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3人でスタートした川口ゴールデンドリームス 15年目で夢舞台へ 社会人野球NOW vol.34

 


全国大会初出場を決め、チームメートから胴上げされる川口ゴールデンドリームスの豊山裕喜主将

 8月31日から4日間、栃木県と群馬県で開催される第48回全日本クラブ野球選手権(毎日新聞社、日本野球連盟主催)。初の大舞台に挑むのが、川口ゴールデンドリームス(埼玉)だ。わずか3人でチームを設立し、JABAに加盟してから15年目。強豪相手に一歩も引かない試合運びで長年の夢を実現させた。

 TOKYO METS(東京)との11日の代表決定戦は、一回に下嶋浩平選手の中犠飛で先制。六回に逆転を許したものの、七回、豊山裕喜主将の中前適時打で振り出しとした。八回には1死二、三塁から下嶋選手の内野ゴロが相手のミスを誘い、勝ち越しに成功。先発の奥田真悟、継投した山本一真の2投手の粘りも光った。

 設立メンバーの一人、豊山主将にとっては、待ちわびた瞬間だった。九回、山本投手が最後の打者を左飛に打ち取ると、マウンドの歓喜の輪の中で、涙で肩を震わせた。ベンチの裏に戻ると、「ここを目指してやってきた。やっと報われたという気持ちで本当にうれしい」と相好を崩した。

雰囲気よく、新戦力集まる

 豊山主将は、埼玉・川口青陵高を卒業後、別のクラブチームに所属していたが、「全国を目指して自分でチームを作りたい」と一念発起。チームメートで、高校時代からバッテリーを組んでいた鈴木俊輝投手(現監督)、同学年の櫻井孝義投手とともに、生まれ育った川口市で活動を始めた。「当時はまだハタチぐらい。まだまだ熱くやりたい、どうせやるなら上を目指したいと思っていた」と当時を振り返る。

 チーム創設から主将に就任した。若く勢いもあったが、その分、クラブチームならではのチーム運営の難しさにも直面した。企業のチームに比べて選手の入れ替わりが激しく、そのうえ、選手それぞれの熱量はさまざま。「若い頃は(練習で)ガンガン言っていたけれど、それだとすぐに選手は辞めてしまう。だからといって、緩くすれば目的が変わってきてしまう」。そんな悩みを抱えた時期もあったが、36歳になった今、「僕が人に合わせてチームをまとめる」ことができるようになった。

=川口ゴールデンドリームス創設の3人のメンバー、(左から)櫻井孝義投手、豊山裕喜主将、鈴木俊輝監督

全日本クラブ野球選手権 31日開幕

 その苦労は徐々に実を結び、チームの雰囲気の良さなどにひかれて、多くの新戦力が集まるようになった。下嶋選手もその一人。「体験に行ったときのウエルカムな雰囲気が良かった」と明かす。

 チームの活動は週末と平日夜の約1時間の練習。家を空けることが多いが、家族への理解を得て活動を続けてきた。「自分で言いますけど、家事はかなりやっています」と笑いつつ、「15年間支えてくれた家族には一番感謝したい」と応援に来ていた家族にまなざしを向けた。

 全日本クラブ野球選手権は31日に開幕する。「こういう(和気あいあいとした)雰囲気が持ち味のチーム。全国大会でも埼玉県代表として楽しく、熱く勝つ野球を見せたい」と豊山主将。「(全国大会という)『夢』を持って野球をやりたい」という思いから名付けた「ゴールデンドリームス」で、15年分の思いをぶつけるつもりだ。【毎日新聞社野球委員会・中村有花】