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5年ぶり王座奪還狙うHonda 熊本、鈴鹿とそろって返り咲き 社会人野球NOW vol.78
28日開幕の第96回都市対抗野球大会にHonda(東京都)が2年ぶりに出場する。強力打線の軸となるのが、27歳の藤野隼大(はやた)だ。ルーキーイヤーに優勝を経験しているスラッガーが5年ぶりの王座奪還に燃える。
7月3日夜に神宮球場で開催された、JR東日本との東京第3代表決定戦。4番・指名打者で出場すると、三回に檜村篤史、鈴木薫と3者連続タイムリーとなる三塁打を放って3点先取に貢献すると、五回には3ランを放り込んだ。4打数2安打4打点の活躍で、9-2の完勝に導いた。
=五回裏Honda2死二、三塁、3点本塁打を放ち拳を突き上げながらダイヤモンドを回る藤野隼大
藤野が大一番で存在感
埼玉県出身。川越東高から立教大を経て入社6年目。準優勝した昨年の日本選手権で一塁手として優秀選手に選ばれるなど力を伸ばしてきたが、春先に左手を負傷して、ようやく間に合わせた都市対抗予選だった。「冷静に予選に照準を合わせてトレーニング、リハビリを積んできましたが、実戦感覚を戻すのは時間がかかった」。フルスイングを取り戻して、大一番で存在感を発揮した。
チームは埼玉県野球協会から東京都野球連盟に所属変更した昨季、予選の戦いの舞台も南関東から東京に移った。初めて味わう長丁場の東京の2次予選で十分に力を発揮できないまま、都市対抗の連続出場が7年で途切れた。「強いチームが多いのは南関東も同じだけど、長丁場で体調管理の難しさを感じた」と藤野は振り返る。
秋の日本選手権で準優勝したが、やはり都市対抗の雪辱は都市対抗でしか果たせない。就任2年目の多幡雄一監督(43)は「メンタルタフネスをいかに出すか、ということをテーマにやってきて、その成果を出せたのがよかった。昨年は予選で敗れて厳しい言葉もいただいたが、ここからまた歴史を作っていかなくてはいけない」と語った。
=三回裏Honda2死一塁、適時三塁打を放ち拳を掲げる藤野隼大
熊本も鈴鹿も 3チームそろう
昨年はHondaが予選で敗れると、九州でHonda熊本、東海でHonda鈴鹿も敗退。23年ぶりにHonda勢がそろって本大会出場を逃した。一転、今年はHonda熊本、Honda鈴鹿に続き、Hondaがドーム切符を獲得し、3チームそろっての返り咲きとなった。藤野は「熊本、鈴鹿が出場を決めて、その喜びも映像などを通じて見ていた。自分たちも、との思いがあったので、続けてよかった」と語り、多幡監督は「Hondaという企業のブランド、姿勢を、野球を通じて体現したいという思いがあるので、3チームそろって出場することは大事ですし、皆さまに感動を与えられるプレーをしていきたい」と表情を引き締めた。
Hondaが前回優勝した2020年大会は新型コロナウイルスの感染拡大で、入場制限され、応援合戦もなかった。当時、新人だった藤野は、ベンチ入りしていたが、出場機会がなかった。Honda勢の大声援が戻る東京ドームで、今度は主力として再び頂点に立てるか。初戦は大会第4日の31日第3試合(午後6時開始予定)、JFE東日本(千葉市)が相手となる。【毎日新聞社野球委員会・藤野智成】
※次回の社会人野球NOWは9月2日公開予定です。