう総括する。

「リーグ戦21試合中、3点差以内が17試合。1点差は11試合と、出場チームの実力が高いレベルで拮抗しており、Honda、JR東日本、東芝、トヨタ自動車など都市対抗で優勝経験もある強豪がリーグ戦で敗退した。強豪を倒したチームは自信をつけたでしょうし、そんな中を勝ち抜いた大阪ガスは、日本選手権を連覇している実力をしっかりと発揮しました。地元のファンにとっても、見応えのある大会になったと思っています」

 JABA大会は、開催地区のチームが躍進すると、より面白くなると実感した。そして、息つく間もなく5月20日には、都市対抗東海二次予選が開幕する。さぁ、社会人野球にとって、一番熱い季節が訪れる。

【文=横尾弘一】

 

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