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【GRAND SLAM PREMIUM 197】NTT西日本を牽引する新人ヒットメーカー・水島滉陽

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 優勝チームに日本選手権への出場権が与えられるJABA大会が始まって約2か月が過ぎ、7大会が終了した。どのチームも、今年の戦い方が見えてきた頃だろう。その中でも、新人の躍動に注目したい。社会人の水に慣れるまでにはどうしても時間を要するものだが、経験がないからこそ臆することなく力を発揮できる選手もいる。京都大会でも輝きを放っていたNTT西日本の水島滉陽は、すでにリードオフとしてチームを牽引している。

 昨年までセカンドを守っていた平良竜哉が、東北楽天へ入団した。水島はチームに合流するすると、「その穴を埋めてほしい」と河本泰浩監督から期待される。もちろん、先輩との競争に勝たなければ定位置はない。東京情報大ではショートで3回、サードで1回ベストナインを獲得するも、セカンドは「大学1年の秋に少しだけ守ったくらい」という。春季キャンプから猛アピールを続け、東京スポニチ大会でスタメンを勝ち取った。

 

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NTT西日本のルーキー・水島滉陽は、大学までに経験が少ないというセカンドの守りもそつなくこなしている。【写真=松橋隆樹】

 

 デビュー戦となった三菱重工Eastとの試合には、一番セカンドで出場した。その第1打席、池内瞭馬の初球を振り抜き、右越え二塁打を放つ。その後、先制のホームを踏み、チームは5対4で勝利した。

「物怖じしない性格で、堂々としているんですよ。打撃ではミートが上手くて、実力は申し分ない。ほかの選手も含め、新人が活躍してくれるのは嬉しいことですね」と、河本監督は目を細める。東京スポニチ大会、四国大会では一番か五番を打って全6試合に安打を放ち、25打数10安打で打率.400。京都大会では一番に定着し、シティライト岡山とのリーグ戦第2戦まで8試合連続安打をマークする。

「一番打者の仕事は、まず出塁することです。何とかバットに当てて出塁しようと、打席に入っています。社会人の投手は変化球のキレ、制球力が素晴らしい。もっと見極める力をつけなければいけません。ただ、新人ですから積極性を大事にしていきたい。今のところ、それが結果につながっているのかもしれません」

 確かに、水島は早いカウントからバットを振り、結果的に凡打になることもある。だが、攻める姿勢が見て取れる。さらに、水島が出塁すればベンチも大いに盛り上がる。好調につながっている積極性を、持ち味にして発揮し続けてほしい。

 さて、チームは東京スポニチ大会、四国大会とも1勝2敗でリーグ戦敗退だったが、京都大会では粘りを見せる。日本製鉄広畑とのリーグ戦第1戦は、11安打の猛攻で7回コールドの8対1。水島も、2打数2安打2打点の活躍だ。雨天による日程の変更で第2戦となったシティライト岡山との対戦は、7安打するもつながりを欠いて1対2で惜敗する。それでも、セガサミーとの第3戦は1回裏に三番・泉口友汰のソロ本塁打で先制。その後は山田峻士の中前安打1本のみに抑えられ、水島の連続安打も止まってしまったが、濵﨑浩大が粘投して完封勝利を挙げた。

 

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巧みなバットコントロールで、東京スポニチ大会からJABA大会では8試合連続安打をマークした。【写真=古江美奈子】

 

 2勝1敗で進出した準決勝の相手は、大会3連覇を狙う三菱重工West。1回表に3点を先制され、エースの竹田 祐を相手に追いかける苦しい展開に。6本の長短打を浴びせるも、連打が出ない。8回裏に中村篤人のソロ本塁打で反撃したが、追いつくことはできなかった。こうして、JABA大会10試合を戦って1点差の7試合は2勝5敗だ。河本監督はこう話す。

「僅差で勝ち切れていないのは、大事なところでミスが出るから。ここというチャンスの場面で1点が取れない。そのあたりを突き詰めていく必要があります」

 5月22日から、都市対抗近畿二次予選が始まる。水島のパフォーマンスは、チームの勝敗にも大きく影響するだろう。

「実戦経験を積んで、セカンドには慣れてきました。形はどうであれ、とにかく身体で止めて、粘りのある守備を見せたいです。ショートの泉口さんは、普段からよく話しかけてくれるので、二遊間のコミュニケーションも問題ありません」

 さらには、東京ドームという特別な舞台へ向け、胸を弾ませる。

「JABA大会とは違った空気なんでしょうね。大学3、4年時には、東京ドームで都市対抗を観戦しました。ただ、グラウンドから見る景色とは違うと聞いています。プレーのレベルも高いので、楽しみのほうが大きいです」

 僅差を制して、あるいは大差で圧倒的な強さを見せ、NTT西日本は9年連続の本大会出場を目指す。

【文=古江美奈子】

 

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