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全足利クラブがWBCオーストラリア代表と練習試合 惜敗にも手応え 社会人野球NOW vol.99

クラブ野球の名門、全足利クラブが2月21日、東京・府中市民球場で、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)東京ラウンドのため来日中のオーストラリア代表と練習試合を行った。全足利にとっては今シーズン初の対外試合で、2-4で敗れはしたものの、都市対抗出場を目指して取り組んでいる攻守ともに、粘り、食らいついていく戦い方に手応えを感じさせる内容となった。
=2回を無失点に抑えた全足利の堤楽空投手
オーストラリア野球連盟と府中市の絆
WBC1次ラウンドのプールCは5日、東京ドームで開幕する。日本、オーストラリア、チェコ、台湾、韓国の5チームがリーグ戦を行う。1次リーグは4組に分かれて実施され、各組2位までがアメリカでの決勝トーナメントに進む。プールCは2連覇を狙う日本を筆頭に強豪がそろう激戦区で、オーストラリアは前回に続く1次ラウンド突破を目指し、府中市でトレーニングを重ねてきた。
オーストラリア野球連盟と府中市は、前回の東京オリンピックに備え、2018年に事前キャンプの覚え書きを締結するなど、市民も参加しての交流を図ってきた。23年のWBCなど、オーストラリア代表はこれまでも同市内で大会に備えてきた。
試合に先立ち、オーストラリアのニルソン監督は「毎回来日するたびに、市民に心温かく迎えていただき感動しています。オーストラリア代表としてだけでなく、府中市の皆様の代表として戦っていきます」と、感謝の意を込めてあいさつした。
=壮行セレモニーで挨拶するオーストラリア代表のニルソン監督
監督は日本球界ゆかりの「ディンゴ」
ご存じの方も多いことだろうが、ニルソン監督はMLBミルウォーキー・ブルワーズで活躍した捕手。オールスターに出場した初の同国出身選手であり、2000年には中日でもプレーした。このときの登録名は「ディンゴ」。
残念ながらNPBでは活躍はできなかったが、2004年のアテネ五輪では準決勝で日本を1-0で破り、決勝に進出。キューバには及ばなかったものの、銀メダルに輝いている。蛇足ながら、このとき、最後に日本打線を封じたのは当時、阪神で活躍していた左腕、ジェフ・ウィリアムスとニルソン監督のバッテリーだった。
この日の試合はオーストラリアがウェルズ、全足利は高橋陽太の両左腕投手の先発で始まった。オーストラリアは二回裏、2死三塁からカリルの右中間二塁打で先制点を奪い、六回にはパーキンスのソロ、七回にはライリーの2ランと長打攻勢で4点をリードした。全足利は八回、下位の連打でつかんだ無死二、三塁のチャンスに2本の内野ゴロで2点を返した。慣れない外国人投手、しかも7人が入れ替わり立ち替わりに登板するという状況に対処するのは難しく、全体的には全足利のチャンスは少なかった。
=オーストラリア二回、カリルが先制の二塁打を放つ
全足利・熊田監督「貴重な経験に」
それでも全足利の熊田圭監督は「(試合に)招待してもらい、うちとしては本当にありがたいし、選手には貴重な経験になった」と振り返り、選手のプレーについても肯定的に評価した。
今季初の対外試合に臨むにあたり「オフの間の練習を踏まえて打者は打席でしっかりバットを振っていけるか、投手については力のある打者に対して配球を考えて粘り強く、どう1発を防いでいくか」ということをテーマにしたという。
全足利の目標は今年も北関東の強豪企業チームを倒しての都市対抗出場、および全日本クラブ野球選手権の頂点にある。最後に都市対抗に出たのは2014年。東京ドームから遠ざかること12年とあって、3度目の出場にかける思いは強い。
この日は、長打力のあるオーストラリア代表を企業チームに見立てて戦った。先発の高橋陽太、2番手の堤楽空と、今季の期待の投手に2イニングずつをまず任せた。高橋は先制点を奪われたが、二人とも走者を背負いながら変化球をうまく使い、連打を許さなかった。2年目の堤は「強打者ばかりなので、丁寧に投げることを心がけた。全体的にはいい感じでした」と満足そうだった。熊田監督も「投手陣は粘り強く投げてくれた」と評価した。
=試合終了後、両チームで記念撮影
全足利、12年ぶりの東京ドーム狙う
打線は5安打に終わったが、熊田監督が「やりたい攻撃を初戦でよくやってくれた」と話したのは八回の攻撃。先頭の8番山﨑裕樹が右前打で出塁。続く高橋晶もセンターにはじき返した。ここでオーストラリアのセンターが打球の処理を誤る間に、二人は判断よく次の塁を陥れ、無死二、三塁のチャンスを作った。
相手は4点リードとあって内野は中間守備。長谷川流星、岩崎浩佑の1、2番が確実にコンタクトし、内野ゴロで走者を還した。もちろん連打で畳みかけられれば、それに越したことはないのだが、外国のナショナルチームの投手、しかも1回ずつで交代してくる中では難しいこと。強振せずに得点を狙ったことが功を奏した。
一方、1点を追う四回、四球と盗塁で無死二塁の同点機を作りながら中軸で追いつけなかったのは悔やまれるところ。「最初にガーンと行かれた(先制点を取られた)。追いついていれば展開も変わってきたかな。どうにか食らいついて1-1にすることが必要になってくる」と熊田監督は指摘した。
捕手として先発し、六回までマスクをかぶった立石翔斗は「オーストラリア相手に自分たちの野球がどれだけ通用するのかと思ったが、まだまだ上がいると思い知らされました」と正直に話した。そして今シーズンを見据え「自分たちの野球は、接戦でどれだけ終盤に持って行けるかだと思う。企業相手にどれだけ焦らせられるか、そこを詰めていきたい」という。
全足利はそうした戦い方、チームの特徴をオーストラリア代表を相手に、十分に発揮できた。【毎日新聞社野球委員会・斉藤雅春】
全足利000000020◆2
豪 州01000120×◆4
(全)高橋陽、堤、齋藤、山本、佐藤―立石、岩﨑昂
※次回の社会人野球NOWは3月17日公開予定です。