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【GRAND SLAM PREMIUM209】トヨタ自動車が7年ぶり2回目の黒獅子旗を獲得!!

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 7月14日から12日間にわたって熱戦が繰り広げられた第94回都市対抗野球大会は、25日に決勝が行なわれ、4年ぶりに頂上決戦まで駒を進めた豊田市・トヨタ自動車が、実に33年ぶりの決勝進出を果たした浜松市・ヤマハと対戦。4対2で勝利を挙げたトヨタ自動車が、7年ぶり2回目の優勝を飾った。

 「うちの選手たちは凄いんです」

 優勝監督インタビューで藤原航平監督がそう言ったように、トヨタ自動車の選手は心身ともにタフだ。質、量ともに豊富な普段の練習をこなす上に、ベンチ登録を巡る競争も激しい。今大会で3試合に先発し、3勝をマークして橋戸賞に輝いた嘉陽宗一郎も、準優勝した2019年はベンチから外れた。補強選手に役割を奪われたということだったが、当時の嘉陽は日本代表入りし、ドラフト候補としても注目されていただけに、他チームの監督も驚きを隠せなかった。そうした熾烈な競争でチーム力を高めていくゆえ、藤原監督をはじめコーチ陣は選手のメンタル・ケアにも余念がないという。実際、昨年のウインター・リーグに選手を派遣した際には現地で視察し、6月の北海道大会では補強選手のプレーをチェックする藤原監督の姿があった。「勝つために全力を尽くす」という姿勢の下で、チームは一丸となっている。

 その一方では、シ―ズンオフに近隣の小学校を訪問したり、シーズン中のオープン戦でも観戦者を対象にイベントを催すなど、地域貢献や野球の普及を視野に入れた活動にも注力する。そうして、選手たちの心を育み、学生たちから「トヨタで野球を続けたい」というチームに成熟したことが、ここ二十余年で叩き出した都市対抗優勝2回、準優勝2回、日本選手権優勝6回という圧倒的な実績にもつながっている。

 それでも、3月の鹿児島県薩摩川内キャンプを取材した際、主将の北村祥治はこう言った。

「ここ何年かは勝ち切れていない。だから、僕が引っ張っていくスタイルではなく、全員がキャプテンという意識を持ち、何かあれば僕がまとめていくように心がけています。そうして、全員が都市対抗優勝を信じてプレーできるようなチームにしたい」

 そして、最高の結果を残した直後にも、「この大会で優勝できなければ、しばらく勝てないんじゃないかと思っていました」と安堵の表情を見せた。

 振り返れば、同業対決でも注目されたHondaとの一回戦から、二回戦では連覇を狙うENEOSと対戦。準々決勝以降も日本通運、JR東日本、ヤマハと、対戦した5チームすべてが過去に黒獅子旗を手にしている。これは、東芝、NTT東京(現・NTT東日本)、プリンスホテル、日本石油(現・ENEOS)、熊谷組を連破した1992年の日本生命に次いで大会史上2回目の快挙だ。

 だが、選手たちは異口同音にこう語る。

「目指すのは、全鐘紡しか達成していない都市対抗3連覇。今回の優勝は、そのスタートラインに立っただけです」

 まずは、優勝で出場権を得た11月の第48回社会人野球日本選手権大会での連覇に突き進む。そして、日本代表でも主将を務める北村ら何名かの選手は、その前に第19回アジア競技大会(中国・杭州市)で金メダルに挑む。

【文=横尾弘一/写真=藤岡雅樹】

 

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