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7年ぶり古巣復帰 東芝・宮川哲投手「一人でも多く球場に足を運んでもらえるように」 社会人野球NOW vol.96

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 懐かしい顔が社会人野球界に帰ってきた。プロ野球・西武、ヤクルトを経て、7シーズンぶりに東芝に復帰することになった宮川哲投手(30)。24歳だった若手右腕は、3人の子どもを持つベテランとなり、6年分の経験を携えて再び一発勝負の舞台に挑む。シーズンを前に、現在の心境や社会人野球への思いを聞いた。【毎日新聞社野球委員会・中村有花】

 

――新シーズンに向けて、本格的に練習が始まりました。プロ入り後もオフの時期には自主トレーニングなどで東芝のグラウンドを訪れていたと思いますが、「復帰」という形でチームに合流し、自身の中で変化がありますか。

◆僕が在籍していた2018~19年は年上の選手ばかりで30歳を超えた選手も多かったのですが、その時期と比べると、今はすごくチームが若返っています。今、僕が一番、年齢が上なんです。だから余計に、注目されているなと感じています。ただ、あまり意識することはなく、自然体で練習に取り組むことができています。

=2019年第90回都市対抗野球大会準決勝千葉市(JFE東日本)戦で力投する川崎市(東芝)の先発・宮川投手

戦力外直後、平馬GMからの連絡「これも何かの縁」

――東芝では、元プロの選手が加入するのは初めてだと伺いました。復帰の経緯について、教えてください。

◆ヤクルトを戦力外になった後、すぐにGMの平馬淳さんから連絡をいただきました。東芝にはプロ入りした選手が、現役で戻ってくるケースがこれまでなかったので、全く念頭になく、結構びっくりしました。その後、家族に相談したり、周りの人に話をしたりしながら、熟慮した結果、やはり平馬さんは僕が東芝にいたときの監督ですし、これも何かの縁だと思い、復帰を決めました。

――東芝に新卒で入社したのは2018年でした。当時を振り返っていただけますか。

◆入社1年目は、大学の延長ぐらいの感じで試合などをやってたんです。でも、都市対抗の予選でけがをして、本戦を東京ドームのスタンドで見ているときに、ふと「なにしてんねやろ」と、思ったんです。会社の人たちもたくさん応援に来てくれる中で「このままやったらあかんわ」と。僕は大学の時にプロからのドラフト指名がなくて、社会人に進んで、そこから絶対にプロに行こうという思いがありました。でも、いざ入社したら、何というか、甘えのようなものが出てきてしまいました。だんだん良くなってきたのは、「自分に甘えているな」と気づいた後からですね。秋の日本選手権で、いきなり平馬さんに「先発するか」と言ってもらい、準々決勝で先発を任せてもらいました。そのまま翌年も順調に活躍することができて、当初の目標をかなえることができました。

――振り返って、プロでの6年間はどのような時間でしたか。

◆西武の時は1軍で投げることができましたし、自主トレを増田(達至投手)さんはじめ、いろいろな先輩と一緒にやらせてもらいました。貴重な経験ができた時間だったと思います。多少なりともプロで6年間プレーできたので、東芝の後輩たちにも「こういう人がこんなことをやっていたよ」など経験を伝え、みんながもっと良くなるようにしていけたらいいと思っています。

=2023年にイースタン・リーグ記録部門表彰で最優秀防御率投手賞と勝率第1位投手賞を受賞し、プロ野球NPBアワードで表層される西武の宮川哲投手

「『見られていること』 を忘れずに」

――2425年の2年間は環境が変わり、セ・リーグのヤクルトでもプレーしました。

◆ヤクルトには石川(雅規投手)さん、石山(泰稚投手)さんら長く現役を続けている投手がいました。そういうふうに、長く現役を続けている選手こそ、準備や練習態度などがとてもしっかりしているし、何より、めちゃくちゃ元気なんです。見ているだけで元気をもらうことができました。石川さんにはたまに食事に誘ってもらい、ずっと歴史の話をしていた記憶があります。知識が広く、人としても偉大だなと思っていました。

 それから、ヤクルトでは鈴木康平(前登録名:K―鈴木)さんの存在も大きかったです。一軍に上がれそうにないなと思うと、腐ってしまうような選手もいますが、康平さんはどんなことがあっても毎日元気にグラウンドに来るんです。東芝に戻って、これからは僕も「見られる」ことが多くなる立場になりますが、練習態度なども「見られている」ことを忘れずに、やっていきたいですね。

――社会人野球のプロとの大きな違いは、都市対抗や日本選手権のような「トーナメント」ならではの戦いです。そこへの思いはいかがですか。

◆プロは143試合あるので、チームとしては、負けても取り戻すことができる。一方で、都市対抗などは「負けたら終わり」の一発勝負です。1試合1試合、ヒリヒリして楽しみたいと思っています。

 

=新シーズンへの抱負を語る東芝の宮川投手

「東芝」という会社が好き 

――改めて感じる東芝への思いはありますか。

◆僕、基本的に「東芝」という会社が好きなんです。みんないろんな事業所に配属されますが、部署の人と交流があり、「試合頑張ってね」と声をかけてもらったり、活躍したら喜んでもらえたり。そういう距離の近さも好きです。「T・O・S・H・I・B・A」のフレーズも社歌もしっかり耳に残っていますよ。プロ入り後も行けるタイミングがあれば試合の応援も行きましたし、よくグラウンドにも顔を出していました。野球部はアットホームな感じですし、先輩たちにとてもかわいがってもらいました。後輩とも、これからキャンプや遠征のタイミングでご飯を一緒に食べたり、交流していきたいですね。

――今後の目標を教えてください。

◆もちろん、2大大会で優勝をしたいという思いは7年前と変わりません。ただ、それだけでなく、会社の中には、野球に興味がある人とない人がいて、興味ない人の方が大半だと思うのですが、そこから1人でも多くの従業員の方に球場に足運んでもらえたり、野球ってといいなと思ってもらえるように、全力でプレーしていきたいと思います。

 

みやがわ・てつ 1995年10月10日、奈良県出身、右投・右打、177センチ・86キロ。東海大山形高、上武大を経て、2018年東芝入社。2020年にドラフト1位で西武入団。23年オフにトレードでヤクルト移籍。プロ通算成績131試合、5勝5敗1セーブ、20ホールド。

※次回の社会人野球NOWは2月17日公開予定です。