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新人左腕が見た社会人野球の今 日立製作所・飯田真渚斗投手 社会人野球NOW vol.106

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 今季、日立製作所投手陣に期待の新星が加わった。新人左腕の飯田真渚斗投手(22)だ。国学院大で救援投手として安定した成績を残し、最優秀投手のタイトルも獲得した逸材は、地元・茨城に戻って野球人生の新たなスタートを切った。4月のJABA日立市長杯では公式戦初登板初先発を任され、明治安田生命を相手に9回4安打1失点の完投。チームが無得点で敗れはしたものの、地元での社会人初登板という特別な舞台を経験し、大きな第一歩となったようだ。

日立市長杯で社会人初登板を果たした日立製作所の飯田真渚斗投手

  唯一の失点は二回、2死からだった。安打と死球で走者を背負い、「2アウトからランナーが出たことで投げ急いでしまった」と甘く入った一球を中前に運ばれた。
 しかし、そのまま崩れないのが並のルーキーではない。「失点しても援護を信じて、最後まで投げるつもりでいた」と飯田投手。得意の直球を軸にツーシームやチェンジアップを織り交ぜ、相手打線に的を絞らせない。五回以降は1本の安打も許さず、133球で九回を投げ切った。
 「完投は高校の練習試合以来」と自身も驚きつつ、「勝ちたかったけど、9回を投げ切れたことが一番。社会人となって初めての公式戦で、独特の空気感や簡単には勝てないことも思い知らされた」と口にした。

積み重ねてきた持ち味

 国学院大では主に救援として登板した。「特別うまかったわけではない」と振り返るが、東都大学リーグでは通算防御率1点台の安定感を持ち味に最優秀防御率や最優秀投手を獲得した。中で最も自信を持つのが、最速150㌔の直球だ。社会人野球に進む上でも「コントロールとストレートの質の向上」を課題に掲げて、入社後もキャッチボールを重視し、基礎力向上に取り組んできた。
 新人ながら公式戦での先発を任された背景には、日立製作所の林治郎監督の大きな期待がある。高校時代から飯田投手を知る林監督は「投手陣を引っ張ってほしいという意味も込めて、あえて先発させた」と起用意図を明かす。「直球の伸びと強さが彼の持ち味。試合ではその良さが出ていた」と評価しつつ、「社会人では簡単に空振りが取れないことも感じたはず。厳しさの中でどう抑えるかが今後の課題」と指摘する。

地元への思い

 この日の登板には、地元・茨城での社会人デビューという意味合いもあった。日立製作所を選んだ理由も「一番は地元で投げられること」だった。地元でプレーすることにこだわり、「お世話になった方に恩返ししたい」という思いが入社を後押しした。試合前日には母校・明秀学園日立高を訪問し、恩師の金沢成奉監督から激励を受けた。球場には家族のほか、職場の同僚らも駆けつけ、スタンドからの大声援を背に受けたマウンドだった。「会社の方にも応援に来てもらっているだけに、野球で貢献しないと」と社会人選手としての責任を口にする。

=投球練習をする日立製作所の飯田真渚斗投手

実戦でつかんだ課題と収穫

 敗戦投手となったデビュー戦ではあったが、その内容には大きな手応えがあった。「出だしは思ったより緊張した」というものの、「徐々に慣れて、最後は普通に投げられた」と振り返る。初めて実戦で相対した社会人野球の打者については「予想はしていたが、簡単には打ち取れない。ファウルで粘られるなど、一球で仕留められない場面が多かった」と大学時代との違いを肌で感じたという。
 一方で確かな収穫もあった。「ストレートは十分通用した。打者のレベルが上がる中でもっと磨いていきたい」と語り、今後の進むべき道を見出している。
 課題と手応えの両方を手に、その歩みはまだ始まったばかりだ。【毎日新聞社野球委員会・和田崇】

※次回の社会人野球NOWは5月19日公開予定です。