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クラブ野球選手権大会 「三度目の正直」ならず エフコムBCが痛感した「徹底力」の差 社会人野球NOW vol.123
第50回全日本クラブ野球選手権大会で2年ぶりに4強入りを果たしたエフコムBC(福島)。節目の大会で初開催となった東京ドームの舞台に立ったが、悲願の「クラブ日本一」には届かなかった。準決勝で立ちはだかったのは、またしてもマツゲン箕島硬式野球部(和歌山)。2年連続で苦杯をなめてきた相手に「三度目の正直」を期したが、七回コールド負けを喫した。強豪との一戦で浮かび上がった課題を手に、再びチームは日本一への道を歩み始める。
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=クラブ野球選手権大会準決勝で七回コールド負けを喫し、スタンドに向かって応援のお礼で頭を下げるエフコムBCの選手ら
3年連続で阻まれた「マツゲンの壁」
「二回の4失点。あそこがすべてですよね」
試合後、就任して1年目の道方康友監督が真っ先に挙げたのは序盤の攻防だった。
先発の小口優太郎投手が連続四球からリズムを崩し、マツゲン箕島につけ込まれた。「四球から崩れるというのが、いつもの悪いパターン。『ストライク先行でいこう』と言い続けてきたが、それができなかった」。道方監督自らマウンドに向かい、「しっかり切り替えて攻めなさい」と声を掛けたが、悪い流れは止められなかった。
打線も相手投手陣を打ち崩せず、道方監督は「守備もきちっとしており、打撃も大振りせずコンパクトにボールを捉えていた。投手陣もさすが」と脱帽。クラブ日本一を知るチームの隙のない戦いぶりを、改めて見せつけられた。
マツゲン箕島は因縁とも言える相手だった。2024年大会は初めて進んだ決勝で対戦し、1―9の七回コールド負け。昨年大会は初戦で対戦し、先制しながらも終盤に逆転され2―3で敗れた。マツゲン箕島は勢いそのままに大会連覇を達成した。
「同じ相手に3度も負けるわけにはいかない」。選手たちは雪辱を胸に冬場から鍛えてきた。今大会も2年ぶりに4強に進出し、50回の記念大会で準決勝、決勝の舞台となった東京ドームで再び宿敵と向き合ったが、三度目の壁を越えることはできなかった。
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=エフコムBCの道方康友監督
元巨人選手が感じた「徹底力」の差
「理想は先制して、ミスをせずに中盤まで持っていく展開でした。でも先に点を取られて、ずっと向こうのリズムで厳しい試合になってしまった」
そう振り返ったのは、4番の伊藤海斗だ。
山形・酒田南高から2019年のドラフト6位で巨人入りしたが、1軍出場を果たせないまま22年限りで退団し、23年からエフコムBCでプレーする。この日は万全の状態ではなかった。約2カ月前の試合で左脚の靱帯を痛め、痛み止めを服用して出場していたという。それでも東京ドームへの思いは強かった。巨人在籍時以来、退団後初めて立つ東京ドームのグラウンドだったからだ。
「久しぶりにプレーして、やっぱりいい球場だなと思いました。みんなも、今年は絶対に東京ドームで日本一になるんだという思いが強かった」
プロとクラブ野球の両方を経験したからこそ、感じた魅力もある。「みんな野球が好きでやっているというのが一番。プロ野球とは違い、負けたら終わりがトーナメント。一球に対する気持ちの違いは、社会人で野球をやって改めて感じます」と振り返る。
一方で、日本一に足りないものも感じていた。「個々の能力はあるはずだが、一つの目標に向かう方向性だったり、徹底力だったりがまだまだ足りない。そこがマツゲンさんとの差として出たと思います」
3年連続で敗れた結果も、単なる「相性」で片付けるつもりはない。「今年こそリベンジする思いは強かった。でも、まだ実力もチームとしての力も足りなかった」。率直な言葉に悔しさがにじんだ。
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=東京ドームのスタンドをチームからの赤に染め、大きな声援を送るエフコムBC応援団
次は地元・福島で頂点に
敗戦の中でも、選手たちには忘れられない経験が残った。
東京ドームのスタンドには地元・福島から多くの関係者やファンが駆けつけ、選手たちへ大きな声援を送った。道方監督は「選手もそうですが、会社にとっても、こういうシチュエーションで野球をやらせていただけるのは本当にありがたい。会社の理解があり、支援していただいているからこそできた経験」と感謝する。
エフコムBCは1957年に黒沢通信工業野球部として発足。活動休止などを経て、2012年から富士通アイソテックベースボールクラブとして活動し、21年から株式会社エフコムの支援を受けて現在の名称となった。「野球で福島を元気に」を掲げ、地域に根差した活動を続けている。
今季から指揮を執る道方監督も、マツゲン箕島との差を冷静に受け止めている。
課題として挙げたのが投手力。エフコムBCの選手は通常業務をこなしながら練習に取り組む。大会期間中も午後3時ごろまで仕事をした後、約3時間の練習を続けてきたという。昨年には室内練習場も整備されたが、道方監督は「投手は投げるだけではなく、走ることと投げることが連動している。そう考えると、ある程度のグラウンドが必要になる」と話す。
もちろん、環境だけを敗因にするつもりはない。「クラブチームですから、与えられた環境でやるしかない」。その上で、選手の獲得を含め、日本一を狙うための戦力整備を進めていく考えだ。
「今年は私も1年目で、これまでの延長線上を意識しながらやってきた。来年へ向けては、少してこ入れをしていかなければいけないと思っています」と道方監督。次回大会は福島県で開催される。地元の声援を受けて戦える特別な大会になる。
「地元開催ですからね。ぜひ優勝したい」
指揮官の言葉は力強かった。
【毎日新聞社野球委員会・和田崇】
※次回の社会人野球NOWは10月20日公開予定です。
