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【GRAND SLAM PREMIUM244】新監督に聞く⑥――申原直樹(ヤマハ)

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 昨シーズンのヤマハは、3回目の優勝を果たした1990年以来、実に33年ぶりに都市対抗で決勝へ進出した。そんな伝統あるチームを今季から率いるのが、昨年はスカウト兼総合コーチとしてチームを支えた申原直樹だ。

「昨年の都市対抗では、あと一歩のところで黒獅子旗をつかみ取れなかった。それでも、毎日、直向きに練習を積み重ねれば、決して手の届かないものではないと、選手たちは実感したはず。今後の野球人生において、大きな経験をしたと思います」

 そうして高めた経験値を、今季の戦いにつなげたい。申原監督は、「常勝チームになるための一年にしたい」ときっぱり言う。

 兵庫県出身の申原は、報徳学園高で内野手として活躍し、中央大では巨人を率いる阿部慎之助監督の1年後輩。4年時には阿部から主将を引き継ぎ、ヤマハへ入社すると4年間の現役生活を送った。

 

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控え選手の立場も理解するなど、すべての選手に寄り添う姿勢で名門・ヤマハを率いる申原直樹監督。【写真=藤岡雅樹】

 

「社会人では、レギュラーになれなかった。だからこそ、控え選手の気持ちがわかるし、その経験は昨年、12年ぶりにコーチとして現場に戻り、今こうして監督という立場になってからも生きています。一人ひとりの選手に寄り添い、積極的に声をかける姿勢は、これからも変わることはありません」

 現役を終えてから担った4年間のマネージャー業でも、しっかりとした信頼関係を築く大切さを学び、組織作りに大事なものは何かということを考える時間が多かった。さらに、社業を務める中でも、それらの重要性を感じてきたという。

「社業を通じてあらためて思ったのは、ひとつの成果を上げるためには多くの人々が関わっているということ。ひとりでは何もできない。だからこそ、人とのつながりを大切にしなければいけない。野球においても、そこは大事な要素だと思っています」

 戦略的には、これまでに築いてきた打線の破壊力をベースにしながら、走塁などを積極的に絡めた粘り強い攻撃で挑む。その中で、申原監督が求めるのは「スキのない守備」だ。

「守りから相手チームを圧倒して、攻撃のリズムが生まれるチームを目指していきたい」

 昨夏の都市対抗決勝で敗れたトヨタ自動車は、同じ東海地区のライバルであり、藤原航平監督は申原にとって中央大の同期生だ。大学4年時は申原主将を、藤原副主将が支えていた。

「大学の同期と、都市対抗決勝で顔を合わせたことには特別な思いがありました。そして、次は監督同士で対戦できたら『もっと面白いよね』と、藤原監督とも話しているんですよ」

 もちろん、今度はヤマハが黒獅子旗を手にするイメージを膨らませながら……。

「選手とスタッフ、みんなで戦っていきます」

 3月21日には東海地区春季大会に臨み、一回戦でHonda鈴鹿を14対6と圧倒しながら、二回戦では東海理化に4対7で敗れた。今年も実力伯仲の様相を呈している東海地区から、4回目の都市対抗制覇を目指し、申原はルーキー監督のシーズンをスタートさせている。

【取材・文=佐々木 亨】

※週刊グランドスラムは、次週からスポーツナビに戻り、毎週金曜日になります。引き続き、ご愛読をお願い致します。

 

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