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個性派ゲストがスタンドを盛り上げる JABA東京都連盟が始球式に込めた思い 社会人野球NOW vol.114

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 都市対抗野球大会東京都2次予選を主催したJABA東京都野球連盟が、新たな取り組みを進めている。代表決定戦という真剣勝負の舞台で、グラウンド内外のイベントを充実させ、野球ファン以外にも球場へ足を運んでもらおうという試みだ。社会人野球の知名度アップと新たなファン層の開拓を目指す取り組みを追った。

=都市対抗野球大会東京都2次予選の第2代表決定戦前、始球式に登場したプロレスラーのグレート―O―カーン選手=神宮球場で2026年6月30日

 取り組みの中心となっているのが「始球式」だ。本来は試合開始を告げるセレモニーだが、東京都連盟では話題性のある著名人や各界で活躍する人物を招き、試合前のグラウンドを盛り上げ、野球との接点が少なかった人にも社会人野球を知ってもらう「入り口」として位置付けている。
 6月30日に神宮球場で行われた第2代表決定戦。大音量の入場曲に合わせ、新日本プロレス所属のグレート―O―カーン選手が登場した。チャンピオンベルトを肩に掛け、リングコスチューム姿でマウンドへ。投球はストライクとはならなかったものの、ノーバウンド投球にスタンドから大きな歓声がわいた。
 始球式を終えると「実はリングシューズなので滑ってしまった。(プロレスの)チャンピオンだけに、野球の経験がなくてもストライクを取れるぐらいの運動神経を見せたかった」と負けん気をのぞかせたグレート―O―カーン選手。本人は都市対抗野球への思い入れが深く、縁のある西濃運輸の試合を東京ドームで観戦したこともあるといい、「今回、こうして始球式に立てたことで社会人野球と自分との縁がつながり、点と点が線になったような感覚だった」と話していた。

 

=都市対抗野球東京都2次予選の第4代表決定戦前、始球式に登場した老舗洋食店「たいめいけん」の茂出木浩司シェフ=神宮球場で2026年7月6日

 7月6日の第4代表決定戦では、東京・日本橋の老舗洋食店「たいめいけん」の三代目、茂出木浩司シェフ(59)が登場。真っ白なコックコート姿に、店の看板メニューであるオムライスをイメージした黄色と赤のグラブを手にマウンドに向かうと、周囲に一礼。投球はワンバウンドで捕手のミットに収まった。
 野球も含めて球技経験がほとんどなく、それでも本番に向けて250球を超える投球練習を重ねたといい、「フライパンが持てないほどの筋肉痛になった」と笑いつつ、「マウンドに立ったら何も考えられなくなるほど、本当に緊張しました。一生の思い出になります」と喜んだ。特製のオムライス色のグラブについては「大谷翔平選手のグラブより僕にとっては貴重なもの。家宝にして店に飾ります」と話し、会場を和ませた。

 ダンスパフォーマンスが生んだ観客、選手との一体感

 東京都連盟の大会を盛り上げる試みは、始球式だけにとどまらない。女子野球選手をボールパーソンに起用するなど、女性ファンの開拓にも力を入れている。さらに6月29日の第1代表決定戦では五回終了後のグラウンド整備の時間を利用し、ダンスパフォーマンスも披露された。
 招かれたのは、神奈川県鎌倉市を拠点に障害を持つ子どもたちを中心としたダンスチーム「team Sunny」。選手たちもベンチ前で手拍子を送る中、リズミカルな音楽に乗せて踊りを披露し、スタンドから大きな拍手を浴びた。チーム代表の真霜多美子さん(43)は「子どもたちの可能性を広げる機会をいただき、野球の力は本当にすごいと感じました」と感謝しつつ、「両チームの選手が一緒に手拍子をしてくれる姿に、私たちのダンスで一つになったように感じて感動しました」と振り返った。

=都市対抗野球東京都2次予選の第1代表決定戦、ダンスパフォーマンスを披露するダンスチーム「team Sunny」のメンバーたち=神宮球場で2026年6月29日

 こうした取り組みの仕掛け人が、東京都野球連盟の真壁久事務局長(65)だ。取り組みは2025年に始まり、今年で2年目。「社会人野球の認知度を上げるために、選手やチームだけでなく、運営側として何ができるかを考えました。これまで球場に来る機会がなかった人にも、まずは社会人野球を知ってもらうきっかけにしたい」と狙いを語る。さらにダンス終了後に子どもたちと選手がハイタッチを交わす姿に「スタンドの皆さんはもちろん、選手たちも一緒にイベントを盛り上げてくれたことが本当にうれしかったですね」と目を細めた。
 社会人野球は企業や地域を背負う選手たちが真剣勝負を繰り広げる一方、人や地域とのつながりを大切にして発展してきた。東京都連盟の取り組みは、そんな社会人野球の魅力を新たな層へと届ける架け橋となりつつある。【毎日新聞社野球委員会・和田崇】

※次回の社会人野球NOWは7月28日公開予定です。