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雪辱期す大阪ガス ベテラン花本太紀選手が奮起 社会人野球NOW vol.65
雪辱を期すシーズンを勢いよく滑り出した。大阪ガスが今季の公式戦初戦となった3月のJABA東京スポニチ大会で準優勝した。優勝こそ逃して秋の日本選手権出場権獲得はお預けとなったが、都市対抗野球、日本選手権の2大大会とも逃した昨年からの巻き返しへの意気込みを感じさせる戦いぶりだった。
気を吐いたのは、ベテランの花本太紀選手(31)。「チーム全体が、あんな思いは絶対に二度としないとの思いで冬を過ごしてきた。しっかり前を向いてやっていく」。きょう22日に開幕するJABA京都大会で日本選手権切符獲得に再び挑む。
=JABA東京スポニチ大会の準決勝・NTT西日本戦で安打を放つ大阪ガスの花本
今季スタートの東京スポニチ大会で躍動
神宮球場で開催された東京スポニチ大会準決勝のNTT西日本戦。1点を追う七回、先頭打者で打席に立つと、この日2安打目を巧みに右前へ運び、反撃の流れを作った。チームはこの回、逆転し、八回に1度追いつかれたものの九回に一挙5点を挙げて勝ち越した。守備でも動きよく、投手陣をもり立てた。逆転勝ちした前日のHonda戦では、左膝付近に死球を受けた後に盗塁を成功させるなど奮闘した。
神戸市出身で、東大阪大柏原高、創価大を経て入社10年目。18年に都市対抗で優勝を経験し、日本選手権は19、21、23年と3度優勝した。常勝街道を走ってきたが、昨季は暗転した。「苦しかったし、悔しかったし、情けないしっていう感情がありました。会社の皆さんも本大会での応援を楽しみにしていただいているし、そのために僕たちは存在しているのに……。この冬は、1番長い冬に感じました」。チームが2大大会とも出場できなかったのは、自身入社してから初めての屈辱だった。脇腹などを痛めて離脱する時期もあっただけに、体の強化、コンディショニング調整によりいっそう取り組んできた。
=優勝した2023年の日本選手権で適時打を放つ花本
悔しさ胸に「1番長い冬」で闘志着火
その強い思いを東京スポニチ大会にぶつけた。チーム全体で再起の思いは共有されていた。終盤の粘りが目立った戦いぶりに峯岡格監督も「守備面でリズムを作りながら、先に取られても、最少失点でしのいで粘りながら、なんとかついていけていたのが一番の成果だったかなと思う。優勝ができなかったのは悔しいが、収穫の多い大会だった」と笑顔を見せた。
そして昨シーズンを振り返り、「あれが現実で、やっぱり力不足だったと思う。相手チームも我々と同じ、それ以上の思いでやっていることがわかったので、どんな形でも勝てるようにしていこうとスタートした。2大大会に出られなかったことが、選手たちの思いに、また火をつけたことは間違いないと思う」と振り返った。
=JABA東京スポニチ大会でベテランとして存在感を発揮した大阪ガスの花本太紀選手
優勝狙うJABA京都大会、きょう開幕
いざ、JABA京都大会に臨む。東芝、日本新薬、Honda鈴鹿と同じBブロックから決勝トーナメント進出を目指す。花本は「30代がドロドロになってやる姿を見せることがチームにとって一番必要なことだと思う。熱い気持ちを前面に出して戦わないと、少しでも気持ちが引けてしまうとやられてしまうというのを昨年、みんな経験している」。京都大会で優勝すれば、東京スポニチ大会でお預けとなった日本選手権の出場権が手に入る。
日本選手権はチームの本拠地・大阪が会場であるうえ、今年は節目の50回大会となる。「会社の皆さんにも応援に来てもらいたい。そのために常に前向き、絶対勝つんだという気持ちを持って戦っていく。絶対に引かない」。闘志を燃やし、ギラギラした目をしていた。【毎日新聞社野球委員会・藤野智成】
※次回の社会人野球NOWは4月29日公開予定です。