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【GRAND SLAM PREMIUM217】世代交代した信越硬式野球クラブが4大会ぶりに日本選手権へ!!

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 第48回社会人野球日本選手権大会の最終予選は各地区で熱戦が繰り広げられ、残す代表は北海道と九州となった。対象大会優勝で出場権を得たチームと合わせ、現時点で連続出場が16、復活と初出場が12チームの中で、最長ブランクは新日本製鐵光だった1993年以来28大会ぶり出場の日鉄ステンレスだが、北信越では信越硬式野球クラブが4大会ぶりに出場権を勝ち取った。

 

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信越硬式野球クラブは、大逆転で7大会ぶりの日本選手権出場を決めた。

 

 都市対抗出場14回のNTT信越が前身で、クラブ化以降も東京ドームに10回出場し、2007年に日本通運、2015年は日立製作所と優勝候補を倒した北信越の雄も、世代交代の波の中で2019年の都市対抗を最後に二大大会から遠ざかっていた。日本選手権は、2015年に長野県知事旗大会優勝で切符を手にしているが、2018年以降は北信越予選で涙を呑んでいる。

 ただ、その2019年の都市対抗にルーキーで出場した百目鬼浩太は、強打の遊撃手として、その年のアジア・ウインター・ベースボールに出場。10月に開催される第19回アジア競技大会に出場する日本代表の最終候補にも選出され、今後も日本代表入りする可能性がある社会人でもトップクラスの実力だ。また、昨年に入部した右腕の工藤稜太は、U23ワールドカップの日本代表として世界一を経験。今季も着実な進化を見せている。

 昨シーズンに総監督としてチームへ復帰した箱山和宏監督で臨む今季は、都市対抗北信越二次予選で快進撃を見せる。一回戦で左腕・酒井大輝から4投手のリレーでIMF BANDITA富山をシャットアウトし、準決勝では3回までに7安打で4点を奪い、工藤が6回を2失点の好投で伏木海陸運送に競り勝つ。そうして代表決定戦に駒を進めたが、独立リーグからの転籍組・宮野結希と佐渡俊太が社会人の洗礼を受け、010とバイタルネットに完敗してしまう。

 それでも、夏場のオープン戦ではセガサミーや鷺宮製作所とも接戦を展開し、選手たちも個々にスキルアップして日本選手権北信越最終予選を迎える。ベーブルース杯大会で優勝した伏木海陸運送が出場しないものの、JR新潟、IMF BANDITA富山、代表決定戦の3連戦は、体力のみならずメンタルのセルフ・コントロールもポイントになる。たとえ劣勢に立たされても、どこまで諦めずに戦い抜くことができるか。最高の成果を上げたい戦いは、915日に富山アルペンスタジアムで幕を開ける。

 JR新潟との一回戦は、ルーキーの大島瑠綺が5回まで無失点の好投。1回裏一死三塁から樫山 瑠の中犠飛で挙げた1点のみの援護だった打線も、6回裏一死一、三塁から山田義喜の中前安打などで3点を追加し、40で快勝する。二回戦ではIMF BANDITA富山を序盤の猛攻で2117回コールド)と一蹴し、都市対抗代表のバイタルネットに競り勝ったロキテクノ富山との代表決定戦に臨む。

 

ロキテクノ富山のペースで試合は進んだが……

 

 主将・樫山の「あとひとつ。 チャンス信越を背に『アレ』しましょう!」というメッセージがオーロラビジョンに表示された試合は、1回表に3安打で一死満塁としたロキテクノ富山が、清水颯大の左前安打で2点を先制する。立ち上がりは制球が定まらなかった信越硬式野球クラブの左腕・酒井大輝は、2回以降は何とか立ち直り、4回までをこの2点で凌ぐ。

 4回裏一死二塁から下川原 輔がレフトへ運んで1点を返した信越硬式野球クラブは、なお満塁と攻め立てるも、酒井仁汰は遊ゴロ併殺に打ち取られる。前半を終え、試合の流れはロキテクノ富山に傾いていると思えたが、信越硬式野球クラブのダグアウトからは元気な、前向きな、チーメイトを鼓舞する声しか聞こえない。5回から登板した工藤が、いきなり二塁打を許し、内野ゴロと暴投という嫌な3点目の取られ方をしても、信越硬式野球クラブは自分たちが押しているようなムードで試合を進めていく。

 

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8回裏に同点に追いつき、なお無死満塁から、左中間に逆転の3点三塁打を放った原 雄士(右)はスタンドの声援に応える。

 

 5回裏に先頭の成澤圭祐が中前に弾き返すも、ロキテクノの小刻みな継投に7回まで打者9人が続けて打ち取られてしまうが、チャンスは8回裏に訪れる。川嵜周哉と樫山の連打に、百目鬼の犠打は敵失を誘って無死満塁。ロキテクノ富山は四番手に澤柳亮太郎を送り込むも、死球と野選で同点に追いつくと、原 雄士が左中間を破る走者一掃の三塁打を放つ。声を枯らして声援を送ってきたスタンドの応援団に、原は三塁ベース上からガッツポーズで応える。さらに、酒井仁の中前安打で7点目を挙げた信越硬式野球クラブは、9回表を抑えた山 彰太が帽子を高々と空に投げ、瞬く間に歓喜の輪ができる。

 

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9回表を抑えた山 彰太は、帽子を高々と投げたあと大きなガッツポーズを見せる。

 

 多くの選手が初めてとなる全国の舞台でも、痛快な試合運びを見せられるか。そして、旋風を巻き起こせるか。信越硬式野球クラブの一回戦を楽しみに待ちたい。

【文・写真=横尾弘一】

 

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