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ここぞの働き 名門東芝の頼れる主将 社会人野球NOW vol.77

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名門・東芝が東京ドームに帰ってくる。28日に開幕する第96回都市対抗野球大会に川崎市・東芝が2年ぶり45回目の出場を決めた。大会第2日の29日第3試合(午後6時開始予定)で、東京都・JR東日本と対戦する。「打破」をスローガンに掲げるチームの先頭を行くのは、頼れる主将、中村浩人(28)だ。

=六回表東芝1死一、三塁、中村浩人が適時二塁打を放つ

今季初の先発マスクで大仕事

7月17日夜、横浜スタジアムで開かれた西関東第2代表決定戦。相手は16年ぶりに活動を再開させた横須賀市・日産自動車だ。メディアの注目を浴びて大歓声も味方にする日産自動車に初回から先制され、三回に逆転しても、また四回に同点とされる嫌な流れだった。

その空気を一変させたのが、9番・捕手で出場していた中村だった。2―2の同点で迎えた六回1死一、三塁で打席に立つと、左中間に勝ち越しの適時二塁打を放った。さらに1点を加えて1死一、三塁の場面、盗塁を仕掛けた一塁走者が一、二塁間に挟まれる間に、三塁にいた中村が判断よく本塁に突入。ヘッドスライディングし、貴重な5点目をもぎ取った。勢いそのまま7―2で逃げ切った。

今季公式戦初のスタメンだった。昨季入社した萩原義輝(24)の台頭で試合終盤での途中出場が続いていた。だが重圧がかかるこの一戦で、大河原正人監督(41)が命運を託したのは、中村だった。「投手陣も若いので、しっかりしたゲーム運びができるように、扇の要としてリードしてもらおうと考えた」。その指揮官の期待に応える働きだった。

先発の2年目、笹森公輔(24)はじめ若い3人の投手を四死球ゼロで導いたのは、マスク越しに相手打者をきっちり観察した中村の力だ。「予選はそんなに簡単に勝てない」。若い選手の多い日産自動車だったが、つなぐ意識の強さと緻密さを感じ取り、投げ急ぐことのないように配球を組み立てた。

=昨年の日本選手権で、ベンチから仲間に声援を送る東芝の中村浩人

ラグビーに負けてられない

熊本県出身。県立多良木高から法政大を経て7年目。「スタメンで出たいという思いはずっとあったが、途中出場でも自分ができること、チームのためにできることを、常に考えていた。この大事な試合でスタメンって言われた時は、ちょっと燃えた」。頭も足もバットもフル回転してユニフォームを真っ黒にしてつかんだ勝利。「ものすごい悔しい思いもしてきたでしょうし、その思いをこの一番大事な試合で発揮してくれた」と、大河原監督はたたえた。

東芝では、同じ強化スポーツのラグビーチームが、リーグワンで2連覇している。

「野球部も社内外で本当にたくさん応援してもらっているのに、昨年は都市対抗に出られずに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。ラグビー(の結果)がすごいんで、野球部も置いていかれないように頑張りたい。本大会でも自分のできることをやっていきたい」

過去7度優勝の名門の誇りを胸に、中村が大一番に臨む。【毎日新聞社野球委員会・藤野智成】

※次回の社会人野球NOWは8月19日公開予定です。