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【GRAND SLAM PREMIUM 177】2022年度社会人野球表彰が実施される
「とても幸せな時間でした。夢のような瞬間が多かった」
ENEOSの度会隆輝はそう語った。優勝した都市対抗での橋戸賞、打撃賞、若獅子賞に加え、社会人ベストナイン、さらに最多本塁打賞と最多打点賞の“六冠”を獲得した2022年をシーズン振り返ってのことだ。
日本野球連盟は12月13日、2022年度の社会人野球表彰式を実施。社会人ベストナインと個人記録表彰される選手は前号ですでにお伝えした。社会人ベストナインはENEOSから5名、法政大OBが4名、社会人10年目のベテランも3名と、何とも乙な顔ぶれになっている。この日の表彰式では、日本野球連盟の清野 智会長の挨拶のあと、坂口裕之選考委員長が社会人ベストナインの選考経過を説明。それをもとに、それぞれの選考理由を以下に記してみる。
表彰された選手たち。前列右からベストナイン投手と最優秀防御率賞の柏原史陽(ENEOS)、
捕手の柏木秀文(ENEOS)、一塁手の地引雄貴(東京ガス)、二塁手の佐藤勇基(トヨタ自動車)、
三塁手の川口 凌(ENEOS)、遊撃手の中村 迅(NTT東日本)。後列も右からベストナイン外野手と
最多本塁打賞、最多打点賞の度会隆輝(ENEOS)、外野手の内山京祐(NTT東日本)、多木裕史(トヨタ自動車)、
指名打者の山﨑 錬(ENEOS)、首位打者賞の吉岡郁哉(王子)、最多勝利投手賞の片山雄貴(Honda熊本)。
●投手/柏原史陽(ENEOS)
登板した15試合にチームは無敗で、殊に優勝した都市対抗では全5試合に登板して無失点。投げれば負けないという、文字通りの大黒柱だ。48回1/3を投げての防御率は0.74で、最優秀防御率賞も獲得した。
●捕手/柏木秀文(ENEOS)
チーム23試合中21試合でマスクを被り、ベテランらしい巧みなリードで投手陣を引っ張った。打率こそ高くはないが、都市対抗準決勝でサヨナラ勝ちを呼び込む一打も見事だった。
●一塁手/地引雄貴(東京ガス)
強豪チームの中心打者が揃うポジションにあって.440の打率は、首位打者賞の吉岡郁哉(王子)に次ぐ2位。連覇はならなかったものの、準優勝した都市対抗でも不動の四番として貢献した。
●二塁手/佐藤勇基(トヨタ自動車)
6回目の優勝を果たした日本選手権では、八番打者ながら打率.313で勝利に貢献。全19試合に出場し、フットワークに長けた守備でも投手陣を助けた。
●三塁手/川口 凌(ENEOS)
キャプテンとして都市対抗優勝、日本選手権ベスト4へチームを牽引。長打力と勝負強さを併せ持つ二番打者として、強い印象を残した。
●遊撃手/中村 迅(NTT東日本)
準優勝した日本選手権では、打率.533と打ちまくって打撃賞。昨季の三塁手からの転向ながら守備も堅実で、世界一に輝いたU-23ワールドカップでは日本代表の主将も務めた。
●外野手/度会隆輝(ENEOS)
4本塁打と爆発した都市対抗では、橋戸賞、若獅子賞、打撃賞に輝き、さらに社会人ベストナインと個人二冠のタイトルラッシュだ。最多本塁打賞の7本は過去最多である。
●外野手/内山京祐(NTT東日本)
都市対抗では打率.500で首位打者賞を獲得。二大大会連続の首位打者賞を目指した日本選手権では、大会前の目のケガで及ばずも対象大会の打率は.366。30安打は打率ベスト10の選手で最多。
●外野手/多木裕史(トヨタ自動車)
外野手の3人目は激戦。日本選手権決勝で逆転打を放った勝負強さ、巧みなバットコントロールで多木が選出された。他の選手は初選出の中、2017年以来3回目の受賞。
●指名打者/山﨑 錬(ENEOS)
四番として都市対抗で打率.368、ベスト4の日本選手権では打率.333をマーク。勝負強さと高い打撃技術は健在で、10年目の嬉しい初受賞となった。
最多の5名が受賞したENEOSの選手は、大久保秀昭監督(左から3人目)とともに記念撮影。
初受賞の選手の中で、トヨタ自動車の多木裕史(右)は唯一3回目の社会人ベストナインを手にした。
ほかに、U-23ワールドカップで優勝を飾った日本代表が特別賞に輝いた。
「2016年、第1回のメキシコ大会に次ぐ3大会ぶり2回目の優勝ですが、その2016年はプロとアマチュアの混成チーム。今回は社会人のみで、価値の高い優勝です」
そう坂口委員長は言う。また、個人表彰では度会、柏原のほか、首位打者賞の吉岡、最多勝利投手賞の片山雄貴(Honda熊本)も表彰された。ひとりずつのスピーチではやや硬さのあった選手も、記者会見後の記念撮影では満面の笑顔。長いシーズンを戦い抜き、記録にも記憶にも残る活躍を見せてくれた選手たちには、2023年の社会人野球も大いに盛り上げてもらいたい。
【文=楊 順行/写真=真崎貴夫】
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