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【GRAND SLAM PREMIUM 173】日本選手権V6を達成したトヨタ自動車の投手力と勝利への渇望

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 11月9日に閉幕した第47回社会人野球日本選手権大会を振り返れば、準々決勝に勝ち進んだ8チームのうち6チームが関東勢と、今季の勢力図が明確だったと言わざるを得ない。その関東勢を連破して頂点に立ったのが東海地区のトヨタ自動車である。今夏の都市対抗で4強進出を果たした勢いそのままに優勝を手にして、名門の実力と意地を見せた。

 5試合で計4失点。チーム防御率0.38が示す通り、優勝の原動力は抜群の安定感を誇った投手力と言える。藤原航平監督は言う。

「若い投手が中心となり、1試合平均1点未満に抑えた。捕手との共同作業、そして、コーチを含めて相手チームを分析しながら強気に攻める中で、投手陣全体が頑張ったと言えます」

 最高殊勲選手賞を手にした嘉陽宗一郎は、3試合に先発して計3失点。「これまでの野球人生を振り返っても、これほどのイニングを投げたのは記憶にない」と言うほどの安定感で、NTT東日本との決勝でも8回、124球を投げて僅か1失点の力投だ。また、パナソニックとの二回戦で被安打1の完封劇を演じたのは、ルーキーの松本健吾。ENEOSとの準決勝で先発し、6回途中まで無失点の佐竹功年は、2007年の第34回大会での初優勝からトヨタ自動車の6回のダイヤモンド旗獲得にすべて貢献している。

 

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二回戦に先発したルーキーの松本健吾は、パナソニックを1安打完封した。【写真=松橋隆樹】

 

 若手からベテランまで、上手く融合した投手層の厚さは圧巻だった。タイブレークの延長12回までもつれたTDKとの一回戦、さらに、準決勝のショートイニングで実力を誇示した長谷部銀次(広島6位指名)は言う。

「これ以上の投手陣はないと思います。佐竹さんをはじめ、生きる教材というか、自分にないものを持っている投手ばかりなので、僕にとってすべてが学びでした。刺激をもらいながら学び、幸せな環境で野球をやらせてもらったと思います」

 トヨタ自動車が築いてきた野球の根底には「投手中心の守りから」という言葉が脈々と流れる。まさに、そうした伝統を体現しての優勝だった。ここ数年、二大大会をはじめとする全国の舞台でなかなか勝てない悔しさを味わっていただけに、就任4年目で初めて日本一を勝ち取った藤原監督は実感を込めて言う。

「春先から一歩ずつ、選手たちが自発的に色々と取り組む中で成長して強くなった。今大会は全員がそれぞれの役割を果たしてくれて、いいチームになったと思います。勝利に飢えていた選手たちに、日本一を経験させてあげられたのは嬉しい。ただ、この優勝もチームとしては通過点ととらえ、これからもトップで走っていけるチームでありたい。さらに上を目指したいと思います」

 

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胴上げされる藤原航平監督。「全員がそれぞれの役割を果たしてくれて、

いいチームになったと思います」と、今大会を振り返った。【写真=松橋隆樹】

 

 名門の宿命とも言えるだろうか。4大会ぶり6回目の優勝にも満足することなく、トヨタ自動車は『常勝』の文字を掲げながら新たな一歩を踏み出そうとしている。

【文=佐々木 亨】

 

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