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JFE西日本に最優秀賞 応援団コンクール 社会人野球NOW vol.81
=応援団コンクールで受賞した各チームの応援団
第96回都市対抗野球は8月28日から9月8日まで東京ドームで行われ、王子(春日井市)の21年ぶり2回目の優勝で幕を閉じた。開幕戦ではNTT西日本(大阪市)が九回にツーランで逆転し、前年王者の三菱重工East(横浜市)を破るなど、初日から最終日まで熱戦が相次いだ。
激しい戦いを彩り、試合を盛り上げたのは、各都市の郷土色を発揮しながらエールを送ったチームの応援。今年で60回の節目を迎えた応援団コンクールでは、最優秀賞にJFE西日本(福山市・倉敷市)、優秀賞にJR東日本東北(仙台市)、敢闘賞には西濃運輸(大垣市)が輝いた。ファンが選ぶMIC(Most Impressive Cheer)賞にはJR東日本(東京都)が選ばれ、閉会式で表彰された。
応援団コンクールは第34回大会(1963年)にスタートし、新型コロナウイルス流行のため、2020年から3年間中止されていたが、23年に復活した。再開に当たり、1回戦の五回終了時にSHOW TIMEを設け、趣向を凝らしたパフォーマンスを応援団に演じてもらうなどの新しい取り組みも企画。1回戦での応援を対象に全32チームの審査を行い、選考している。【毎日新聞社野球委員会 斉藤雅春】
=JFE西日本の応援風景
JFE西日本 2度の合宿で磨き
【最優秀賞】 JFE西日本(福山市・倉敷市)
西日本勢の最優秀賞選出は第86回大会のNTT西日本(大阪市)以来。大会開催地が東京ドーム(以前は後楽園球場)のため、どうしても応援団の動員がしやすい東日本が有利とみられていたが、JFE西日本はNKK(福山市)と川崎製鉄水島(倉敷市)が合併してできた2都市の代表という特色を生かして、地域の芸能や特産品を織り交ぜて郷土色を出した。普段の練習は週2回で、大会前には2度の合宿を行い、練り上げてきたことが実を結んだ。
▽選考理由
「三回に福山アイヤ節、五回には倉敷の源平太鼓、ショータイムでは(倉敷市の一大産業である)デニムを使った衣装でパフォーマンスを披露し、1試合を通して一つの物語のようで、非常に印象的だった」
田﨑翼応援団長
「(最優秀賞を)まさか自分たちがと、本当にびっくりしています。JFE東日本の間違いではないかと思いました。先輩から受け継いできた応援スタイルが評価されたのだと思います。驚くとともに、うれしいです」
=JR東日本東北の応援風景
JR東日本東北 前年準Vのチームに負けじと
【優秀賞】 JR東日本東北(仙台市)
SHOW TIMEで、仙台藩ゆかりの「すずめ踊り」を前面に出し、ブラスバンドの演奏で盛り上げ、スタンドとの一体感を作り上げたことが評価された。すずめ踊りは、元々応援団にいた人たちに経験者が一から教えて作り上げたという。チームは昨年の大会で準優勝を達成し、応援団も負けないよう今回は力が入ったという。すずめ踊りの楽曲は、仙台青葉祭りなどで演奏している仙台市の聖ウルスラ学院英智高校吹奏楽部から提供されたもので、まさにオール仙台の応援だった。
▽選考理由
東北六大まつりの仙台七夕まつりではなく、すずめ踊りという地元に根付いた郷土色あふれる祭りを披露し、スタンドとの一体感や熱量があった。
三上匠団長
「去年までは伝統のお祭りなどいろいろなものを入れていましたが、今年は一本に絞ってコンセプトを作りました。来年は野球では黒獅子旗、応援では最優秀賞をとれるよう頑張っていきます」
=西濃運輸の応援風景
西濃運輸 芭蕉にふんした市長がけん引
【敢闘賞】 西濃運輸(大垣市)
大垣市は、松尾芭蕉の紀行文「おくの細道」の旅の結びの地。それにちなんで、石田仁市長が松尾芭蕉の姿にふんして登場したことが、スタンドに一体化を生んだ。応援団の統率のとれたパフォーマンスと熱量も評価された。
▽選考理由
応援ステージで松尾芭蕉にふんした石田市長が一句詠み、切れのあるパフォーマンスを見せるなど、豊かな演技でスタンドを盛り上げた
後藤雅人団長
「一体感をすごく大事に大切にしてきました。それが発揮できました。石田市長には公務の合間を縫って、2回ほど、練習にきていだたきました。現状に満足せずにどんどん新しいものに挑戦し、レベルアップしていきたいです」
=JR東日本の応援風景
JR東日本 描いた、染めた「東京の色」
【MIC賞】 JR東日本(東京都)
応援リーダー、チアリーダー、ブラスバンド合わせて約140人が大応援団をリードした。首都圏の交通網を担うJR東日本の鉄道業務を前面に押し出し、ダンス、パフォーマンス、完成度、応援団の一体感、いずれも高いレベルにあるとの評価が、選考会で聞かれた。
▽選考方法 ファンの投票や動画の再生回数などから選出
岸海翔団長
「率直にうれしいです。観客のみなさまを通していただいたという感謝の気持ちでいっぱいです。あいさつ、メリハリをしっかりし、野球部を最後まで信じようというのがコンセプトです。東京には鉄道が張り巡らされています。それこそ東京の色ではないかと捉え、やってきました」
※次回の社会人野球NOWは9月30日公開予定です。