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【GRAND SLAM PREMIUM216】新鋭・エイジェックが日本選手権に初出場を決める!!

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 第48回社会人野球日本選手権大会の関東最終予選では、ともに本大会初出場を狙う北関東の新鋭同士の戦いが繰り広げられた。

 茨城日産は、二回戦で今夏の都市対抗で4強入りしたJR東日本を下して勢いに乗る。その試合で1失点完投と、勝利の立て役者となったのが大西海翔だ。関東学院大出のルーキー右腕は、エイジェックとの代表決定戦でも先発マウンドに登る。一方のエイジェックも、同じくルーキー右腕で東洋大出の河北将太が先発を担う。立ち上がりに不安があったのは、その河北だった。

 1回表に茨城日産のリードオフ・佐々木風人に右前安打を浴び、さらに四死球を与えて一死満塁となる。また、3回表には佐々木の内野安打、佐藤天寅の左前安打、さらに藤江康太への死球で無死満塁のピンチを背負う。それでも、粘り強さを発揮して先制点を与えず、茨城日産は絶好の先制機を逃す。我慢の投球を見せた河北は言う。

「苦しかったけれど、無失点に抑えられたのはよかった。満塁のピンチでも、気持ちの部分でギアチェンジすることができ、落ち着いて強いボールで勝負できた」

 河北の持ち味は、150キロ超の速球とスプリット・フィンガーだ。3回表無死満塁から、茨城日産の四番に座る川崎進也にはスプリット・フィンガー、続く芦名 望に対してはストレートで、ともに空振り三振に仕留めた場面は圧巻だった。

 直後の3回裏、ゲームは大きく動き出す。先頭のルーキー・木下将吾がセーフティ・バントを決めて出塁。草野里葵の右前安打に四球も絡んで二死満塁と攻めると、中原輝也が中前へ2点タイムリーを放ってエイジェックが先取点を奪う。なお二死一、二塁から、四番を務める内田靖人が左越えの二塁打で2点を追加。4回裏には、岡島 颯のスクイズと主将・京橋幸多郎の中前安打でさらに2点をもぎ取り、流れは完全にエイジェックだ。今予選で快投を演じてきた茨城日産の大西も、その勢いを食い止めることができなかった。

 

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ともに初出場をかけた北関東のライバル・茨城日産を7回コールドで下し、喜びを爆発させるエイジェックの選手たち。

 

 中盤以降の河北は、本来の投球を取り戻した。6イニングスを投げ切って3安打無失点。7回表をエース右腕の金城乃亜が3者凡退に抑えると、その裏に内田の二塁打で1点を加えたエイジェックは、7回コールドゲームで勝利。創部6年目で初めて代表権を獲得した。難波貴司監督は言う。

「凄い選手がいるわけではないんですけど、つないで得点する。そして、『野球の流れ』を大事にしようと常に言っています。この試合でも序盤にピンチはありましたが、流れはこちら側にあったと思います。マウンドの河北が辛抱して、3回裏に二死から中原と内田が打って得点できたのが大きかった」

 難波監督と茨城日産の渡邉 等監督の間には、日本選手権にまつわる物語がある。1994年の第21回大会。日本通運の難波と日産自動車の渡邉は、ともに決勝の舞台に立った。壮絶な打ち合いとなった一戦は、9対8で日本通運に軍配が上がる。その記憶を呼び起こしながら、難波監督はこう語る。

「一番センターの難波、二番サードの渡邉さん。互いに主将として挑んだ日本選手権の決勝でした。そんな約30年前のことを懐かしく思い出しながら、今回の代表決定戦を戦わせていただきました。その巡り合わせも、社会人野球の歴史と言うんでしょうか。この一戦を通して、社会人野球のそんな側面も感じました」

 

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2021年の都市対抗に続き、日本選手権にも初出場するエイジェックの戦いぶりが楽しみだ。

 

 エイジェックの日本選手権初出場も、社会人野球の歴史に新たに加わった1ページ。京セラドーム大阪でも躍進し、新たな風を吹き込むつもりだ。

【文・写真=佐々木 亨】

 

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