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【GRAND SLAM PREMIUM 185】宮古島キャンプから2023年シーズンに臨む東北の雄・TDK

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 球春到来――2月に入り、多くのチームが春季キャンプをスタートさせた。秋田県にかほ市がホームのTDKは、2月4日から19日まで沖縄県宮古島で、20日からは鹿児島県徳之島へ移動して野球漬けの日々を送る。秋田県内では20~30cmほど積雪するこの季節、屋内での練習が続いていた。キャンプ初日を迎えた選手たちは、久々のグラウンドでの練習にイキイキとした表情を見せる。

「午前中はトレーニングにランニング、午後から打撃や守備などの技術練習に入ります。暖かな気候で思う存分、身体を動かしますよ」

 そう言って選手を見詰める佐藤康典監督の表情は、誰よりも晴れやかだ。

「いくら私がやりたいと思っていても、選手が納得して取り組まなければ身につきません。会社の理解もあり、専門知識を持った外部のトレーニングコーチ、トレーナーに来ていただいています」

 

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ハードなトレーニングも、しっかりこなせるほど選手たちがタフになったという印象だ。【写真=宮野敦子】

 

 ついさっきまで笑顔だった選手たちだが、肉体強化が始まると表情は一変した。事前に決められたメニューをこなすのではなく、トレーニングコーチがその日の選手の状態を見てから内容を決めている。マシンは多用せず、主にゴムチューブを使って体幹や下半身強化を行なう。投手であれば肩回りや背筋も、じっくり丁寧に。野手はゴロ捕球時の体勢まで腰を落としながら横歩き。今年、きらやか銀行から転籍した小島康明は「こんなにハードな練習をしているなんて……」と苦笑いを見せる。佐藤監督の言葉通り、午前中はしっかりと身体を苛め抜いた。「もう無理だ」とグラウンドに大の字になる選手もいたが、やり切った充実感も溢れていた。

 

3月の東京スポニチ大会から優勝を狙う

 

「勝ち続けるのは難しいですが、落ちるのは一瞬です。練習をさせ過ぎるとよくないのでは、との考えが過ることもありますが、量をこなせば身につくはず。他チームよりも練習していると自負しています」

 2年連続で二大大会に出場し、昨年は都市対抗でベスト8に駒を進めた。新戦力を積極的に起用する佐藤監督の方針の下、若手がのびのびとプレーしながら中堅と定位置争いを繰り広げ、その後ろにはベテランが控える。一昨年、同期の北畠栞人と一、二番コンビを組んでいた植村祐介は、昨年はケガで出遅れた。シーズン途中に完治し、二番セカンドでのレギュラー復帰かと思われたが、「あえて、すぐには戻しませんでした」と佐藤監督。チーム内競争が相乗効果を生み、個の成長につながるからだ。チームの中心を担う4年目コンビは、勝負の年になるだろう。

「私自身、秋田相互銀行時代に1年目から試合で使ってもらい、育ててもらいました。ですから、選手にもたっぷり練習を積んだ上で、実戦で成長してもらいたい」

 今年は、投手4名と野手2名の新人が加わった。宮古島キャンプでは早速、激しい定位置争いが始まった。

 

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激しいポジション争いが繰り広げられているが、選手たちの表情は明るい。【写真=宮野敦子】

 

 4年間、主将を担っていた皆川 普は今年からコーチ兼任となった。「しばらく皆川に任せておけば、チームは安泰でしょう。でも、今後の成長のためには世代交代も必要です」と佐藤監督。そのバトンは、夏井脩吉へと受け継がれた。

「明るい雰囲気でキャンプインできました。キツい練習もありますが、しっかり野球と向き合える環境はありがたいですね。僕らは挑戦者の気持ちで試合に臨みます。でも、チームには『もっと勝てる』という空気も漂っている。3月の東京スポニチ大会では優勝を狙います」

 そう夏井が言うように、雰囲気のよさは練習を見ていても伝わってくる。笑い声に包まれる場面もありながら、時には厳しい指摘の声も飛ぶ。「スタッフと選手がコミュニケーションを図りながら、チーム内の信頼関係を築けていることが、ここ数年、全国で戦えている要因かもしれません」と、佐藤監督は目を細める。

 全国での勝利が自信となり、選手の目標は高くなる一方だ。スタートダッシュとなるか、まずは東京スポニチ大会での戦いに注目したい。

【文=古江美奈子】

 

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