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【GRAND SLAM PREMIUM242】“東京都・Honda”が幸先よく3回目の優勝【第78回東京スポニチ大会レビュー】

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「スミ1(初回の1点のみ)のままじゃダメだ、圧倒的に勝つぞ」

 日本通運との決勝。1回裏に1点を先制したが、Hondaの多幡雄一監督はそう言って選手を鼓舞した。昨年は、日本選手権への出場権がかかる東京スポニチ、九州両大会は準優勝、長野県知事旗大会はベスト4と、あと一歩を勝ち切れなかった。都市対抗は、優勝するトヨタ自動車に一回戦で敗れ、日本選手権はベスト8。変わらなくては、頂点はない。それが、多幡監督の考え。圧倒的に勝つことが、変わるきっかけになるはずだ。

 4チームが出場した東京勢のうち、3チームがベスト4に進出した、まさに「東京」スポニチ大会。4強すべてがリーグ戦を3戦全勝で、セガサミー、JR東日本、さらに埼玉県野球協会から東京都野球連盟に所属を変更したHondaもそのひとつだ。

「プレッシャーのかかり方は別として、コーチを務めていたから特に戸惑いはありませんでした」

 そう語る多幡監督の采配は、初戦から光った。「今季のテーマはチャレンジ。チャレンジする姿がいい」とスタメンに抜擢した新人の金城飛龍が3安打2打点に2盗塁。横浜(現・横浜DeNA)時代には首位打者を獲得したこともある父・龍彦(現・巨人コーチ)譲りのセンスを見せた。日立製作所との第2戦はエースの岡野佑大が負傷交代したピンチを中村伊吹が締め、前年の日本選手権を制した大阪ガスとの対戦ではタイブレークの延長10回表に辻野雄大が決勝二塁打。「所属が東京に移り、Hondaにとっては新しい一年の始まり」に、キャプテン自らが存在をアピールした。

 東京同士の準決勝は、東野龍二がチェンジアップでセガサミー打線を翻弄し、7安打8奪三振で1失点完投。そして、1回裏の「スミ1」から始まった決勝は、5回裏に2点を追加すると、7回裏には三浦良裕の2ラン本塁打、8回裏一死満塁から金城が左前にしぶとく落として2者を迎え入れ、コールド勝ちで5大会ぶりの優勝を決めた。先発した決勝の6イニングスを含め、3試合12回を投げて無失点の中村伊吹が最高殊勲選手賞、全5試合に出場し、優勝を決めるヒットの金城が新人賞を手にした。ただ、多幡監督は言う。

 

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5大会ぶり3回目の優勝を果たしたHondaの選手たちは、今季から指揮を執る多幡雄一監督(中央)を胴上げする。【写真=真崎貴夫】

 

「誰が、ではなくてみんながよかった。優勝は嬉しいですが、なかなか理想通りにはいきませんし、ミスも山ほどありました。それでも、現状でのベストを尽くしてくれたと思います。感動を届けられるチームにしたいと思っていますが、まず自分が感動しました」

 選手たちを鼓舞したのが効きましたね、と尋ねると、「いや、追加点を取ってくれたのは、喝を入れた回とは別なんですけどね」と笑いながら、こう続ける。

「東京勢が占めた準決勝以降を勝ったといっても、この大会で戦った5試合が分析されるでしょうし、都市対抗予選はまた別ものです。ですが、激戦区である東京に我々が入って、さらに社会人野球が盛り上がればいい」

 それが聞こえたのかどうか、辻野はこう言った。

「久々の優勝は自信になりますが、本番は都市対抗予選です」

 都市対抗での東京勢は、過去15年だけでもJR東日本、NTT東日本、東京ガスが優勝している。Hondaにしても、2020年の覇者だ。さらに、この大会で4強のセガサミー、ほかにも鷺宮製作所、明治安田生命……。この群雄割拠から、どこが東京を、さらに天下を制するのだろうか。

 

[第78回東京スポニチ大会表彰選手・監督]

◆最高殊勲選手賞/中村伊吹投手(Honda)

◆敢闘賞/山本 空捕手(日本通運)

◆首位打者賞/山本 空捕手(日本通運)=打率.538

◆打撃賞/沓澤侑輝外野手(日本通運)

◆新人賞/石上祐介投手(JR東日本)

◆新人賞/髙橋隆慶内野手(JR東日本)

◆新人賞/金城飛龍外野手(Honda)

◆監督賞/多幡雄一監督(Honda)

 【取材・文=楊 順行】

 

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