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注目投手続々登場 日本選手権再開 社会人野球NOW vol.86

京セラドーム大阪を舞台とした第50回社会人野球日本選手権大会が4日、再開する。12日の決勝に向け、プロ野球のドラフト会議で指名を受けた投手たちも続々と登場し、社会人野球で有終の美を飾る。【毎日新聞社野球委員会・藤野智成】

=トヨタ自動車の増居翔太投手
連覇に挑むトヨタ自動車・増居
大会第4日の4日、史上最多の8度目の優勝に挑むトヨタ自動車(東海・愛知)は、四国銀行(四国・高知)との初戦を迎える。ヤクルトからドラフト4位指名を受けた増居翔太投手(25)は昨年、大会最高殊勲選手賞に輝いた。チームは22年に日本選手権、23年に都市対抗野球、24年に日本選手権を制している。増居は「日本選手権連覇と、4年連続日本一をチームの目標として頑張っていきたい。個人としては昨年、MVPを獲得できたので、それぐらいの活躍を今年もできるように頑張りたい」と意気込む。
今夏の都市対抗野球では優勝候補にあげられながら1回戦でJR東日本東北に延長十回、3-5で敗れた。増居は先発し、八回途中まで2失点と好投したが、降板後にチームは逆転された。日本選手権での巻き返しに燃えており、「僕たちはどんなピッチャーが来ても打ち崩す、どんなバッターが来ても抑えることを目標にやってきたので、ひるまず強気のプレーを発揮したい」と語る。
慶応大から入社して3年。飛躍を遂げた172センチ左腕は「最善を尽くすため、しっかり自分の状態を高めていかなきゃいけない。程よい緊張感がある」と士気を高める。

=王子の九谷瑠投手
「人生変えた」橋戸賞 王子・九谷
第5日の5日には、都市対抗野球の橋戸賞投手が初戦を迎える。21年ぶりに都市対抗を制した王子(東海・愛知)の九谷瑠(りゅう)投手(25)だ。楽天からドラフト6位指名を受け、「社会人野球で最後の大会になる。都市対抗で5連勝できたので、また新たな5連勝を日本選手権でできればなと思う」と都市対抗野球に続く頂点を見据える。
大阪大谷大からクラブチームの「矢場とんブースターズ」を経て今季加入した右腕。クラブチーム時代は、みそカツ店「矢場とん」のホールスタッフとして働いた。都市対抗優勝で「人生が大きく変わった」という。大会後、プロ球界から接触があり、一気に夢見たプロ入りへ。夢を諦めず努力を続ければ、クラブチームからでも道が開けることを実証した。
日本製鉄山口(中国・山口)との初戦を迎える5日は26歳の誕生日。「大の大人たちが泥臭く1球に向かっていく姿勢が社会人野球の魅力。日本選手権でも5連勝して、会社や地域に貢献したい」と力を込めた。

=鷺宮製作所の竹丸和幸投手
巨人ドラ1 鷺宮製作所・竹丸
巨人からドラフト1位指名を受けた鷺宮製作所(関東・東京)の竹丸和幸投手(23)は7-6で競り勝った大会初日の東海理化(東海・愛知)との1回戦で先発し、七回途中まで1失点と好投した。城西大出身の左腕は、8安打を浴びながらも、無四球の制球力と、自己最速の152キロの直球で要所を締め、100球ちょうどで救援陣にバトンをつないだ。
2回戦は第6日6日、Honda熊本(九州・熊本)と対戦する。「チームはとてもいい状態で入ってきているので、優勝に向けて1戦1戦戦っていきたいと思う。全員野球で束になって相手にかかっていく姿を見てほしい」と意気込みを語る。
=Hondaの片山皓心投手
故障乗り越え Honda片山
DeNAから4位指名を受けたHonda(関東・東京)の片山皓心(ひろみ)投手(27)は、6-0で完勝した初戦のミキハウス(近畿・大阪)戦に先発し、5回を被安打5の無失点に封じた。四回、五回と満塁の危機を背負ったが、変化球多彩に打たせてとり、102球で先発の仕事を果たした。
桐蔭横浜大から入社後は負傷もあったが、リハビリに取り組み、返り咲いた。2回戦は第7日の7日、三菱自動車岡崎(東海・愛知)と対戦する。ドラフト指名で注目が集まるが「いいものを見せようと思うと、力が入ってよくない方向に行くので、いつも通りの自分のピッチングをする」と平常心を心がける。
=Honda鈴鹿の田中大聖投手
最速157キロ Honda鈴鹿・田中
ロッテから7位指名を受けたHonda鈴鹿の田中大聖(やまと)投手(23)は第4日の4日、JR西日本(中国・広島)との初戦を迎える。太成学院大出身の右腕は、最速157キロの速球で、5大会ぶりに出場をかなえたチームを引っ張る。
大会は10月28日に開幕し、30日までの3日間、1回戦9試合を実施した。4日間の中断を挟み、4日から残る1回戦が再開され、準決勝は11日、決勝は12日に行われる。
※次回の社会人野球NOWは11月11日公開予定です。