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ニューフェイス集う東京スポニチ大会 トヨタ自動車東日本・大谷龍太監督も初陣 社会人野球NOW vol.61

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 社会人野球の春到来を告げる東京スポニチ大会は、鷺宮製作所の優勝で幕を閉じた。ニューフェースの「お披露目」にも注目が集まったこの大会。その一人、トヨタ自動車東日本の大谷龍太監督(36)が指揮官就任後、初めての公式大会に臨んだ。

 

JABA東京スポニチ大会で監督として公式戦初勝利をマークし、ウイニングボールを手にするトヨタ自動車東日本の大谷龍太監督(左)と中里優介投手


初陣は白星 マウンドで「焦らずいけ」と激励

 公式戦初戦となった初日の3月8日は等々力球場で茨城トヨペットとの対戦。昨年の都市対抗北関東予選で日立製作所やSUBARUを苦しめたチームを相手に3-1で初白星を手にした。

三回、2死満塁から瀬戸泰地選手の二塁打で2点を先取し、八回には1死二、三塁から佐々木一晃選手の適時打で貴重な追加点を挙げた。先発の中里優介投手は左腕からの緩急を巧みに使った投球が冴え、八回まで無失点。九回には茨城トヨペットの追い上げで1点を返され、さらに1死満塁のピンチも迎えたが、ここで大谷監督が自らマウンドへ。中里投手に「焦らずにいけ」と激励し、最後は遊直併殺で締めくくった。

 大谷監督は試合後、「よく初陣と聞かれるが、あくまで選手が主役。その意味で、新チームが一つ勝ったことはうれしい。しかし中盤に守備でエラーが出たり、得点を取るべきところで取れなかったり、詰めるべきところで詰めていないところがあり、そこが今後の課題」と冷静に振り返った。

中里投手は岩手・花巻東高出身で、大谷監督の弟、大谷翔平選手(米大リーグ・ドジャース)の1年後輩。さらには大谷監督が選手時代のチームメートでもある。中里投手は「選手のころから一緒にやってきた仲。勝利をプレゼントすることができて良かった」と喜んだ。

NTT西日本戦で、選手たちがピンチをしのぎ、ベンチでガッツポーズする大谷監督

第2日のNTT西日本戦は、打線が1安打に抑えられ、0-3の完封負けを喫した。大谷監督は「投手中心に粘れたと思うが、やはりもう一踏ん張り、ふた踏ん張りしないとなかなかゲームにならない」と課題を口にした。そのうえで、「NTT西日本さんも全国で勝っているチームなので、この時期に対戦できるのは大きい。すごくいい経験をさせてもらっているとは思うが、同じ社会人(チーム)なので、しっかり勝ちたい」と意地ものぞかせた。

第3日はJR東日本に敗れて決勝トーナメント進出を逃し、1勝2敗で終了。その中でも、チームの伸びしろを大いに感じさせる大会となった。

 

 

=現役時代の2018年、都市対抗東北第1代表決定戦を制し本戦初出場を決めたの大谷龍太選手

目指すは勝利のみならず 「野球の裾野を広げたい」

大谷監督は右投げ右打ちの外野手で、岩手・前沢高から水沢駒形俱楽部、独立リーグの四国アイランドリーグ・高知を経て、トヨタ自動車東日本野球部が発足した2012年からコーチ兼任でプレーした。18年の中軸打者としてチームの都市対抗初出場に貢献。22年からはコーチ専任となっていた。父徹さんも三菱重工横浜で外野手としてプレーしており、社会人野球との縁は深い。トヨタ自動車東日本は18年の都市対抗が社会人野球2大大会で唯一の出場。大谷監督は両方への出場、そして初勝利に目標を定める。

ただ、大谷監督の視点は「勝利」だけにはとどまっていない。さまざまな土地とカテゴリーで野球に接し、子どもたちを指導する父の背中も見てきた。チーム数の減少も含め、野球の競技人口減少の問題はよく耳にし、危機感を持っているという。
 「野球の裾野を広げないといけない。社会人野球はプロ野球よりも(地域にとって)身近な存在。実際にプレーを見てもらうことも一つだし、(直接)指導することもできる。そういった意味では役割は大きい」と語る大谷監督。岩手県から大きな挑戦が始まった。【毎日新聞野球委員会・中村有花】

※次回の社会人野球NOWは3月25日公開予定です。