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新ブランドスローガンに込めた決意 ー石井章夫・JABA常務理事に聞くー 社会人野球Express vol.3
2022年3月、日本野球連盟(JABA)に新しいブランドスローガンができました。
「JABA FAIR AND SQUARE」
日本語に訳せば「正々堂々と」です。この言葉にはどんな意味が込められているのでしょうか。
スローガンの制定に関わった、JABAの石井章夫・常務理事に聞きました。【聞き手:毎日新聞野球委員会・神保忠弘】
いかに社会人野球の価値を上げていくか
――ブランドスローガンを作った理由から教えてください。
◆JABAとして野球の普及振興が理念の柱になります。コロナ禍で大きな影響を受けたこともあり、JABA内には「社会人野球の在り方を変革すべき時期だ」という共通認識がありました。その本質は「いかに社会人野球の価値を上げていくか」です。そこで理念を考え直そうという議論になり、始まりとしてブランドスローガンを作る運びになりました。
――その過程では、どんな議論が行われたのでしょうか。
◆JABAの存在意義、そして価値とは何か。我々が新たな時代を創るために、また、成長するために何が必要なのか、 話し合いました。社会人野球は「企業人」として、野球の普及においては世界に照準を置き、 野球の魅力を打ち出していきたいと考えました。
「JABA FAIR AND SQUARE ‐正々堂々と。-」は、野球においては自分の力を最大限に出して立ち向かう勇気。そしてJABA組織としてもガバナンス、健全性、透明性、公正性を備えた組織運営をすることを示し、まさにこれからの時代に合う言葉だと思っています。
「ミッション」「ビジョン」「バリュー」
――このスローガンの下で目指す社会人野球の将来像は、どんなものになりますか。
◆2018年に「社会人野球将来構想」を打ち出しています。それを更に前に進めるために新たな理念には、「ミッション(存在意義、使命)」「ビジョン(世界観)」「バリュー(行動基準・行動指針)」の三つに分けて構想しています。
まずミッションは、「野球で日本を元気にする」「野球を通して成長し、次世代につなげる」「地域に応援され、地域を活性化する」です。
ビジョンは「『文化』として語られる野球界を創る」。これが未来に描きたい姿であり、一番大事だといえるでしょう。
そしてミッションとビジョンを成し遂げるために、キーとなるのがバリューです。具体的には▽「野球を愉しみ、スポーティングスピリットを育む」▽「コミットメントを可能にして価値を追求する」▽「科学的アプローチによるアスリートの育成を強化・最適化」▽「オープンシェアにより、存在価値を加速」――の四つが行動基準となります。
スポーティングスピリットは、相手を尊重し、ルール、そして審判に敬意を払うこと。これはスポーツに限らず大切な心構えです。コミットメントとは、自分が本気になって考え、自分で責任を持って行動することです。単なる「会社やチームに貢献する」ではなく、自分はどんな価値を会社やチームに与えられるのか、一人一人が考えなければなりません。
そして、社会人野球の中で科学的に得られたデータは、可能な限り、必要に応じてオープンシェアすることで、自分の課題を自分で見つけ、自分で課題を解決できる環境を作り出せればと考えます。そうすることで社会人野球の価値が加速していきます。
「JABAがやるのだ」
――社会人野球が日本の野球界のリーダーシップを取っていこうという意気込みを感じます。最後に、スローガンの頭に「JABA」と付けた意味を教えてください。
◆理念とは、まさに私たちの使命です。「JABAがやるのだ」という決意を表現しました。これからはJABAがリードして、社会人野球の価値をいかに高めるかを、いろいろな角度で考えていきたいと思います。