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第94回都市対抗野球が閉幕 谷田部専務理事に聞く(下) 社会人野球NOW vol.3

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 豊田市・トヨタ自動車の優勝で幕を閉じた第94回都市対抗野球大会。大会を通じて得た収穫と課題を、JABAの谷田部和彦専務理事に聞いた。【聞き手:毎日新聞社野球委員会事務局長・栗林創造】

写真①トヨタ.jpg

=優勝パレードで歓声に応えるトヨタ自動車の選手たち(愛知県豊田市で2023年7月29日)

クロックボードを初めて設置

--都市対抗で初めて、ピッチクロック用のタイマー「クロックボード」が設置されました。

都市対抗の平均試合時間は、昨年が2時間44分、その前が2時間45分でした。今年は手元の集計で2時間38分です。今回、1回戦は応援団コンクールの演技のため五回裏のインターバルが通常より1~2分長くなっています。試合そのもので言えば7分程度の短縮ということになるのでしょうか。「長いな」と感じる試合もあり、体感では昨年の試合時間を上回っていると思ったのですが、試合時間は確実に短くなっています。

--シーズンインから都市対抗前までの分析では、昨年のJABA大会や都市対抗2次予選に比べて約15分の短縮という数字でした。

JABA大会や2次予選と異なり、都市対抗では投手が慎重になりすぎて投球数が多くなっていたようです。また、四球や残塁が多かったことも要因だと思います。ただ言えることは、昨年より7分短縮しているということ。これはかなり大きな数字だと思います。3時間を超える試合がありましたが、ピッチクロックがなければもっと時間がかかっていたかも知れません。時間短縮という点では間違いなく成果は出ています。一方で課題も見えてきましたので、しっかりと検証し改善に努めてまいりたいと思います。

写真②ピッチクロック用のタイマー.jpg

ピッチクロック用のタイマー。赤数字が秒を示している

写真③審判員.jpg

ピッチクロック(投球間隔)の違反を指摘する審判員

目的は社会人野球の魅力向上

--改めてうかがいますが、ピッチクロック導入の狙いとは。

これは何度も言っているのですが、ピッチクロックは手段であって目的ではありません。リズムがいい、テンポがいい、無駄な牽制がない、無駄に打席を外さない――。つまり、社会人野球の魅力を向上させることが目的です。ピッチクロックはいらないという意見もありますが、我々は1日3試合を、ある程度予定通りやらねばならない。スピードアップは避けて通れない課題です。

--他のカテゴリー、他団体に先がけてのタイマー設置になりました。

ピッチクロックに限ったことではありません。社会人野球では、投球や打球の軌道を計測するトラックマンの数値を公表しています。MLBがやっていることを、国内の他団体に先がけて取り入れた形です。社会人野球がいろいろな面で先頭に立ち、いいものはどんどん取

り入れる。それが、社会人野球の魅力向上につながるのではないでしょうか。

写真④物産展.jpg

周辺では物産展も開催され多くの野球でにぎわった

熱中症対策と電子チケット

--暑い日が続きました。来場者の熱中症対策がますます重要になってきます。

一般のお客様は、既に導入していますが、チーム券のチケットの電子化の導入が大きなポイントだと思います。既に導入しているチームもあります。特定シードのチームなどは、受付で長い行列ができてしまいます。お客さんが並ばなくていいし、出場チームのスタッフもそれほど多くいらない。その良さをチームに理解していただく必要があると強く思いました。

電子チケットは一定の費用がかかるため、「ちょっと」というところがあるのかも知れません。しかし、健康面でのメリットを考えれば、お金がかかっても電子チケットがいいと考えていただけるよう、企業に働きかけます。指定席になって少し条件は良くなっていますが、受付に並ぶという部分は解決できていません。電子チケットは熱中症対策として有効な手段であると考えています。