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JFE西日本初の栄冠 東京スポニチ大会 社会人野球NOW vol.100
社会人野球の今季の幕開けを告げるJABA東京スポニチ大会が3月7日から11日まで神宮球場など3会場で行われ、JFE西日本が決勝でJR東日本を10-4で破り、初の栄冠に輝いた。
大会には16チームが出場し、4チームずつの4組に分かれてリーグ戦を行い、各組1位が準決勝に進んだ。JFE西日本は準決勝でNTT東日本と対戦。九回に逆転されたものの、その裏2死満塁から、代打古田塁の右中間二塁打でサヨナラ勝ちした。勢いそのままに、決勝では二回に大技小技を合わせて7安打を集め、一挙に8点を奪って勝負を決めた。
=東京スポニチ大会決勝、JFE西日本二回、綿屋樹の走者一掃の二塁打で一塁から生還する原俊太
最年長古田がMVP
JFE西日本は2003年、NKKと川崎製鉄水島の統合でチームが発足して今年が24シーズン目。都市対抗と日本選手権にはコンスタントに出場し、日本選手権では04年に優勝している。しかし、都市対抗では08年と19年の2度のベスト8が最高成績。昨年も都市対抗、日本選手権とも本大会2回戦で日本生命に敗れ、上位進出を阻まれた。その悔しさをバネに、チームの新たな歴史を作ろうという意気込み、戦力の充実を感じさせる戦いを見せた。
大会MVPを獲得したのはJFE西日本の古田。初戦の明治安田戦では指名打者で先発出場し、一回1死満塁で先制のグランドスラムを放つと、準決勝では前述の通りサヨナラ二塁打。決勝では三塁手としてラインアップに名を連ね、二回の猛攻を締めくくる2ランを左翼スタンドに運んだ。チーム最年長の30歳が見事にチームの攻撃をけん引した。
ベテランの活躍に内田聡監督は「1番と言っていいくらいよく練習する。それを後輩たちは見ている。明るくてキャラクターもいいので、慕われている。彼のホームランから(今大会は)始まったし、彼が打ったことでチームが一つになった」と、手放しの評価を与えた。古田が最年長となったのは、6歳年上の岡将吾内野手が昨年限りで現役を退いたことによる。その岡さんについて「野球に対して負けず嫌い。試合でも練習でも。職場も一緒だったし、そうしたところをずっと見てきた」と、古田は話す。大きな存在だった岡さんの引退を受けて古田は「負けたら責任を取らなければいけない、そういう自覚を持ってやらなければならないという感覚が、勝手にわいてきたというか、何か初めての感覚ですけど」と心境を明かす。その気持ちを今大会ではまさに打撃で表現したと言える。頼もしいベテランだ。
=東京スポニチ大会決勝、JFE西日本二回、2ランを放つ古田塁
光る小技から怒濤の攻め
決勝の相手となったJR東日本は長打力が持ち味の重量打線を誇るが、そのお株を奪うような一挙8得点の二回の攻撃の中で、気の利いた光る小技があった。下位打線の連打で2点を奪った後の2死一、二塁の場面。2番の永山裕真が一塁へ意表をつくセーフティーバント。これが安打となり、さらに打球を処理した一塁手の、一塁ベースカバーへの悪送球を誘った。1点を追加するとともに、なお一、三塁とチャンスが続き、3番原俊太以下主軸を迎えるという絶好の「つなぎのプレー」。ここから四球、一塁強襲安打、そして古田の2ランと続く2死からの怒濤の攻めとなった。
JR東日本を突き放す大量点を生んだプレーについて、永山は「(一回の)最初の打席で3球三振してしまい、自分の中で流れを変えようと仕掛けました。すでに2点入っていたので、ここは仕掛ける時。相手にミスが出れば1点入るし、(入らなくても)ヒットになれば満塁になる。後ろにつなぐという気持ちでああいう選択になりました」と振り返った。状況を冷静に捉えたうえでの2死からのバントは、JR東日本のリズムを明らかに狂わせた。
=東京スポニチ大会決勝、先発したJFE西日本の岩本賢志
岩本賢志がサイドスローで開花
この試合に先発した先発の左腕岩本賢志は、チームのさらなる戦力アップにつながる好投を見せた。リーグ戦でパナソニック相手に先発して、六回途中まで被安打3、奪三振8で無失点に抑えると、決勝でも六回まで2安打しか許さず、七回途中に2点を返されたところで降板したが、JR打線を十分にほんろうした。左のサイドハンドから曲がり幅や高低を操るスライダーが有効で、ツーシームなどで緩急も織り交ぜながら丁寧なピッチングに努めた。大阪桐蔭高校から入社して6年目。以前は上から投げていたがサイドスローに変えて投球が安定してきたという。
内田監督も岩本の好投に大きな手応えを感じているようだ。「上から投げていて、ずっと苦しんでいた。一昨年辺りから横にして生き残りをかけてやってきた。昨年の秋から良くなってきました。彼がチームの柱の一つになってくれれば、より黒獅子旗に近づける。うれしいです」と期待は膨らむ。
今季の初戦で、まずは社会人野球日本選手権の出場権は獲得した。次は5年連続15回目となる都市対抗への出場と、まだ経験していないベスト4への道。「若手と中堅がうまく融合して、お互い信頼しあっているし、競争もいい形でできていると思う」と内田監督。JFE西日本にとっては収穫の多い、順調な滑り出しとなったスポニチ大会だ。【毎日新聞社野球委員会・斉藤雅春】
※次回の社会人野球NOWは3月24日公開予定です。