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社会人野球表彰盛大に ファンとの交流も 社会人野球NOW vol.91

2025年度社会人野球表彰式が12月10日、東京都内のホテルで開催された。ポジションごとに選出されたベストナイン、および最多勝利、最多本塁打などの個人賞を獲得した計13選手が、抽選で選ばれたファン、日本野球連盟関係者らの祝福を受け、受賞の喜びや来季へかける意気込みを語った。また、表彰式に先立ち、畔上翔(Honda鈴鹿)選手ら受賞者6選手、ファン約40人が出席してファンミーティングが行われ、和やかな交流が繰り広げられた。

=年間表彰式で記念写真におさまる各賞の選手たち
受賞13選手が喜び、来季へ抱負
今季は都市対抗で王子(春日井市)と三菱自動車岡崎(岡崎市)が決勝を戦い王子が優勝。日本選手権ではヤマハが栄冠に輝くなど、東海勢の活躍が光った。それを反映してベストナインは10選手中7選手、個人賞は5選手のうち3選手を王子、ヤマハ、Honda鈴鹿の東海勢が占めた。
大阪経済大から今季、王子に入った柴崎聖人選手は、都市対抗で2試合連続本塁打をマークするなど若獅子賞(新人賞)に輝き、外野手でベストナインに選出された。柴崎選手は「1年目から(ベストナインを)獲得できてうれしく思います。来年も活躍できるよう努力していきたい」と喜びを語った。畔上選手は10年目にして指名打者分門で初のベストナインに選ばれた。
また、ヤマハの矢幡勇人選手は35歳のコーチ兼任ながらリードオフマンとしてチームを引っ張り、9年ぶり2回目のベストナインに選ばれた。来季へ向け「来年こそは都市対抗優勝を目指し、選手、コーチとして努力する」と決意を口にした。

=ファンミーティングに登場した選手たち
東海勢がしのぎ削り、高みへ
受賞者の中で唯一、プロに進むのは、三塁手のベストナインとなった髙橋隆慶選手(JR東日本)。ソフトバンクから5位で指名を受けた長距離打者で「このベストナインに恥じないようプロ1年目から結果を残したい」と意気込みを見せた。
前述の通り、東海勢の活躍が目立ったシーズンだった。都市対抗ではベスト4に3チームが入り、日本選手権には10チームが出場してベスト8に4チーム。JABA主要11大会では6大会で優勝した。
強さの理由を矢幡選手は「これだけ強いチームが(東海に)いると、絶対負けたくないという気持ちが予選から出る。一つのミスを突かれて先制されたり、逆転されたりします。周りのレベルが高くなっているので、自然と自分たちもレベルを高くしていこうとなる」と高いレベルでの切磋琢磨を挙げた。
また、王子の投手陣をリードして黒獅子旗を獲得した細川勝平捕手は「トヨタさんやヤマハさんは本当に強い。そこに負けないようにと相乗効果が出て、(東海が)どんどん強くなっている気がします。ああいうチームに(予選で)勝たないと、本大会でも勝ち上がれません」と話す。強豪を抑える秘訣を尋ねると「いいバッターが多いのですが、あまり逃げずにストライクゾーンで勝負をしていくこと。走者を出すと大量点につながってしまいますから」との答え。そうした取り組みが、王子の新人で、今回の最優秀防御率賞に輝いた樋口新投手の活躍に結びついたようだ。

=サイン会で笑顔を見せる選手や参加者たち
ファンミーティングでサイン会
ファンミーティングにはヤマハから佐藤廉投手と相羽寛太選手、日本生命の松本渉選手、Honda熊本の古寺宏輝選手、それに畔上、髙橋の両選手が参加。選手はファンのハイタッチで迎えられて会場入り。ファンからの質問に答えたり、選手が持参したサインボールや手袋などが当たるじゃんけん大会などを行ったり、楽しい時間を過ごした。
ファンからは「今年一番印象的だった場面は?」「お気に入りの遠征地はどこですか」などの質問が出た。中には「他チームも含めて好きな応援は」との問いもあり、人気はHonda、Honda鈴鹿、Honda熊本と強豪3チームがそろう「全開Honda」だった。
また、社会人野球の魅力について髙橋選手が「24歳もいれば30歳を超えた選手もいる。幅広い年齢の選手が一緒になって練習に取り組んでいる姿は社会人ならでは」と答え、畔上選手は「不安、緊張を払拭するだけの準備をして、一発勝負(トーナメント)ならではプレーをする。そうした姿がファンの心を打つ。不安、緊張を乗り越えた時の喜びを忘れないよう準備している」と、ベテランらしく野球にかける思いを口にした。【毎日新聞社野球委員会・斉藤雅春】
※次回の社会人野球NOWは12月30日公開予定です。