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第93回都市対抗開幕 「鬼門」越えた東京都・東京ガス 社会人野球Express vol.23

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=開幕試合で完封した東京都・東京ガスの益田

 「予想はしていたけど、厳しい試合でした」。第93回都市対抗野球大会の開幕試合(18日・東京ドーム)で、名古屋市・JR東海を4-0で破って「鬼門」とされる初戦を突破した東京都・東京ガスの山口太輔監督は、喜びよりも安堵の表情で試合を振り返っていました。

前回大会優勝チームとして推薦出場した東京ガス。初戦が「鬼門」とされるのには理由があります。昨年の狭山市・Honda(第93回大会から寄居町・小川町)を含め過去3大会連続で推薦出場チームが初戦敗退しているからです。東京ガスは、社会人2年目の右腕・益田武尚投手の力投と相馬優人内野手の社会人初本塁打などで快勝し、第89回大会の東京都・NTT東日本以来4年ぶりに初戦の壁を突破しました。

 前回大会優勝チームが苦しい戦いを強いられる要因の一つが、都市対抗の特色ともいえる「補強制度」です。前回優勝チームは予選を免除される代わりに、同一地域の他チームからの選手補強ができません。自前の選手だけで戦うことが求められ、補強によりパワーアップした対戦チームの壁を容易には破れなくなるのです。

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=先制本塁打を放った東京都・東京ガスの相馬

 大会ならではの「補強制度」

 都市対抗が「補強制度」を取り入れたのは1950(昭和25)年の第21回大会からなので、72年の歴史があります。都市対抗が補強制度を取り入れた原因になったのがプロ野球のセ・パ2リーグ制のスタートでした。

 社会人野球より歴史の浅い日本のプロ野球は、1950年のシーズンからセ・パ2リーグ制を採用、チーム数も大幅に増加しました。しかし、チームはできても選手が足りません。そこでプロ側は、社会人球界から大量に選手をかき集めました。その数は100人を超え、49年の第20回都市対抗優勝チームの別府市・星野組の西本幸雄監督兼一塁手や荒巻淳投手といった名選手も含まれていました。

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=1949年の第20回大会で優勝旗を授与される星野組の西本幸雄氏

多くの野球ファンを抱える都市対抗大会のレベルを下げてはならないと考え出されたのが補強制度でした。同じ予選を戦ったライバルチームから主力選手を補強し、「地域代表」チームとして全国制覇を目指すというのが「補強制度」の精神です。チームは代表切符を逃しても、チームの選手が都市対抗に出場することで、地域代表のライバルチームを応援するという効果も生まれ、都市対抗ならではのユニークな制度として野球ファンの間に定着しています。

さて、初戦を突破した東京ガス。第8384回大会の横浜市・JXENEOS(現ENEOS)を最後に途絶えている大会連覇へ、第一関門を突破しました。山口監督は「一歩超えると、また高い山が来るな、という印象です」。頂点はまだまだ見えてきませんが、1勝に浮かれることなくチームを引き締めています。【毎日新聞社野球委員会 中島章隆】