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【GRAND SLAM PREMIUM220】◆第19回アジア競技大会◆銅メダルの悔しさをどう3年後につなげるか

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 第19回アジア競技大会でオープニング・ラウンドのグループAで2位となった日本は、スーパー・ラウンド第1戦で韓国と対戦。先発の嘉陽宗一郎(トヨタ自動車)は繊細かつ力強い投球で3回までを無安打に抑え、連打で無死一、三塁とされた4回裏も、四番を三振に仕留めるなど先制点を許さなかった。

 しかし、1回表に中川拓紀(Honda鈴鹿)が四球と二盗で無死二塁のチャンスを築くも、二番の望月直也(トヨタ自動車東日本)は三振に倒れ、北村祥治(トヨタ自動車)が三遊間を破って一死一、三塁としたが、四番の佐藤竜彦(Honda)は一邪飛に倒れるなど先制することができない。日本は5回までに先頭打者が3回出塁したものの、強攻策がことごとく裏目に出てしまう。

 すると、6回裏に二塁打と犠打で一死三塁とした韓国は、2三振の四番が意地の左犠飛で先制。8回裏にも2点目を奪い、3投手のリレーで日本を完封する。これで決勝進出がなくなった日本は、翌日のチャイニーズ・タイペイとの対戦では二番に下川知弥(NTT東日本)、七番に金子聖史(東芝)とベテランをスタメン起用する。

「チームは長打で相手を圧倒しようとやってきましたが、それが勝ちには結びつかなかった。僕らベテランは、普段の社会人でもつなぐ攻撃の大切さを肌で感じているので、下川ともつなぐ役割や相手のスキにつけ込む野球で貢献しようと話していました」

 そう金子が言うように、下川は1回表に左前安打を放つとスタートよく二盗、三盗を決める。また、金子は2回表一死から一塁走者の辻野雄大(Honda)がスタートを切るとセンターの右に弾き返して一、三塁とチャンスを広げ、続く向山基生(NTT東日本)が左前に弾き返し、19イニングスぶりの得点となる先制点を奪う。さらに、4回表には先頭の金子が四球を選び、捕手が投球を弾く間に二塁を狙うと、捕手の送球が逸れる間に三進。一死後に丸山壮史(ENEOS)がセンターへ運んで2点目を奪う。そのまま6回降雨コールドで挙げた勝利は、日本らしい攻撃で挙げたものと言えた。

 そうして、中国との3位決定戦に臨む。先発の堀 誠(NTT東日本)が1回裏に3安打で1点を先制されるも、2回表一死から辻野の四球、金子の二塁打、鈴木聖歩(JR東日本東北)のライト線への2点タイムリーで逆転。ところが、3回裏に逆転2ラン本塁打を許し、そこからはまた打線が無安打に抑えられてしまう。

 嫌なムードの中で迎えた8回表、先頭の丸山はフルカウントからファウルで粘った末にライト線への二塁打を放つ。日本は基本的にノーサインで攻撃していたが、中川は自ら犠打を試み、ファウルになると二ゴロで丸山を三塁へ進める。ここで代打に起用された猪原隆雅(ミキハウス)は、押っつける打撃で一、二塁間を破って同点に。ようやく勢いを取り戻した日本は、北村が四球、佐藤は投手強襲安打で満塁とし、途中出場の南木寿也(JR北海道硬式野球クラブ)が詰まったゴロを放つと敵失を誘い、4対3と逆転に成功する。

 その裏からは、佐竹功年(トヨタ自動車)が登板。打者6人から4三振を奪う完璧なリリーフで、何とか銅メダルを死守した。6試合で6失点と文句なしの結果を残した投手陣に対して、攻撃面では本塁打がゼロ、チーム打率.250と苦しんだ。主将の北村は、悔しい結果をこう振り返る。

 

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雨の中で中国との3位決定戦に4対3で勝ち、木南 了、佐竹功年、主将の北村祥治(左から)らベテランは安堵の表情を見せる。

【写真=宮野敦子】

 

「チームがテーマとした長打力については、個々の選手がしっかり取り組んで力をつけられたと思います。ただ、目の前の試合に勝つことを考えれば、場面ごとにどういうバッティングをすべきか判断して実行しなければならない。もちろん、そこには相手との心理戦もあるわけです。今回は、そうした能力アップの部分には注力するものの、打撃面での状況判断が甘かった選手もいたかな、というのが率直な感想です。国際大会に限らず、都市対抗や日本選手権の一発勝負では、そうした判断力や対応力が大切になってくる。自分の特長を伸ばすのと並行して、若い選手には勝利を引き寄せられる対応力を責任を持って勉強していってほしいですね。中国と韓国に2試合続けて完封されたあと、チャイニーズ・タイペイ戦で下川さんと金子さんがスタメンに入ったら打線がつながったのも、ベテランは勝つために何をすべきかが頭にも身体にも染みついているし、だからこそ生き残っているのだと思います。今後は、個々のスキルアップと対応力アップを両立していけるようにしたいですね。僕自身も凄く悔しかったので、日本選手権ではトヨタ自動車として、そうした勝てる野球を見せつける気持ちで臨み、いい形で今シーズンを締め括れるように頑張ります」

 3年後に名古屋市で開催される第20回アジア競技大会に向けて、新生・日本代表は12月3日から台湾で行なわれる第30回BFAアジア野球選手権大会からスタートする。どんな選手が日本代表に選出され、どういう戦いを見せてくれるのか期待したい。

【文=横尾弘一】

 

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