JABA

JABA

メニュー

トピック TOPICS

【GRAND SLAM PREMIUM227】さらなる進化を求める橋本典之――第30回BFAアジア野球選手権大会が開幕する

bnr_grandslam_cmyk.jpeg (218 KB)

 第48回社会人野球日本選手権大会で大阪ガスが2大会ぶり3回目の優勝を飾り、社会人野球の2023年シーズンは幕を閉じた。だが、日本代表や国際大会でのプレーを目指す選手たちにとっては、大事な戦いがまだ続く。123日から10日には第30BFAアジア野球選手権大会が台湾で開催され、24名の日本代表がアジア王座を目指して戦う。また、その日本代表の強化を目指して出場するアジア・ウインター・ベースボールは、すでに1125日から台湾で行なわれており、こちらでも延べ34名の選手がプレーする。この2大会に最多の5名を送り出す大阪ガスで、昨年の第4U23ワールドカップに続いて日本代表入りしたのが橋本典之だ。

 橋本は出雲高2年夏に甲子園の土を踏み、慶大ではリーグ優勝を4回経験する。特に4年時は春秋連覇を達成する中で、目を見張る勝負強さを発揮した。昨春に大阪ガスへ入社すると一番ライトに定着し、チームでは三井健右に次ぐ公式戦打率.358をマーク。そうした活躍を認められて全日本ジュニア強化合宿に招集され、U23ワールドカップに出場する日本代表にも選出される。

 

GSP227-1.JPG

大阪ガスの橋本典之は、日本生命との準決勝で試合の流れを引き寄せる同点ソロ本塁打を放つなど優勝に貢献した。【写真=松橋隆樹】

 

 U23日本代表は24名の社会人選手で編成され、プロ選手を擁するチームを連破して世界一の栄冠を手にする。橋本もその一員となったが、9試合中7試合に出場するも大半は守備固めで、5打席でヒットなしとバットでは貢献することができなかった。チームの勝利を最優先にプレーするのが橋本のモットーであり、U23ワールドカップでの経験は野球観をさらに広げてくれたと実感した。ただ、自身のパフォーマンスについては物足りなさを感じ、今季は攻守に活躍してチームを勝たせることをテーマとした。

 ところが、都市対抗は近畿二次予選で代表決定戦にも進めずに敗れ、三菱重工Westに補強されたものの東京ドームでは一回戦で姿を消す。日本選手権では何とか巻き返したいと考えていたが、ケガもあって近畿最終予選を欠場していたところ、アジア選手権の日本代表に選出される。

 そうして、一番ライトで日本選手権に臨むと、東芝との一回戦では同点に追いつかれた直後の4回裏二死満塁からセンター前へ勝ち越しの2点タイムリーを放ち、逆転を許した直後の7回裏には一死から反撃開始の二塁打。2安打2打点1得点で勝利に貢献する。さらに、日本生命との準決勝では3回裏に同点ソロ本塁打をライトスタンドへ叩き込み、打撃戦となったHonda熊本との決勝では9回表二死一、二塁でライト線の当たりをスライディングキャッチ。ウイニング・ボールを手にした橋本は、攻守にわたって印象に残る働きを見せた。

 表彰式が終わり、優勝メダルを下げた橋本は、充実した表情でこう語った。

「シーズン中は大阪ガスで日本一を勝ち取ることに集中していますが、気持ちのどこかでU23からA代表にステップアップしたいとは思っていました。だから素直に嬉しいですけど、僕でいいのかという不安もあります」

 慶大の頃から、橋本が試合のポイントとなる場面で活躍する姿は何度も見てきた。それも大切な働きなのだが、橋本自身はもっとコンスタントに数字を残したいと考えている。確かに、日本選手権では5試合にフル出場したが、19打数3安打の打率.158。大阪ガスから8名が選出された大会優秀選手にも、橋本の名前はない。

「この大会を終えて、ひとつ変えたいと思うところはあります。準決勝で打ったホームランについて『あれは奇跡です』と発言したんですが、峰下(智弘)さんから『あの発言は何だ』と注意された。自分のプレーを奇跡とか幸運と表現するのは、謙虚さではなく逃げだと感じるようになりました。自分が残した結果はしっかりと認め、いいバッティングをできたなら次も、という責任感を成長につなげていきたいですね」

 

GSP227-2.JPG

日本選手権で優勝した自信を胸に、橋本は第30回BFAアジア野球選手権大会に臨む。【写真=松橋隆樹】

 

 U23ワールドカップでチームメイトだった中村 迅(NTT東日本)ら5名は10月のアジア競技大会で日本代表入りを果たしており、橋本ら7名がそれに追いつく形で再び侍ジャパンのユニフォームを着る。

「前回よりもチームに貢献できるように、しっかりとチャレンジしたいと思います」

 第30BFAアジア野球選手権大会は123日に台北ドームで開幕し、日本は翌4日からパキスタン、タイ、フィリピンとオープニング・ラウンドを戦う。橋本は、どんな活躍を見せてくれるだろうか。

【文=横尾弘一】

 

グランドスラム62は好評発売中です!!

GSPPR-62__medium.jpg

紙版(左)、電子版(右)とも、どうぞよろしくお願い致します。