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全日本クラブ野球選手権大会4強出そろい ライバル対決制したマツゲン箕島・主軸の一振り 社会人野球NOW vol.117
第50回全日本クラブ野球選手権大会が8月8日、栃木県宇都宮市の宇都宮清原球場など3球場で開幕し、準決勝に進出する4チームが出そろった。50回の節目の記念大会となる今年は、9月7日に初めて東京ドームで準決勝、決勝が行われる。午前9時から兵庫県警察硬式野球部(近畿・兵庫)とCLUB REBASE(関東・東京)が、正午からエフコムBC(東北・福島)とマツゲン箕島硬式野球部(近畿・和歌山)が準決勝で対戦し、決勝は午後3時開始予定。優勝チームは10月31日に京セラドーム大阪で開幕予定の日本選手権の出場権を獲得する。準決勝進出チームの中から、大会3連覇を目指すマツゲン箕島の戦いぶりを振り返った。

=全日本クラブ野球選手権大会準々決勝で大和高田クラブに勝利し、喜ぶマツゲン箕島の選手たち
昨年大会決勝の再現となった準々決勝
8月10日、宇都宮清原球場で行われた準々決勝。昨年、一昨年の覇者、マツゲン箕島が迎え撃つ相手は、奇しくも昨年大会決勝を争った大和高田クラブ(近畿・奈良)だった。6月の都市対抗野球大会近畿地区2次予選・第4代表決定トーナメント4回戦でも相対し、その際は大和高田クラブがマツゲン箕島に7―4で勝利するなど、同じ近畿地区のまさにライバル対決となった。
マツゲン箕島は8日の1回戦で過去大会3連覇も果たしている強豪・全足利クラブ(関東・栃木)に7-6で接戦をものにすると、翌9日の2回戦はイワキテック(四国・愛媛)に3―1で勝利。酷暑の中で3連戦を戦う強行スケジュールとなった。対する大和高田クラブは2回戦からの登場で、昨年大会4強入りの福岡トヨタFTサンダース(九州・福岡)を7―0の七回コールド勝ちで退け、10日の準々決勝を迎えた。
試合はライバル対決にふさわしい熱戦となった。先制したのは大和高田クラブ。二回、先頭打者の5番・浅野晴弥が中越え二塁打で出塁すると、犠打と敵失で難なく1点を先制。さらに1死一、三塁から9番・西浦太智のスクイズで追加点を奪い、主導権を握った。
大和高田クラブの先発・大森寛佑も緩急を生かした投球で的を絞らせず、走者を背負っても粘りの投球で得点を許さない。六回に内野ゴロの間に1点を失ったが、七回から2番手・西陸和にマウンドを譲り、試合を作った。
大和高田クラブの6年目右腕・西はストレートの球威に加え、打者の手元で鋭く変化するスプリットを決め球に、今年の都市対抗でも姫路市・日本製鉄瀬戸内の補強選手に選ばれた本格派。この日も登板した七回、八回と球威、変化球の切れはともに抜群で、マツゲン箕島打線を1安打に抑え込んでいた。

=九回表2死一、二塁、マツゲン箕島の竹中夢翔が中越えの2点三塁打を放つ
土壇場の逆転劇につないだ「諦めない心」
しかし、マツゲン箕島の西川忠宏監督は九回の攻撃を迎えても冷静だった。「向こうも気合が入っていましたし、最初の(失策での)失点でちょっと嫌な感じはあったんですが、大和高田クラブさんとはいつもこういう展開になることは分かっていました。ともに手の内を知り尽くした仲なんでね。特に選手たちにも声掛けはせず、あえて自主性に任せました」と振り返る。
その信頼に応えたのが選手たちだ。先頭の8番・坂井祐斗が中前打で出ると、二つの犠打で2死三塁とし、2番・浅井颯茉が左前に運び、土壇場で同点に追いついた。さらに内野安打で2死一、二塁とし、打席に向かったのは4番・竹中夢翔。ただ、その心中は穏やかだった。「1点を追う形でしたが、粘り強い守備もできてたので、いつかチャンスは来ると思っていました」と竹中。相手得意のスプリットに的を絞り、沈み込みながらバットに乗せた。打球は中堅手の頭上を抜け、2人が生還する決勝三塁打。「状態が良くボールも見えていたので、積極的に振っていこうと思ってました。最高の結果です」。さらに、この日は5打数4安打と絶好調。「都市対抗予選が終わってけがをしたんですが、少しずつバットを振り始めると自分でも(理由が)分からない位状態が良くなった感じです」と自信にあふれた表情を見せた。
入団1年目から中軸を担う竹中だが、昨年大会の優勝時は「実はあまり成績を残していなくて、チームに貢献できる打撃ができなかった」という。チームにはマネジャー兼任を含めて16人の投手がおり、次々に実戦さながらの打撃練習に登板する恵まれた環境で普段から高い対応力を養ってきた。「それだけに、今年は自分のバットでチームを勝たせたいと思っていた」と笑顔を見せた。

=全日本クラブ野球選手権大会準々決勝で決勝打を放ったマツゲン箕島の竹中夢翔
大会3連覇へ大きく前進
チームは大阪、和歌山などで展開するスーパー「松源」の支援を受け、選手たちは主に早朝から店舗での業務をこなし、午後から日が暮れるまで練習に励む。25歳の竹中も、そんな選手の一人で、普段は店舗内の調理場で惣菜作りなどを担当する。またチームはNPO法人として、総合型スポーツクラブを立ち上げるなどの地域密着の活動も続けている。
西川監督は「普段から『最後まで諦めるな』と言っているので、諦めない心につながった。真の日本一になるには、本当に強い相手を倒していかなくてはいけないと常々言っていましたから。大会3連覇の重圧がかかる中、よく勝ち切れたと思います」と目を細める。また一回り、大きな経験を積んだマツゲン箕島の選手たちは、9月の東京ドームで「3連覇」に挑む。【毎日新聞社野球委員会・和田崇】
※次回の社会人野球NOWは8月25日公開予定です。
