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節目の年に栄冠を NTT東日本 堀誠投手の挑戦 社会人野球NOW vol.113
NTT東日本が都市対抗東京2次予選で7月6日、2大会ぶり48回目の本大会出場を決めた。第1代表決定戦でHondaに敗れると、第2ではJR東日本、第3でも東京ガスに惜敗し、決定戦3連敗。鷺宮製作所相手の第4代表決定戦でようやく打線が機能し、6-4で勝利した。苦しんだ末につかんだ東京ドーム出場。投手陣を支えたのは、今年10年目の右腕、堀誠投手(31)だ。

=本大会出場を決めて喜ぶNTT東日本の堀誠投手=神宮球場で2026年7月6日
鷺宮戦の九回裏、NTT東日本の北道貢監督(44)はマウンドに抑えとして堀を送った。6-4とリードは2点。3番手の多田裕作投手(27)が五回1死から登板して八回終了まで1安打と危なげのない投球を見せていた。しかし、北道監督には、最後を掘に託すことへの迷いはなかった。
最初の打者をフォークボールで空振りの三振に仕留める。140キロ台半ばのストレートで押し、変化球で討ち取った。2死から左前打を許したものの、続く打者は右飛。保坂淳介捕手(30)がマウンドへダッシュして堀に飛びつくと、他の選手たちも集まり、堀を中心に、たちまち喜びの輪が広がった。
「いやあ、苦しかったです。僕自身がチームに迷惑をかけることが多い大会でしたので。みんなが何とかつないでくれました」。予選をそう振り返った堀。「迷惑」と堀は表現したが、乗り越えなければならない大きな試練は、第2代表決定戦で訪れた。
八回まで互いに無得点。NTT東日本は九回表に丸山雅史内野手(31)の適時打で均衡を破ると、1点のリードで掘に抑えを託した。内野安打と三振で1死一塁となり、堀はJR東日本の4番菅田大介内野手(28)を左打席に迎えた。しかし、その初球を捉えた菅田の打球は左翼席へと吸い込まれていった。代表決定戦2連敗。しかも、抑えを出しての逆転サヨナラ負けとなった。
ショックを引きずらないわけはない。その晩、床に就いた堀は「目をつぶるとフラッシュバックはありました」と話した。ここで北道監督は意外な策に出る。翌日、東京ガスとの第3代表決定戦の先発に堀を指名した。その狙いを「もちろん、勝つには彼の力が必要だったこと。それに短いイニングで少し苦労していたので、長いイニングを投げて掘らしさを取り戻してほしかった」と、北道監督は説明する。堀は元々先発型の投手で、その狙いは当たった。
東京ガス戦は0-1と競り負けたものの、堀は6回を投げ1失点に抑えた。堀が立ち直ることができたのは、試合前の後輩たちの前向きな明るさに背中を押されたからだという。「(サヨナラ負けを)引きずってはいけない。何とか切り替えよう」という気持ちが、後輩の姿や言葉で吹っ切れたという。

=本大会出場を決め、選手たちに胴上げされるNTT東日本の北道貢監督=神宮球場で2026年7月6日
10年前の優勝に貢献して若獅子賞に輝く
堀は東京都出身。日本航空高から立正大へ進み、NTT東日本へ入社して10年目になる。
新人の年の2017年にチームは2度目の都市対抗優勝を達成する。そのとき、一回戦の三菱重工神戸・高砂戦の先発マウンドを任された。一回、気持ちが高揚して落ち着かないうちに2ランを浴びてしまう。しかし、ここからが真骨頂。六回まで投げてこの失点だけにとどめ、勝利へと結びつけた。東芝との準決勝でも先発して5回1/3を無失点に抑え、活躍が認められて若獅子賞に選ばれた。その後、アマチュアの日本代表にも選ばれて国際経験も積み、社会人を代表する投手へと成長した。
今季からコーチ兼任となった。自分も現役なので、一人一人の投手を技術的に細かく見ることは難しい。心がけているのは「選手を良いマインドの状態でプレーさせること」。元々「チームが1番というか、(自分ではなく)他の選手が活躍する姿が見たいという思いか強かった」という。
187㌢の上背を生かして、140キロ後半のストレートを中心とした投球が持ち味。しかし3年ほど前から、打撃の技術も進歩しているので「このままでは東京都では通用しない」と、フォームの改善に取り組み、変化球をうまく織り交ぜていくよう自分を変えてきた。

=本大会出場を決めて喜ぶNTT東日本の堀誠投手(左)と保坂淳介捕手=神宮球場で2026年7月6日
若手に優勝を経験させてやりたい
2017年以来、チームが出場しないときも補強選手として東京ドームへの出場を果たし、今年は10年連続出場の表彰も受ける予定だ。「節目の年はやはり自分のチームでとの思いは強かったのか」と水を向けると、「そんなに10年という思いは持っていなかったのですが、北道監督がみんなの前で、その話をしてくださって、そうした監督の思いに応えたなと思いました」との答えが返ってきた。北道監督も10年前の優勝メンバー、ともに栄冠獲得を喜び合った仲だ。
東京ドームでの目標はもちろん、「優勝」。1年目で味わって以来、手が届いていない美酒の感激を、自身節目の年にもう一度という思いは強く持っている。「新人の時は、周りの選手に優勝させてもらったという感覚が強かった。今度は僕が若い選手に優勝を経験させてあげたい」。それには抑えも先発も、フル回転の活躍が求められそうだ。10度目の東京ドームのマウンドが、集大成の場となる。【毎日新聞社野球委員会・斉藤雅春】
※次回の社会人野球NOWは7月21日公開予定です。
