トピック TOPICS
横浜市・ENEOSに栄冠 応援団コンクール 社会人野球NOW vol.32
7月に開催された第95回都市対抗野球大会の応援団コンクールで最優秀賞に輝いたのは、横浜市・ENEOSだった。1993年の第64回大会以来31年ぶりで、通算3回目の受賞となった。港町である横浜市を前面に出した構成と、洗練された演技力が高い評価を受けた。優秀賞には、浦添市・沖縄電力、敢闘賞には、札幌市・北海道ガスが選ばれた。昨年新設された、ファン投票で選ぶMIC(Most Impressive Cheer)賞は、東京都・明治安田が2年連続の受賞となった。【毎日新聞社野球委員会・藤野智成】
=最優秀賞に輝いた横浜市・ENEOSの応援団
応援団コンクールは都市対抗野球の名物である華やかな応援合戦を表彰する制度として、1963年の第34回大会から実施されている。新型コロナウイルス感染拡大による中断を経て、昨年、4年ぶりに復活した。対象は1回戦16試合の試合前のエール交換から試合後のエール交換までで、今年も五回終了後には両チームが2分ずつ「SHOW TIME」と題してパフォーマンスを披露した。採点基準で「郷土色」を織り込んだ演出が重視されることになり、各チームとも趣向を凝らした構成が目を引いた。スタンドの盛り上がりや統率力などを含めて、有識者を招いた選考委員会で、総合的に審議された。
港町から出航、手旗信号も
最優秀賞のENEOSの「SHOW TIME」は、港町から優勝に向けて出航するとのコンセプトで、そろいのマリンルック姿で、手旗信号を取り入れた統率のとれた演技で魅了した。「パフォーマンスが洗練されていた。試合中にチアやブラスバンドも衣装を替えるなど演出でも工夫を凝らしていた」と高く評価された。応援団責任者の高橋大気さん(27)は「受賞を聞いた時はびっくりしました。港町・横浜の郷土色を出し、観客を含めて日本一の応援で盛り上げようと、練習の時から常に細部にこだわってきました。31年ぶりの最優秀賞ですので、皆で喜びを分かち合いたいです」と声を弾ませた。
=表彰される横浜市・ENEOSの応援団
エイサー迫力で、沖縄電力に優秀賞
優秀賞には10年ぶりの出場となった沖縄電力が選ばれた。開幕戦で昨年王者の豊田市・トヨタ自動車にサヨナラ負けして沖縄県勢初勝利に一歩届かなかったが、その白熱した試合を支えたのが熱狂的な応援だった。伝統芸能の「エイサー」を駆使して、白いバルーン、指笛、踊りでスタンドが揺れるような一体感を広げた演出は「沖縄独特の明るさで会場全体を明るくした」と称された。団長の當山雄基さん(27)は「沖縄県から5000人以上がスタンドに駆けつけ、全員で一緒に取れた賞だと思います。選手の方からも『応援の後押しがすごかった』との声が聞けたので、応援団冥利に尽きます。来年も戻ってきて、必ず1勝します」と更なる後押しを誓った。
=表彰される浦添市・沖縄電力の応援団
ソーラン節呼応で、敢闘賞に北海道ガス
敢闘賞は北海道ガスが受賞した。北海道発祥の「ソーラン節」を迫力満点に取り入れた応援で、東京第1代表のNTT東日本を破り、北海道勢100勝に到達する節目の勝利を後押しした。応援団のメンバーの大半が入社1~3年の社員であり、終業後に練習を重ね、若さと情熱でもり立てた。「ソーラン節に統一感、迫力があった。コール・アンド・レスポンスでスタンドを巻き込み、NTT東日本の大応援団に一歩も引かなかった」と評された。応援団プロデューサーの加藤千尋さん(26)は「受賞の連絡を受けた時は、一人でガッツポーズしました。『どっこいしょ、どっこいしょ』と会場を巻き込んで声を出すよう力を入れました。北海道勢100勝の瞬間に立ち会えたことに喜びを感じています」と笑顔を広げた。
=表彰される札幌市・北海道ガスの応援団
ファン投票は明治安田が連覇
ファン投票によるMIC賞には、明治安田が選ばれた。今年も大応援団で、内外野席を埋め尽くし、熱気のある統率された応援を繰り広げた。キャラクターたちも壇上に上がって、一緒にタオルを振っての一体感がある応援で選手を後押しした。応援リーダーの越後谷斉一さん(45)は「2年連続の受賞をうれしく思います。弊社は応援に熱い風土があり、2万人近くで応援いたしました。全員の力で受賞させていただいたと思います」と喜びを語った。
=表彰される東京都・明治安田の応援団