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フレッシュな活躍が起爆剤に NTT東日本新人・石井巧内野手  社会人野球NOW vol.20

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 新年度がスタートして1カ月あまり。各チームで新戦力が台頭している。昨季は都市対抗、日本選手権とも予選敗退し、2007年以来16年ぶりに「2大大会」を逃す悔しい1年を送ったNTT東日本。新人・石井巧内野手(22)がシーズン序盤からチームを勢いづける活躍を見せている。

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=JABA日立市長杯準決勝の三菱重工East戦で犠打を決めるNTT東日本の石井巧選手

兄の背を追って成長、有言実行

 4月のJABA静岡大会では35大会ぶり3回目の優勝に貢献し、チームに2大会ぶり18回目の日本選手権切符をもたらした。準決勝のトヨタ自動車戦で「社会人初アーチ」を掛けると、ヤマハとの決勝では、2―0の五回、中堅右へ三塁打を放って貴重な追加点。さらに七回にも左前適時打で勝利を大きく引き寄せた。

 JABA日立市長杯でも勢いは続く。リーグ戦のSUBARU戦で阿部博光投手から3点本塁打を放つなど、勝ち進んだ準決勝まで全4試合で先発出場して、いずれも安打をマーク。チーム内外にフレッシュな力をアピールした。平野宏監督は「出来過ぎな部分もあるが、思いっきりフレッシュな感じでチームを引っ張ってくれている。寡黙に一生懸命やるので、そういった意味では上の人間もうかうかしていられない。いい感じで切磋琢磨できている」と評価する。

 目の前の大きな存在を追って、成長を続けてきた。栃木県出身。現在、プロ野球・日本ハムでプレーする兄の石井一成内野手(30)の影響で、小学生になる前から野球を始めた。「毎日のように兄の練習を見に行って、かっこいいなと思って」。兄は強豪・作新学院に進み、石井選手が小学4年だった2011年夏から3季連続で甲子園に出場。兄が主将として8強入りした12年夏は、石井選手もほぼ全試合アルプススタンドで応援した。

 大舞台での活躍を目に焼き付け、「ここでキャプテンをやりたい」と練習に励んだ。その誓い通り、自らも作新学院に進んだ。主将に就任した3年夏は初戦で筑陽学園(福岡)との延長戦を制し、夏3年ぶりの校歌を甲子園に響かせると、自らも8強入りした。

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=JABA日立市長杯で活躍したNTT東日本の新人、石井巧選手

「社員を元気に」、都市対抗予選へ

 中大に進むと、3学年上には牧秀悟内野手(DeNA)、1学年上には森下翔太外野手(阪神)ら手本となる先輩がいた。「バッティングの一つ一つのスイングも動き方も違う。毎日勉強だなと思って見させてもらった。牧さんとは一緒に二遊間を組ませてもらったこともあり、本当にいい経験だった」と振り返る。

 強打が印象的だが、実は、大学4年間の中で成長できたと実感できたのは守備面。一方で、打撃には課題も残っていた。それでも入社後にはNTT東日本の先輩たちの後押しも受けて存分に力を発揮し、結果を残している。「ちょっと『大丈夫かな』という気持ちで社会人野球の世界に入ったが、先輩たちが毎日、前向きな言葉を掛けてくれる。やりやすいように気を使ってくれているおかげで、のびのびとプレーができている」と感謝する。

 4月1日には入社式に出席した。「シンボルチームということで、会社を挙げて応援してくれている。NTTの一員になったと実感した」と気を引き締める。チームの未来を大きく左右する都市対抗2次予選が目前に迫る。「プレッシャーはある。でも、新人だから(結果が出なくても)いい、みたいなのは嫌い。試合に出ている以上、活躍したい。いい結果が社員の皆さんの元気につながると思うので、集中していきたい」と瞳を輝かせる。【毎日新聞社野球委員会・中村有花】