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【GRAND SLAM PREMIUM 175】社会人選手もエントリー!! ジャパン・ウインター・リーグが沖縄で開催中
第47回社会人野球日本選手権大会はトヨタ自動車が6回目の優勝を飾り、社会人野球の2022年シーズンの主要な公式戦は幕を下ろした。現在は社会人ベストナインの選考が続けられているが、そんな中で一部の若手選手が来季の飛躍を目指して汗を流している。沖縄各地を舞台に、約1か月にわたって開催されるジャパン・ウインター・リーグに参加しているのだ。
このジャパン・ウインター・リーグは、プロをはじめ高いレベルでプレーを続けたいもののチャンスに恵まれない若手、あるいは大学生・高校生らにシーズンオフもプレーする場を与えようと、今年から設立された。運営の先頭に立つのは、自身も千葉熱血MAKINGを経て全川崎クラブでプレーを続けるなど、野球人の鷲﨑一誠氏である。
佐賀西高から慶應義塾大へ進んだ鷲﨑氏は、東京六大学リーグ戦に1試合も出場することなく4年間を過ごす。「チャンスさえあれば、やれる自信はあった」という思いから、アメリカのウインター・リーグにエントリー。そこで本塁打を放つなど精一杯プレーできた経験が、このリーグの着想につながったという。
コロナ禍にもかかわらず、昨年には勤務先を退職して新会社を立ち上げ、今年からリーグの開催に漕ぎ着けた。11月24日に参加選手の体力測定を行なって4チームに振り分け、25日に練習して26日に開幕。12月25日まで22試合が行なわれるが、選手は前期、後期、前後期と参加する期間によって定められた参加費を支払う。プロ球団のスカウトは現地や動画で選手たちのプレーを視察することができ、試合中のパフォーマンスはすべて数値化される。
このリーグには、いくつかの企業チームも注目し、若手選手を派遣している。Hondaの3チームを統括し、日本代表コーチも務める甲元 訓ゼネラル・マネージャーはこう言う。
「トーナメントが中心の社会人野球では、どうしても出場機会が限られてしまう選手がいます。彼らに成長のきっかけとなるプレーの機会を提供できればと、エントリーを決めました」
来季のさらなる飛躍が楽しみな選手が揃う
Hondaからは2年目で200cmの大型サウスポー・今西拓弥をはじめ、速球派右腕の山下拓馬、強肩強打の捕手・岩本久重、内外野をこなせる三浦良裕、すでにショートの定位置をつかんでいる峯村貴希と4名のルーキーが派遣されている。東京ガスからは、琉球大出の2年目左腕・稲葉直哉をはじめ、右腕の井手 駿、捕手の津原瑠斗、内野手の鈴木貴士と3名のルーキーが参加。黒獅子旗の奪還には、ドラフト3位で広島から指名された益田武尚の穴を埋める存在が必要であり、2人の投手には着実な成長が望まれる。
ジャパン・ウインター・リーグでプレーしている選手たち。左から井奥勘太投手(パナソニック)、坂巻尚哉外野手(トヨタ自動車)、峯村貴希内野手(Honda)。
日本選手権で選手層の厚さを示したトヨタ自動車は、二遊間をこなす2年目の佐藤勇基、春先は四番も任されたルーキー内野手の今井脩斗、2年目で快足が武器の外野手・坂巻尚哉、新人の外野手・穴井貴一と4名がスキルアップに励んでいる。来季は都市対抗への復活を目指すパナソニックは、サウスポーの井奥勘太、正捕手の座を確保したい久保田拓真の新人2名に、2年目で打線のキーマンとなった三宅浩史郎が腕を磨いている。そして、今季はコロナ禍で十分な活動ができなかった地元の沖縄電力からは、3年目の右腕・松川竜之丞と山城悠輔、独立リーグから転籍して2年目の新城翔太、同じく転籍1年目の大城駿斗と2名の外野手が参加。ほかにも、ビッグ開発ベースボールクラブやてるクリニックと、県内のクラブチームからもチャレンジしている選手がいる。
プロ球団のスカウトも「インターネットなども発達し、将来性のある選手の情報はくまなく入手できる時代だが、だからこそ掘り出し物に出会える期待はある」とリーグの成功に期待している。また、ジャパン・ウインター・リーグはシーズンオフに野球イベントを開催することで、地域振興にも貢献しようと試みている。貴重な経験を生かし、どんな選手が2023年シーズンに頭角を現すか注目したい。
【文=横尾弘一】
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