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【GRAND SLAM PREMIUM236】新監督に聞く①――大河原正人(東芝)
2018年から6年間、指揮を執った平馬 淳前監督のあとを受けて、都市対抗優勝7回を誇る東芝を今シーズンから率いるのが大河原正人監督だ。
「各カテゴリーで、いい指導者に教わってきたと思います」
そう振り返る大河原監督の現役時代は、まさに華やかだった。
選手を集めて話をする大河原正人監督。チームの雰囲気は明るく、大逆襲のシーズンにしたい。【写真=藤岡雅樹】
神奈川の強豪・横浜高では、入学直後からレギュラーとなる。ショートで躍動したのち、2年夏の神奈川県大会から外野手として活躍。その夏の甲子園では、一番センターでベスト8まで勝ち上がった。そして、3年夏の甲子園では四番ライトでベスト4。卒業後に進学した亜大でも1年春のリーグ戦から出場機会を得て、同年の大学選手権では日本一を経験した。そして、主力として活躍を続けた大学4年間でさらにスケールアップし、2006年に名門の東芝へ入社する。
社会人でも持ち前のリーダシップを発揮しながら、1年目の春先からスタメン出場。2年目の2007年には三番に定着し、都市対抗では第一代表獲得に貢献した。神奈川の猛者たちが補強選手として加わった東京ドームでは六番を担い、8年ぶり6回目の日本一を味わった。翌2008年からは四番を務めることもありつつ、2010年の都市対抗では7回目の黒獅子旗を手にした。
都市対抗10年連続出場の表彰を受けた2018年までプレー。社会人野球での現役生活は13年に及んだ。
「野球人生を振り返れば、いいところを歩ませてもらったとあらためて思います」
東芝では高見泰範(現・日本野球連盟副会長)、印出順彦、工藤賢二(現・北海道ガス監督)、そして、平馬と4人の監督の下でプレーした。2021年に現場へ復帰し、3年間のコーチ業を経て監督に就任したわけだが、大河原監督の中でも現役時代の恩師らと同様に脈々と受け継がれる東芝の野球が生き続けているようだ。
「バッテリーを中心に守りを固める。それが東芝の野球だと思いますし、そこはブレずにやっていきたい。年間を通して強いチームは、やはり投手がよくて守りがいい。守備では負けたくないですね」
チームは、大河原監督が現役時代だった2010年を最後に都市対抗優勝から遠ざかっている。それ以降はベスト4に2013年、17年、19年の3回、2012年にベスト8と、黒獅子旗に近づきながら苦汁を飲まされ、その度に日本一奪還への思いを強くしてきた。
年明け1月のグラウンドには、新体制の下で選手たちの声が響いていた。
「みんな意欲的にやっていますよ」
40歳の若き指揮官は、本物の強さを求めて船出した。
【取材・文=佐々木 亨】
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