MENU

CLOSE

JABA

トピック TOPICS

オフシーズンの地域貢献、Hondaが野球教室と自転車安全教室を実施 社会人野球NOW vol.50

hp_banner_yoko__small.png

 今年も大きな大会が全て終了し、社会人野球は「オフシーズン」。各チームは「野球振興活動」に精力を傾けている。このうち、Hondaが大規模な野球教室を実施。選手たちは野球を教えるだけではなく、「企業色」も盛り込んで子どもたちとふれあいの時間を過ごした。

Hondaの岩本久重選手から指導を受ける小学生たち

キャッチボールは三つのポイント伝授、豪快なバッティングに小学生沸く

 12月8日、埼玉県川越市の本田技研笠幡球場で、午前は川越市、午後は狭山市の小学生、計260人を招待しての野球教室を開いた。Hondaの選手はほぼ全員が参加。ポジションごとに分かれて、キャッチボールや守備、ゲーム形式のバッティングなどを一緒に楽しんだ。キャッチボールでは▽相手が投げたらすぐに動く▽投げるラインをぶらさない▽腕を伸ばしたところから10センチ曲げてボールを捕球する――の三つの大事なポイントを伝授。バッティングのデモンストレーションでは、2年目の山下滉介選手が豪快な打撃を披露。なかなか柵越えとはならなかったが、子どもたちの声援を背に何度もチャレンジして球場を沸かせた。多幡雄一監督は「子どもたちが普段から楽しく野球をやっているとは思うが、僕たちと接して、改めて野球の楽しさ、素晴らしさみたいなところを感じてもらえたらいい。技術的には少しヒントになるようなエッセンスを加えられたら」と話した。

Hondaのエース東野龍二選手もバッティング練習で投手役として参戦

チーム全体で野球振興に一役、指導も準備も選手が率先

 Hondaの野球教室では、技術を教えるだけではなく、子どもたちの誘導や指示出し、バッティング練習で順番待ちの子どもに「危ないから下がって」と注意するのもすべて選手の役割。若手選手が中心となり、事前にメニューなども考えているという。ベテランの福島由登選手は「人前でしゃべったり、教えることは大事な練習。若手にとってはすごく勉強になる」と意図を説明する。

 野球教室のもう一つの特徴が、大人との距離感の近さ。多幡監督は就任後、選手だけでなく、指導者や保護者らもグラウンドに降りられるスタイルに変えた。監督自ら「写真を近くで撮ってもらって構いませんから」と声掛けしていることもあり、大人たちが近くに寄ってスマホやカメラを向ける。せっかくのアドバイスを子どもたちだけでは忘れてしまうことがあっても、大人が聞いていたり、録画していれば、後で見返し、チームメートにも共有することができるというメリットもある。

 現代の子どもたちは、ユーチューブなどでプレーを見てマネすることも多い。多幡監督は参加したチームの指導者から「ユーチューブを見た子どもから、『これで本当に合っているのか』と聞かれることがある」と相談を受けることもあるという。「僕たちは実際にプレーしているので、『答え合わせの場』のような感じで活用してもらってもいい。僕なりの視点で『こうやっていますよ』『こう思いますよ』という会話ができるような野球教室にしたい」と明かす。野球教室は企業チームと地域をつなぐ、コミュニケーションの場にもなっている。

豪快なバッティングを披露するHondaの山下滉介選手に小学生から大きな歓声が沸く

「自転車交通安全教室」も実施、点検の合い言葉は「ぶたはしゃべる」

 野球教室の後には「クルマやバイクに乗っている人だけでなく 道を使う誰もが安全でいられる『事故に遭わない社会』の実現を目指しています」という世界的な輸送機器メーカーとしての企業理念に基づいた「自転車交通安全教室」も実施。司会を務めるのは岡野佑大選手で、自転車とパネル2枚を持ち込んで、乗る前の点検と交通ルールについて指導した。「自転車は便利だけど、一歩間違えたら命に関わる事故になる。点検の合い言葉は『ぶ(ブレーキ)た(タイヤ)は(ハンドル)しゃ(しゃたい)べる(ベル)』。この五つを確認して乗ってください」などと訴えた。

自転車交通安全教室で点検やルールについて説明する岡野佑大選手

 

 参加した山王御狩場ヤンキースの5年生チームの鈴木一正監督は「毎年、子どもたちは『楽しかった!』といいながら帰ります。デモンストレーションをしてくれてすごく勉強になるし、こんなグラウンドで野球ができる機会はなかなかない」と感謝する。

 「こういう野球教室を通して、野球を楽しいと思ってもらえたり、これから友だちに『野球って楽しいよ』と伝えてもらえたらうれしい。来年もいい結果を出して、子どもたちに『あの人たちに教えてもらったんだよ』と言ってもらえるように、一生懸命、頑張りたい」と福島選手は締めくくった。【毎日新聞社野球委員会・中村有花】